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集団の智恵を引き出すための前提条件③

「集団の智恵を引き出すための前提条件②」では、集団の智恵を引き出すための前提条件の4つのうち、意見の多様性について取り上げました。今回は残りの3つについて見ていきましょう。今までと同様に問題創造型意思決定(そもそも問題や課題がよく分からず、それに対する解決策もよく分からない)が求められている状況を想像してください。


独立性(集団のメンバーは他者の考えに左右されない)

各メンバーが独立性を保つことで、あるメンバーが犯した間違いが他に及ばなくなります。また独立した個人は、みんなが既に知っている古い情報とは違う、新しい情報をもたらす可能性があります。

逆に集団のメンバーが互いに大きな影響を与え合ったり、互いの個人的なかかわりが強くなると、集団の賢明さは失われるようになります。同じことを信じ、同じ間違いを犯しやすくなるのです。

また状況が曖昧で不透明な場合には、みんな不安ですから、周りに同調するようになります。さらに権威者や上司がいると、その意見に異を唱えることは相当な覚悟がいるでしょう。

一般的に、過激な意見を持つ人は、穏健な意見の人よりも、自分の正しさを確信し、頑固な傾向があり(注)、その結果、集団の意見もそちらに流されるようになります。そうなると集団の意思決定はむしろ愚かなものになります。1人1人の独立した観点が求められるのです。


分散性(集団のメンバーは身近な情報に特化し、それを利用できる)

集団のメンバーが身近な情報に特化し、それを利用できると、各メンバーの独立性と専門性が高まります。


集約性(個々人の判断を集計して集団として1つの判断に集約するメカニズムが存在する)

分散性が高まると、個人の貴重な情報が全体に行き渡らないという事態も起こりかねません。またバラバラのままであったら意思決定も何もないでしょう。集約できなければ分散性自体、何も意味はもたらしません。そのためには集約性が同時に求められます。

注:
声高な少数派のことを、ノイジー・マイノリティあるいはラウド・マイノリティと言います。逆に物言わぬ多数派のことをサイレント・マジョリティと言います。
では、なぜ少数派の意見は声高になる(そして過激化する傾向がある)のでしょうか。たとえば農業の市場開放について考えてみましょう。その是非はともかく、一般的には多くの国民は安価な食料品の輸入により恩恵を受けるでしょう。一方、少数の農業従事者(労働人口の3%強)にとって、これは死活問題です。つまり仮に市場開放によって1国全体の利益(余剰)が増加したとしても、大多数の人にとってはせいぜい年間で数十万円の利益にしかならないのに対し、少数派の農業従事者にとっては数百万(場合によってはそれ以上)の損失になります。よって大多数の人は沈黙し、少数派は国会周辺などでのデモや政治家への陳情、マスコミ対策などを必死で行うわけです。
少数派が改革に頑強に抵抗するのには、大抵このような背景があるのです。

【参考】
「『みんなの意見』は案外正しい」ジェームズ・スロウィッキー著 角川書店

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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