fc2ブログ

あなたの直感は?⑥

 「あなたの直感は?⑤」で、連言錯誤(2つの事象が重なって起きることと単一の事象を直接比較した上で、前者の確率が高いと判断するエラー)について取り上げました。もう2つほど例を見てみましょう。

<ケース1>
 あるサイコロには、緑の面が4つ、赤の面が2つあります。次の3つの順で出る可能性を評価してください。

1 赤緑赤赤赤
2 緑赤緑赤赤赤
3 緑赤赤赤赤赤

 ここで問題になるのは1と2です。2は緑が2回出るので、「1よりありえそう」に思うかもしれません。実際に1よりも2のほうが出やすいと判断した人は、2のほうが出やすいと判断した人の2倍いました。しかしながら、2は1の頭に緑がくっついただけですので、1よりも可能性は低くなります。構造的には、「あなたの直感は?⑤」で取り上げたリンダ問題と同じです。

<ケース2>

パターンA
 ブリティッシュコロンビア州で、すべての年代、職業の成人男性から100人を抽出し、健康調査を行いました。次の確率を予想してください。

Q1:100人のうち、1回以上心臓発作を起こしたことのある人の数

Q2:100人のうち、55歳以上で1回以上心臓発作を起こしたことのある人の数


パターンB
 ブリティッシュコロンビア州で、すべての年代、職業の成人男性から標本抽出し、健康調査を行いました。次の確率を予想してください。

Q1:100人のうち、1回以上心臓発作を起こしたことのある人のパーセンテージ

Q2:100人のうち、55歳以上で1回以上心臓発作を起こしたことのある人のパーセンテージ

 被験者のうち、連言錯誤をした人(Q2のほうが出現が多い)は、パターンAが25%、パターンBが65%でした。パターンAとパターンBの違いは、人数かパーセントかです。おそらく人数のほうが空間的なイメージがつきやすいので、連言錯誤が生じにくくなるのでしょう。たとえば部屋に50人いたとしたら、55歳以上がどれくらいで、そのうち心臓発作を起こした経験のある人がどれくらいかなどと想像するといったことです。
 このように連言錯誤を防ぐためには、「いくつ?」「何人?」などと想像しやすいように具体化するとよいと言われています。

 さて、ビジネス環境では、どのような連言錯誤が生じるでしょうか。
 「顧客満足度が低いのは、○○のせいだ。理由は△△で、しかも□□で…」といった場合、それは「もっともらしい」話でしかないのかもしれません。仮説自体は結構ですが、それを冷静に検証することが求められます。話が具体的であると、かえって連言錯誤に陥りやすいということは認識する必要があるでしょう。

【参考】
「ファスト&スロー(上)」ダニエル・カーネマン著 早川書房


スポンサーサイト



プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR