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アベノミクス再確認

先月の24日に、安倍首相が「新3本の矢(①希望を生み出す強い経済、②夢を紡ぐ子育て支援、③安心につながる社会保障)」を発表しました。②や③は財源がなくては話になりませんが、それは①次第であり、①は結局はこれまでのアベノミクスの内容そのものです。安保法制を通し、これからは「エコノミクス!エコノミクス!エコノミクス!(米ブルームバーグ本社での講演)」ということで、内閣改造を控え、新しい何かを出したかったのかもしれません。

今回はアベノミクスを再確認したいと思います。首相官邸のホームページを見ると、次の記載があります。

第1の矢:大胆な金融政策
第2の矢:機動的な財政政策
第3の矢:民間投資を促す成長戦略


さて、もともと経済政策には次の3つがあります。

成長政策:
GDPの長期的な成長を目標とする。「GDP=国内総生産」であるので、生産の量(や質)を高める政策と言える。具体的には自由化と規制緩和がこれに該当する。

安定化政策:
短期的な景気の安定化(好況・不況の緩和)を図る政策。財政政策(公共投資や増税・減税、給付金支給など)と金融政策(中央銀行による貨幣量のコントロールなど)がこれに当たる。

再分配政策
格差是正を図る政策。累進課税による高所得者から低所得者への所得再分配などがこれに当たる。


つまり第1の矢、第2の矢が安定化政策に当たり、第3の矢が成長政策に当たるわけです。再分配政策については、昨年度末から今年の初頭にかけて大いに話題となった「21世紀の資本(トマ・ピケティ著)」で注目されていますが、あまり目立った動きはありません。

むしろ逆進性のある(低所得者層により負担のある)消費税(注1)や、より高所得者に利益が生じる可能性の高い軽減税率(注2)が取り沙汰されています。

安倍首相の経済面でのブレーンの1人とされている浜田宏一内閣官房参与(イェール大学名誉教授)のアベノミクスの評価は、「金融政策はAプラス、財政政策はB、成長戦略はE(ABE)」とのことです。次回はこの「成長戦略:E」の意味について考えたいと思います。

※1:
消費増税は民主党政権下での3党(民・自・公)合意で決定したことであり、アベノミクスとは無関係です(当時の自民党総裁は谷垣氏)。
※2:
標準の税率よりも低く抑えた税率のことで、公明党より低所得者層の税負担を軽くするために食料品などの生活必需品を軽減税率の対象とすべきだとの提言がされています。しかしながら小売店等での精算処理が煩雑化すること、軽減税率の対象品目の基準が曖昧であること(新聞を加えるべきか否か等)に加え、低所得者層よりも高所得者層のほうが税負担が軽くなるとの指摘があり、与党内での調整が難航しています。たとえば2%の軽減税率とし、1万円の高級和牛肉(高所得者が購入)と2千円の輸入牛肉(低所得者が購入)を考えた場合、前者は200円の節税になるのに対し後者は40円の節税にしかならないということです。

【参考】
『ゼロから学ぶ経済政策 日本を幸福にする経済政策のつくり方』飯田泰之著 角川書店
『世界が日本経済をうらやむ日』浜田宏一、安達誠司著 幻冬舎
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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