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消費税率は上げるべきか(反対の立場から)③

かなりしつこい感じになってきましたが、消費増税への一般的な反対理由について、今回は「税収を上げるためには本当に消費税率を上げるしかないのか」という観点から考えてみたいと思います。今回もよくある増税派の主張(太字)に対する反論という形で進めていきます。

■税収を上げるためには安定財源である消費税を上げるべきだ

1997年度の橋本内閣時の消費増税(3%から5%)後の財政を見ると、歳出が膨らむ一方で、税収は2014年度まで3%から5%への増税前の水準を超えられませんでした。確かに消費税については安定的に推移しましたが、所得税は上がらず、法人税は低下傾向となったためです。

つまり消費増税しても、景気が悪いと所得税と法人税が伸びない(あるいは減少する)ので、税収が増えるわけではないし、景気下支えのための歳出も増加することになります。税収を上げる(歳出を減らす)ためには景気を良くする(名目GDPを伸ばす)ことが最優先課題となるわけです。

ちなみに2003年度のプライマリーバランスはマイナス28兆円であったのが、2008年度にはマイナス6兆円の赤字にまで回復しています。これは多少の歳出カットとゆるやかな景気回復による税収増によるものです。この間に増税はありませんでしたから、増税は税収を上げるための必要条件とは言いにくいでしょう。

また(税金ではないですが)そもそも年金徴収漏れが約10兆円あり、これにクロヨン(所得の補足率の不公平感を表す言葉で、サラリーマンは約9割に対し、自営業者は約6割、農林水産業者は約4割しか所得を把握できていない)の是正分等を足すと18兆円ぐらいになります。増税の前に本来取るべきところから取ることを優先すべきでしょう。


■経済成長しても税収はあまり上がらない

結論から言うと名目GDPの増加率よりも税収の伸び率は高いです。財務省では日本の税収弾性値(名目GDPが1%伸びたら、税収は何%伸びるかを示す数字)は、1.1としてきましたが、統計を取ると3~4程度との指摘もあります(GDP拡大期では最高で8以上、最低で0)。そうならば3%の名目GDP成長率を達成すれば税収は9%伸びることになります。


■消費増税しても景気は悪くならない

消費増税後、2014年度の実質GDPはマイナス1.0%になっています(名目GDP成長率は1.5%のプラスですが、これは消費増税分を含みます)。

現在までGDPの約6割を占める個人消費の回復が十分に見られないわけですから、消費増税は景気のマイナス要因であることは明らかでしょう。

2014年度の消費増税前にも影響は限定的だという主張がありましたが、深刻なことは確かです。1997年度の日本の消費増税後や、2011年度のイギリスの消費増税後にも実質GDP成長率はマイナスに転じているので結果は明らかです。


■2014年度の消費増税により税収は増えている。

2014年度の税収は、前年度から比べて7兆円増加し、54兆円となっています。このうち消費税の税収増は5.2兆円を占めていますから、税収増の主要因は確かに消費増税によるものと言えます。

しかし税収はいろいろな要素が絡み合って決まるものであり、そもそも短期的な見方ではなく、1997年の5%への増税では税収は上がらなかったことにも注意すべきです。

消費増税なかりせば実質GDPは最低でもプラス1.5%は実現できたはずで、今頃は完全雇用や物価上昇率2%を実現できていた可能性があります。つまり名目GDPがより増加し、その結果、法人税収や所得税収がより増加した可能性を考えるべきでしょう。
(つづく)
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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