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無意識は意識を支配する③

無意識はある種の行動パターンの認識です。少しの違いがあっても、だいたい似ているものは「同じ」とみなさなければ(行動パターンの認識)、日常生活はとても送れないでしょう。

「無意識は意識を支配する①」で触れたように、システム1(無意識的)はシステム2(意識的)に影響を与え、システム2はシステム1に影響を与えます。

意識は、無意識から入力される情報を受け取って働きます。目標や方向性についての指示は無意識からなされます。逆に意識が無意識化することもあります。

たとえば、自動車の運転は、はじめのうち、習得するまでの間は自分の動きを意識する必要があります。ところが、いったん身につけてしまえば、運転のための知識は無意識に送られます。おかげで、音楽を聴きながらでも、同乗者と話をしながらでも、コーヒーを飲みながらでも運転ができるようになります(意識的な行動の無意識化)。スポーツ選手は、ある動作が自然にでるように、何度も練習を重ねます。

また、無意識のプロセスは日常の中で私たちが習慣的にやっている行動を引き起こしており、一方で意識的なプロセスは、主に、自分の行動を意味づけする役割を担っているとも捉えることもできます。このように両者がより合わさって機能することで、人間は上手く生きていくことができるのです。

しかしながら、無意識は意識よりも強力です。無意識は、遠い過去から蓄積された、本人も持っていることを自覚していない膨大な記憶を利用することができます。しかし、意識が利用できるのは、ほぼ、脳の「ワーキングメモリ」に収められた直近の記憶だけです。しかも無意識は瞬時に働くもので、後から修正されることは少ないのです。

人間は、情報を取り入れる際には、個々の意味を解釈し、重要度を判断し、適切な感情を付随させる、という作業を同時に行います。これが無意識を形成し、意識的な思考(理性)に影響を与えるわけです。

ということは、意識的な思考(理性)は感情があって初めて機能できる、感情に依存しているということになります。感情は、物事の自分にとっての価値を決める役割を果たし、理性はただ、感情によって高い価値を与えられたものを選択するだけということになります。世界が私たちにどう見えるかを決めているのは感情なのです。

以上、見てきたように、無意識のおかげで、私たちはいちいち考えることなく迅速かつ柔軟に行動に移すことができます。無意識は状況に応じた行動パターンの認識ですが、このことが長所であり、短所にもなります。

たとえば、状況に左右されやすいというのは、状況に非常に敏感であるということです。取るに足らない状況の変化に敏感になり過ぎるあまり、無意識が自動的に作用し、大きな失敗を招く可能性があります。またある状況に対し、誤った行動パターンを作動させてしまうこともあるでしょう。

無意識は意識よりも強力ですから、無意識の願望が知覚を歪曲し、その結果、意識を自在に操ることができるようになります。行動経済学はまさにこの点について知見を与えるものなのです。

【参考】
「人生の科学『無意識』があなたの一生を決める」デイヴィッド・ブルックス著 早川書房
「人の心は読めるか? 」ニコラス・エプリー著 早川書房
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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