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逆、裏、対偶②

先日のケースは比較的易しかったと思いますが、次のような場合はどうでしょうか?

 

QUESTION:① 

次の文章から言えるものを下の中からすべて選んでください。

 

「太郎は試験のある日だけ勉強する」

 

ア 太郎が勉強するとしたらそれは試験のある日だけだ。

イ 試験がない日は太郎は勉強しない。

ウ 試験のある日は太郎は必ず勉強する。

 

 

 

ANSWER

「太郎は試験のある日だけ勉強する」からいえるのは、まず「太郎は試験のない日は勉強しない」です。また対偶である「太郎が勉強しない日は試験のない日である」もいえます。

よって、アとイが正しいです。「太郎は試験のある日だけ勉強する」とだけあり、試験のある日でも勉強しないことは可能性としてあるので、ウはいえません。

 

 

QUESTION:②

次のAと同じ意味になるものを下の中からすべて選んでください。

 

A:徒歩か自転車で来られる学生だけが大学に来ていた。

 

ア 大学に来ていなかったのは、徒歩でも自転車でも来られない学生で

あった。

イ 徒歩でも自転車でも来られない学生は大学に来ていなかった。

ウ 徒歩か自転車で来られる学生は全員大学に来ていた。

エ 大学に来ていたのは全員徒歩か自転車で来られる学生であった。

 

 

 

ANSWER

「徒歩か自転車で来られる学生だけが大学に来ていた」からいえるのは、「徒歩か自転車で来られない学生は大学に来なかった」です。よって、イは正しいです。また対偶である「大学に来なかったのは、徒歩か自転車で来られない学生であった」も正しいです。

一方、徒歩か自転車で来られる学生であっても大学に来なかった学生はいる可能性があるのでアは同じ意味ではありません。また、徒歩か自転車で来られる学生全員が大学に来たとは言っていませんので、ウも同じ意味ではありません。

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逆、裏、対偶①

論理の検証の基本知識に逆、裏、対偶というものがあります。

 

条件文:AならばB

逆:BならばA

裏:「Aでない」なら「Bでない」

対偶:「Bでない」なら「Aでない」

 

例)

条件文:平日ならば、上海亭は開店している。

逆:上海亭が開店しているならば、平日である。

裏:平日でないならば、上海亭は開店していない。

対偶:上海亭が開店していないならば、平日ではない。

 

逆、裏、対偶のうち条件分からいえることは、対偶だけです。上の例でいうと、上海亭は休日も開店しているかもしれないので「逆」も「裏」も不適切です。

 

 

QUESTION:①

次の前提文が正しいとしていえることはどれですか。

 

前提文:自社商品に競争力があれば、売上が伸びる

 

ア 売上が伸びているのであれば、自社商品に競争力がある。

イ 売上が伸びていないのなら、自社商品に競争力がない。

ウ 自社商品に競争力がなければ、売上は伸びない。

 

 

ANSWER:①

ア:「逆」ですので前提文からはいえません。売上が伸びる理由は、景気や他社の失敗など自社商品の競争力以外にも考えられます。初期のマイクロソフトなど、品質ではアップルに劣るものの売れたケースはあります。

イ:「対偶」ですから正しいです。

ウ:「裏」ですので前提文からはいえません。アと同様、競争力がなくても売れる要因はあるからです。

MECE(モレなくダブりなく)のしかた②

■プロセス型MECE

 

ビジネスは一連の仕事の流れ(チェーン)ですから、プロセスごとに分解すればモレはなくなります。

 

例)バリューチェーン

開発⇒資材調達⇒製造⇒マーケティング⇒販売⇒物流⇒アフターサービス

例)サプライチェーン

サプライヤー⇒完成品メーカー⇒卸⇒小売⇒ユーザー

例)生産

設計⇒調達⇒作業

例)工程

第1工程⇒第2工程⇒第3工程⇒検査

例)AIDMAモデル

Attention(認知)⇒Interest(興味)⇒Desire(欲求)⇒Memory(記憶)⇒Action(購買行動

例)AISASモデル

Attention(認知)⇒Interest(興味)⇒Search(検索)⇒Action(購買行動)⇒Shere(共有)

 

 

■構造型MECE

 

構造型は要素型と似ていますが、要素間のかかわりも考慮したものです。

 

例)SWOT(クロスSWOT)分析

強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats)を抽出後、4つの戦略的指針を提示する。

 

例)5フォースモデル

「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」「競争企業間の敵対関係」「新規参入業者の脅威」「代替品の脅威」の5つの要因が業界全体の収益性を決める。

 

例)PPM

市場成長率と相対的市場シェアの2軸のマトリックスを描き、問題児・花形・金のなる木、負け犬に事業を分類し、各事業のミッションや事業間の資金のやりとりを検討する。

 

 

 

【参考】

『ビジュアル ロジカル・シンキング』平井孝志、渡部高士著 日本経済新聞出版社

MECE(モレなくダブりなく)のしかた①

MECEとは?

 

ロジカルシンキングの基本概念の1つにMECE(ミーシー、またはミッシー)というものがあります。これは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略で、全体をいくつかのパートに分割して分析する際に「モレなくダブりなく」分けることを意味します。

 

たとえば顧客層を、「学生・20代・30代・40代」と分けることはMECEではありません。学生と20代(場合によっては30代や40代)がかぶりますし、その他の世代が漏れているからです。すべての年代で分けることは、切り口として意味があるかどうかはともかく、モレもダブリもないので、MECEになります。

 

また、たとえば女性を「学生、主婦、キャリアウーマン」に分けることも、MECEではない例です。家庭をもって非正規雇用で働いている女性は多いですし、場合によっては学生と主婦を兼ねている人もいるでしょう。パートで働いている方はどこに所属するのかといった問題もあります。

 

このように適切にMECEを行うのは意外と難しかったりします。実務的には意味のある切り分けが大事で、過度に「モレなくダブリなく」を追求するのは非効率ですから、ある程度のモレやダブりは許容されます。

 

 

MECEのパターン

 

世の中にはビジネスフレームワークといわれるものが沢山ありますが(MBAで取り上げられるものでも数百あるといわれています)、それらはみなMECEで構成されています。こうしたフレームワークを見ると、MECEにはおおよそ3つのパターンに集約されます。

 

  要素型

  プロセス型

  構造型

 

以下、順にみていきましょう。

 

■要素型MECE

 

フレームワークの典型例は、要素型です。これは、全体を構成する要素にモレなくダブりなく分解したものです(中にはモレがあったりダブリがあったりしますが)。

 

例)3C

市場(customer)、競合(competitor)、自社(company

 

例)CFT

顧客(Customer)、機能(Function)、技術(Technology

 

例)マッキンゼーの7S

ソフトの4S

Shared value (共通の価値観・理念)、Style(経営スタイル・社風)、Staff(人材)、Skill(スキル・能力)

ハードの3S

Strategy(戦略)、Structure(組織構造)、System(システム・制度)

 

例)マーケティングの4P

Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販売促進)

 

(つづく)

 

【参考】

『ビジュアル ロジカル・シンキング』平井孝志、渡部高士著 日本経済新聞出版社

 

問題発見の4P

ミーティングの場で、各々のメンバーから問題が提起されますが、果たしてそれは議論すべき問題なのか疑問に思うことも多いでしょう。適切な問題提起なのかどうかチェックするためのフレームワークとして、問題発見の4Pというものがあります。

 

  Purpose

何のために問題を解決するか

  Position

誰にとっての問題か

  Perspective

思考が十分に広がっているか(問題の範囲)

  Period

どのタイミングの事象を問題ととらえているか、

 

悪い問題の捉え方は、売上不振に陥り、なんとか急場をしのがなければならない企業や部門でよくみられます。

数字をなんとか作らないといけないということで、すぐにできて対処療法的(ただし売上へのインパクトはほとんどない)ことをやりたがります。本当は土台となる顧客への姿勢が問題なのに、手間がかかる、効果が出るのに時間かかかる、社内で波風が生じるなどの理由で避けてしまうのです。

 

<悪い問題設定の例>

  Purpose

目の前の数字をどう捻出するか

  Position

自分たちの短期的な評価

  Perspective

対処療法的な解決策(例:費用削減、顧客にとっては何も価値がないオプション的な製品・サービスの販売、値上げ(あるいは値下げ)

  Period

月単位か長くても四半期

 

<良い問題設定の例>

  Purpose

顧客から選ばれるためにはどうすべきか

  Position

組織全体

  Perspective

顧客にとって価値のある商品の開発、そのための組織能力の蓄積、人材の確保

  Period

今後10年間

 

 

【参考】

『ビジュアル ロジカル・シンキング』平井孝志、渡部高士著 日本経済新聞出版社

プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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