個人的には、石破氏がなぜ自民党にいるのか不思議です。国民的人気が高いといわれていますが、最近の調査では、菅氏の後塵を拝しています。自民党員から人気があったのは、おそらく自民党が野党時代の国会での質疑の舌鋒の鋭さや、憲法改正推進派というイメージからかと思います。
確かにこの方は、主張するときの圧の強さを感じますが、ほとんど具体策がありません。スローガンは「納得と共感」ということですが、何か道徳のようで、具体的な政策が見えてきません。
TVワイドスクランブル上での杉村太蔵氏とのやりとりが話題になっています。
杉村氏:「石破さんの支持が上がらないのはマクロ経済政策。ブログ見たけどどっかの夕刊コラムみたい。全然政策の事書いてない。マクロ経済政策の無い政権は支持できない。ひと言、経済政策、理念聞きたい」
石破氏:「グローバル経済脱却。東京一極集中是正」以下、持説に主張が続く
主張を聞いているとコロナの問題とは関係なく、どうも「グローバル経済=新保守主義=弱肉強食」というイメージがあるようですが、それ以前に、「グローバル経済脱却。東京一極集中是正」はミクロ経済学の範疇であることは、経済学部1年生レベルでもわかる話です。つまり何も分かっていないのです。
どうせ何も分かっていないのなら、とりあえず「アベノミクスを当面続ける」とか言っておけばよいのに、下手に違いを出そうとするのですぐに馬脚が現れてしまいます。この方はどうもポジション取りが下手に思います。安倍政権でも協力的な姿勢に徹していれば、もしかしたら有力な候補でいられたでしょうに、反政権的な立場をとり、野党や朝日新聞から待望されるも、党内で顰蹙を買ってしまったといったところかと思います。
最近では消費減税も容認するかのような発言をしており、これ自体はよいのですが、もともとは消費増税派です。世論や野党の動きに沿っただけとも思えてしまいます。また「金融政策は正常化しなければならない」という主張であり、岸田氏同様、緊縮派です
また石破氏はミクロ経済政策でいえば、守旧派(規制派)です。以前にも取り上げましたが、石破4条件なるもので獣医学部の規制緩和を阻止したのが石破茂氏といわれています。「学部の新設条件は大変苦慮しましたが、練りに練って、誰がどのような形でも現実的には参入は困難という文言にしました」と語ったといいます。
ちなみに憲法改正についての姿勢も私は懐疑的に思っています。石破氏は「共産党も納得するような形でなければ憲法改正の論議はしない」といっていますが、共産党が憲法改正に賛成するはずがないので、事実上、憲法改正はしないといっているようなものでしょう。
まとめると、石破氏の経済政策観は、立憲民主党とほとんど同じであり、極めて低い水準であるといえます。