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部下にチャレンジを求めてはいけないの?

 「赤信号、みんなで渡れば怖くない!?①」で、企業の不正には、「経営陣暴走型(いわゆる会社ぐるみで、経営トップの鶴の一声を経営陣が承認して行う不正)」と、「現場暴走型(経営トップが知らないあいだに現場が勝手に法令や社内規則・マニュアルを無視して起こす不正)」の2つに分かれると述べました。後者は、現場のノルマ回避(サボタージュ)が典型例で、横浜市のマンション「パークシティLaLa横浜」等の施工不良は、これに当たるでしょう。

しかしながら、よくよく考えると、この2つを明確に区分できない場合があります。たとえば経営トップの明確な不正指示はないものの、その指示に従うために敢えて部下が不正に手を染めるといったケースです。

たとえば経営トップの業績必達命令を受けて、部下が(そこまで指示をされていないにもかかわらず)業績の水増しをしてしまうというケースです。東芝問題はこのケースでしょうか。またVW不正ソフト搭載もトップの販売台数世界NO1という目標必達指示の下に現場が行ったと捉えることができるかもしれません。

ついでに、中国の7~9月期のGDPが前年同期比6・9%だったと発表されたことを受けて、改めて中国の統計の信頼性が話題になっています。各地方の行政責任者としては、当中央から指示された目標をクリアできなければ、左遷は必至ですから、実績を水増しするインセンティブがあることは否定できないでしょう。

脱線しましたが、話を戻すと、東芝問題では、トップの行き過ぎた業績拡大指示が不正の原因であるとする論調が目立ちます。

しかしながら、経営トップが業績拡大を希求するのは当然であり、それを達成するためには、部下にチャレンジを求めるのは自然とも言えます。ネットで、経団連会長で東レ相談役最高顧問の榊原定征氏のコメントが紹介されていました。

経営者が具体的な目標を示して社員に発破をかけて、追い込み、ギリギリまで努力させるのは、当然のことです。

「誤解を恐れずに言えば、結果は数字がすべて。企業としてきちんとした利益をあげて、存続していくには、極限まで努力するしかない。実際、私自身も部下に不断の努力を求めてきました。『努力して努力して、極限まで目標を目指さなければ、結果はついてこないぞ』、と。」

しかし、努力を求める以上に、経営者には忘れてはならない役割もある。それは、成果を追い求めるあまり忘れがちになる『当たり前のこと』を、明確な形で社員に示して、会社全体で共有するということです。
その一番重要なメッセージが、企業倫理、人命の安全、法令順守の三つはあらゆる経営課題に優先するというもの。逆に言えば、この三つを蔑ろにして出した『数字』には何の意味もない。
私はもう、口が酸っぱくなるぐらい繰り返し社員の前で伝え続けています。極めて当たり前のことですが、厳しい競争の中でおろそかにされがちでもある。」

企業の価値観や社会的責任の浸透ということも、経営者の大事な使命であることがよく表現されていると思います。月並みですが、「理念や価値観に立脚すること」の重要性を改めて考えさせられる事件であると感じました。

【参考】
「実名で明かす!東芝&VW事件『大企業トップ13人の本音』~だから会社は不正に走る」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46009
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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