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赤信号、みんなで渡れば怖くない!?①

今年は特に企業の不祥事が多いように感じます。東芝の不正会計処理問題を皮切りに、秋口になるとフォルクス・ワーゲンのソフトデータ改竄問題、東亜ゴムの品質偽装問題、マンション不良施工問題が取り出されています。お馴染みのいけいけの新興企業(ヒューザーやライブドアなど)や切羽詰まった老舗企業(雪印食品、カネボウ、オリンパスなど)の危険な賭けではなく、経営状況が比較的良好な企業が問題を起こしたということが印象的です。

大手企業が不正を犯すと大騒ぎになり、そのたびにガバナンスの強化が叫ばれるわけですが、しばらく経つと必ずどこかの企業の不正が発覚することの繰り返しです。いくら制度的な監視体制を強化したところで今後も企業不祥事は無くならないでしょう。
企業不祥事は、大きく2つに分かれます。

●経営陣暴走型(いわゆる会社ぐるみ)
経営トップ(会長や社長)の鶴の一声を経営陣が承認して行う不正。粉飾決算が典型ですが、雪印乳業の子会社であった雪印食品の補助金詐欺も該当します。
また未だ実態ははっきりしませんが、フォルクス・ワーゲンのソフトデータ改竄も規模からして経営陣の関与(少なくと黙認)の可能性は払拭できないでしょう(ただし現場暴走型の可能性も高い)。

●現場暴走型
経営トップが知らないあいだに現場が勝手に法令や社内規則・マニュアルを無視して起こす不正。現場で裏マニュアルを作り、その結果、生じることもあります。
電車の無謀運転による事故や雪印乳業の集団食中毒事件、金融機関のインサイダー取引、ゼネコンなどの談合(組織ぐるみもありますが)、東海村JCO臨界事故が該当しますが、東亜ゴムの品質偽装問題やマンション不良施工問題もこのパターンでしょうか。
多少、経営トップに同情してしまうところもありますが、管理不行き届きであるのは事実ですから責任は免れないでしょう。

※ただし両者は別個の事象ではなく、トップの方針が現場暴走型の下地になっている場合もあります。たとえば業績必達の号令により現場が不正に手を染めるといったケースです。

さて経営に致命的な打撃を与えると分かっていながら、なぜ不正が絶えないのでしょうか。特に実際に廃業に追い込まれるケースを見ていながら、なぜ経営陣は無謀な不正に手を染めるのでしょうか。

これについては、集団の意思決定のあり方、経営組織論で言うところの集団浅慮でおおよその説明を試みることができます。集団での意思決定の結論は、個人の意思決定のそれよりも、極端になることが分かっています(グループシフト)。極端になるというのは、ハイリスクになるかローリスク(極端な安全主義・保守主義)になるかということです。前者はリスキーシフトと呼ばれ、後者はコーシャスシフトと呼ばれます。

もちろん経営陣の暴走はリスキーシフトの典型例ですが、現場暴走型も現場という組織単位での行為であれば該当します。
(つづく)

【参考】
「すぐれた意思決定―判断と選択の心理学」印南一路著 中央公論新社

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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