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価格競争を避けるためのコミットメント②

前回、「他社が低価格をしかけてきたら我が社は必ずそれよりも低い価格にする」というコミットメントを示せば、他社が低価格をしかけることに対する威嚇になることを取り上げました。今回は、このコミットメントを売り手と買い手との契約の中に盛り込むというケースを考えてみます。


最低価格保証

最低価格保証とは、「他店より1円でも高ければ当店は必ず安くします」というものです。家電量販店などでよく見られます。
一見すると際限のない価格競争になると思いがちですが、実際には価格競争を抑制する効果があります。


ライバル店が値下げすれば必ず自店も値下げすることになり、ライバル店は値下げする意味がなくなります。互いに最低価格保証を採用することで、相互に値下げへの牽制ということになり、価格競争が抑制されます。


競争者対抗条項

競争者対抗条項とは、売り手と買い手との間の契約の一種で、最後の価格提示をそれまで契約していた供給者ができるというものです。ラストルック条項とも言われます。

例えば買い手のX社と売り手のA社が、それまで1個100円で納入するという契約を結んでいたとしましょう。そこにB社が1個80円という納入価格を提示してX社との契約を奪いにかかったとします。

予めX社とA社との間で競争者対抗条項を結んでいたとすると、X社はB社が1個80円という価格を提示したことをA社に知らせる義務があります。この場合、A社には2つの選択肢があります。1つは納入価格を下げないでX社との取引を断念すること、2つ目は納入価格をB社並かそれ以下に下げてX社との取引を継続することです。

結果的にA社がどちらを選択しようと、B社は単に安い価格を提示しただけでは注文を奪うことができません。まさにこの点において、競争者対抗条項が価格競争の抑止力になりうるのです。なぜなら、B社としては安い価格を提示してもA社がそれに追随する可能性があるので、結果的には儲けがでないまでの価格競争になることが自明だからです。最低価格保証と同じ理屈です。

法人営業を担当していると、顧客の担当者から、「他社はもっと安い○○円を提示してきたが、それに合わせられないか」と打診された経験が少なからずあると思います。揺さぶりをかけられたと感じるのが普通ですが、知らぬ間に他社に抜けがけされる(あるいは他社の提示した価格がわからない)よりはまだマシだということです。

逆に知らぬ間に低価格で抜けがけされてしまう余地が有るほうが、互いに疑心暗鬼になって過度な低価格競争になってしまう可能性が高まるのです。


リベンジが抑止力に!?

最低価格保証も競争者対抗条項も同じで、「低価格には低価格で報復する」という強い決意を示すことで、結果的には価格競争が回避されることになります。皮肉にも互いに核兵器を持っている国同士では戦争が起こらないのと同じ論理ですね。


【参考】
『コーペティション経営』バリー・J. ネイルバフ、アダム・M. ブランデンバーガー著 日本経済新聞社
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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