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アナロジーを使った発想技法

斬新なアイデアを生み出すためには、今、自分の領域から離れ、他の領域の事柄から応用することが有効です。そのためにはアナロジー(類推)が有効です。これは、あるモノと別のモノの類似点に着目して、連想する工程です。このアナロジーを使った発想技法として、ウィリアム・J・ゴードンのシネクティクスがあります。シネクティクスは、あるテーマにアナロジーを加えて、問題解決やアイデアを得るもので、4つの手法があります。

 

  ダイレクト・アナロジー(直接類推法)

直接、似たものを見つけて、そこからヒントを得るものです。たとえば、蓋なしで開閉する技術を貝に見出したり、潜水艦の技術を深海魚に見出したりするようなバイオニクス的なアナロジーです。自然界には多くのダイレクト・アナロジーのヒントがあります。ボーイング社は飛び立つ時の鳥の羽からフラップを工夫した高揚力翼を開発しました。

 

  パーソナル・アナロジー(主観類推法)

自分が対象の要素そのものになりきって、その視点から発想する方法です。たとえば、自分が機会の一部になったつもりで、効率的な動かし方、負担のない仕組みを考えてみるといったことです。

 

  シンボリック・アナロジー(象徴類推法)

問題を抽象化して物語、小説、メルヘンなどシンボリックな視点から幅広く発想します。たとえば、苦境に陥った自分の状況を周囲を取り囲まれた戦国武将になぞらえて解決の糸口を考えてみるといったことです。

 

  ファンタジー・アナロジー(空想類推法)

自由にアイデアをふくらませていく連想方法。シネクティクスを考案したゴードンは、「閉じる⇒向かい合った虫の握手⇒蜘蛛の巣の獲物を捕まえて放さない状態」などと自由に連想を飛躍させています。

 

 

【参考】

『発想フレームワーク55』永田豊志著 SBクリエイティブ

企業は非連続な技術変化に対応できるのか?①

■技術のS字カーブ

 

技術の進歩は次のようにS字型のカーブを描くと言われています。

・開発努力に比べて最初は遅々として技術的パフォーマンスが上がらない。

・やがて周辺知識が整備され、技術知識が体系化されることで加速的にパフォーマンスが上がる。

・やがて限界を迎え技術パフォーマンスの成長は鈍化する。

 技術のS字カーブ

■技術の非連続性

 

既存技術に対し、それを代替するような次世代技術を破壊的技術といいます。破壊的技術は既存技術の延長にはないので、その関係は非連続になります。

 技術の非連続性

■イノベーション・ジレンマ

 

図の〇印の技術の世代交代期において、既存技術の下でのリーダー企業が凋落し、業界の順位が大きく入れ替わることがあります。ハーバード大学のクリステンセン教授によるイノベーション・ジレンマです。たとえば銀塩カメラでリーダーであったミノルタがデジカメでは一気に凋落したことなどが挙げられます。その要因としては次のようなことがあります。

 

・破壊的技術は当初、持続的技術と比べて技術的パフォーマンスが大きく劣るため、市場(顧客)からの改良の要望(ニーズ)がない。

・よって、既存技術のリーダー企業はニーズのある既存技術の改良に邁進する。

・しかしながら、破壊的技術がニッチな分野で力をつけてやがて既存技術のパフォーマンスを上回るようになると、顧客は一気にそちらにシフトする。

・よって、既存技術に邁進していたリーダー企業は後手に廻り、破壊的技術の下では凋落する。

 

 

【参考】

『イノベーションのジレンマ』クレイトン・クリステンセン著 翔泳社

 



バリューグラフ(バリューラダー)

バリューグラフとは、スタンフォード大の故石井浩介教授らが開発した価値工学の手法で、製品やサービスの目的や価値を構造的に可視化し、解空間を広げるために用います。階層で表すときはバリューラダーとも呼ばれます。

 

私たちは問題解決に際して、あるコンセプトや解決策に飛びつく傾向にありますが、その前に「なぜそうするのか?」という問いを発し、より上位の目的を追求します。「そもそも本質的な目的は何か?」を考えることにより、当然のこととみなしていた思考や行動から離れて、視野を広げることができます。

 

上位の目的が見つかれば、逆方向にその目的を「どのように実現できるか?」と考えていくことで手段の自由度を高め、よりクリエイティブな代替案を検討できます。

 

バリューラダーのねらいは、上位の目的や価値を構造化し、より創造的な発想を促すことです。多くの場合、上位の目的は1つではないので、チームメンバーの多様性を活かしながら、いくつもの目的を考え出し、それぞれの目的を実現する手段を書き加えていきます。これまで考えたこともなかった手段が代替案として登場し、イノベーションのきっかけになることもあります。

 バリューグラフ1

上図は、アップルの開発チームが、パソコン「Macintosh」の空冷ファンの価値について議論したときに作成されたものです。「空冷ファン」を出発点に、空冷ファンの目的は空気の流れをつくること、空気の流れをつくる目的は熱を除去すること・・・というふうに上位の目的を考えていった結果、「信頼性を向上させ長寿命を実現」という最上位の目的(本質的価値)が見えてきました。ここまでくると、その目的を達成するのに必ずしも空冷ファンを用いなくても、チップの性能を高めるといった別の選択肢が浮上してきます。なかには「一定温度に保つ」ために「南極大陸に出荷」といった現実的でない方法が混じっていますが、こうした突飛なアイデアを許容しながら議論を進めることが、枠にとらわれない思考では重要です。

 

 

【参考】

『システム×デザイン思考で世界を変える』前野隆司編著 日経BP

2軸図・構造シフト発想法

■2軸図

 

2軸図とは、縦軸と横軸で平面に区切り、情報を定性的にプロットするとともに、中心からどれだけ離れているかという配置によって定量的な意味合いを表すこともできる可視化ツールです。

 

商品のポジショニングで使われるポジショニングマップが有名です。

 リポジション2


■構造シフト発想法

 

構造シフト発想法とは、常識や定説、固定概念など、発想の妨げになるバイアスを特定したうえで、概念をシフトさせることによって、既存の枠組みを超えた、まったく新しい発想を得ようとする手法です。

 

シフトとは、当然のこととして考えていた目的や条件、変数を「ずらす」ということです。下の図は、「新しい文化祭の出し物」をテーマにした2軸図と構造シフト発想法の活用例です。

構造シフト発想法


シフト①は、既出のアイデアを軸をまたいで移動させることによる発想パターンです。もともとは「楽しみ」の領域に属する「お化け屋敷」を「学び」の領域に移すことで、「先生がお化けの模擬授業屋敷」というアイデアを強制的に発想させています。

 

シフト②は同じ領域の中で配置を大きく変えることによる発想パターンです。「謎解きスタンプラリー」の学びの要素を強めることにより、「期末試験対策ラリー」を発想させました。

 

シフト③は、もともと2軸図にはアイデアが存在しなかった領域に新しいアイデアを生み出す発想パターンです。この例では、「収入あり」と「学び」を同時に実現できることはないか?と考えることにより「地元企業の仕事体験」という新しいアイデアが生まれました。

 

【参考】

『システム×デザイン思考で世界を変える』前野隆司編著 日経BP

 

シナリオグラフ

今回から、いくつかアイデアの発想法についてご紹介したいと思います。アイデアの発想法としては、何も制限をつけない自由発想法(例:ブレインストーミング)がありますが、何も制限がないとどこから考えればよいのかわからず、かえってアイデアは浮かびにくいものです。今回、取り上げるシナリオグラフは、何らかの条件を設けて発想する強制連想法の1つです。

 

シナリオグラフとは、スタンフォード大の故石井浩介教授らが開発したもので、いつ、どこで、誰が、何をするといったシナリオ形式でアイデアを生み出していくものです。自由連想法に不慣れな人でも、与えられた条件に従いながら比較的容易にアイデアを出すことができます。シナリオグラフは、製品やサービス、コンセプトや機能などのアイデア出しに使われます。

 

<手順>

  アイデア出しのテーマを設定する

  たとえば、いつ、どこで、誰が、何をするといった枠組みを決め、アイデアを出していく。

  いろいろな要素を組み合わせて数多くのシナリオを作成し、考えたこともなかったシナリオから刺激を受けながら、インサイト(洞察)を得る

シナリオグラフは、条件を設けることでアイデアを出しやすくする発想法ですが、条件があるからといって型通りにアイデアで済ませず、限られた枠の中でも常識にとらわれずに発想し、斬新なシナリオを作りだすようにします。

 

また、いつ、どこで、誰が、何をするという4つの要素にこだわる必要はなく、検討する事項に応じて、他の要素を加えたり、入れ替えたりすることも有効です。

 

以下は、慶応システムデザイン。マネジメント研究科が開催したワークショップでのビジネスプランの例です。廃校を使い、都会人が農業するといったサービスや、「乙女」と「蓄える」を結びつけて乙女保険といった新商品の開発のヒントが得られたようです。


シナリオグラフ


【参考】

『システム×デザイン思考で世界を変える』前野隆司編著 日経BP

 


プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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