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消費税率は上げるべきか(反対の立場から)②

前回同様、財政問題の観点から消費増税について考えてみます。


■このままいくとギリシャの二の舞になる。

ギリシャはIMF、世界銀行、ECB(ヨーロッパ中央銀行)から資金を借りていますが、日本国債はほとんどが内国債(円建て債務)です。ギリシャはユーロを勝手に発行できませんが、日本政府あるいは日本銀行は政府紙幣を含めて円通貨を発行できます。

よって、原理的にはおカネを刷って負債の返済に充てることが可能です。もっとも刷り過ぎるとハイパーインフレになりますが、リーマンショック後の先進国を見ると、通貨量を3倍から4倍にしてもハイパーインフレにはなっていません。

さらに日本国債の保有割合を見ると、約3割が日本銀行です。日本銀行は政府から独立した立場となっていますが、事実上は政府の特殊法人、つまり統合政府として一体の立場と見るほうが自然でしょう。

同じ統合政府の中での借金の貸し借りを相殺すると、政府の負債は400兆円ほどになります。だからまったく問題ではないとまではさすがに言いませんが、少なくともギリシャとは事情がまったく異なるのは事実です。

そうなると「旦那の年収が540万しかないのに借金が1億円もあって早く返済しないと大変だ!」に「ただし旦那は不滅である」と「旦那はある程度までおカネを刷ることができる」を加えることもできます。


■消費増税して負債を減らさないと国債の金利が高騰し、国内の金利が高くなる

一般的に返済能力が不安な国(企業)は、投資家からすればリスクがあるわけですから、資金調達コストである金利は高くなります。

つぶれそうな国に金を貸すのであれば、リスクに応じて高いリターン(利子・金利)をくれというのが投資家心理です。デフォルト(債務不履行)を起こしそうな国の国債は高い金利(リスク・プレミアム)をつけないと誰も買ってくれないわけです。

また国内の様々な金利(株の配当、社債の利子、各種ローンの金利など)は、通常、国債の金利に上乗せされて決まります。よって国の負債の返済能力が疑われると、国内の金利は上がることになります。そうなると銀行からお金を借りる時の金利も高くなるので、設備投資や個人の住宅投資などが減少することになります。

では日本の国債の金利は上がっているのでしょうか。10年物国債の年利で見ると、2012年度初頭に1.1%程度であったのが、現在では0.4%程度まで一貫して低下しています。

また国債がデフォルトになった場合の保険料としてCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)というものがありますが、日本の場合は0.4%~0.5%程度です。

これはアメリカやドイツと比べて高いですが、イタリア(0.9%)やスペイン(0.8%)よりも低い値です。すぐにでも日本の財政が破綻するのであれば、もっとCDSは高いはずです。ちなみに財政危機が本格化した今年の7月のギリシャは87%(現在は10%程度)で、要は元本と同程度の保険料が求められていました。

少なくともマーケットは日本国債のデフォルトのリスクをそれほど高く見ていないと言えます。(つづく)
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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