fc2ブログ

日銀の量的・質的金融緩和政策③(黒田日銀の政策を振り返る)

今回は、2013年度3月以降の黒田日銀の主な政策を振り返ります。これは次回触れるマイナス金利導入の位置づけを考える上で必須になります。あわせてマイナス金利の内容についても確認しておきましょう。


■黒田日銀の金融政策

2013年度3月以降の黒田日銀の主な政策を振り返ってみましょう。

<2013年4月>
マネタリーベースを年間60から70兆円ペースで増加させると発表(QQE1)。

<2014年10月>
マネタリーベースを年間約80兆円ベースで増加させると発表(QQE2)。

<2015年12月>
「量的・質的金融緩和」を補完するための諸措置の導入。上場投資信託(ETF)の
購入を3000億円増額し、日銀が購入する長期国債の残存期間(償還までの期間)
をこれまでの7~10年程度から7~12年程度まで長期化する。

<2016年1月>
日本銀行当座預金の一部にマイナス金利を導入することを発表。

なおQQEとは、Quantitative-Qualitative Easing(量的・質的金融緩和)の略で、これがいわゆる追加緩和(黒田バズーカ)です。

2014年10月の追加緩和は、同年4月からの8%への消費増税によりインフレ目標の達成が困難になったことを受けてのものと考えるのが一般的です(10%への消費増税に向けた援護射撃であったとの見方もあります)。


■マイナス金利の導入へ

2016年1月、日銀は日本銀行当座預金の一部にマイナス金利を導入することを発
表しました。

日銀当座預金とは、簡単に言えば民間銀行が日本銀行に預けるお金のことです。買いオペによって日銀から民間銀行に支払われる代金も日銀当座預金に振込まれることになります。

現在、日銀当座預金の残高は約260兆円ですが、そのほとんどに日銀は0.1%の利息を付けています(付利政策)。よって民間銀行はただ日銀当座預金にお金を預けておくだけで約2200億円程度の利ざや(事実上の補助金)が稼げることになっていました。

今回のマイナス金利は、日銀当座預金の250兆円を超える部分にマイナス0.1%の金利をつけるというもので、現在その適用対象は約10兆円にすぎません。その他については引き続き原則0.1%の金利が付きます。今後、銀行が追加で日銀に預けるお金に対しては、金利をつけず、逆に金利を支払ってもらうというもので、銀行側からすれば管理手数料を取られる形になるわけです。


■そもそもなぜ付利政策を導入したのか?

この付利政策は2008年10月(0.1%への引き上げは12月)に当時の白川日銀が導入したものです。

銀行同士の短期の資金の貸し借りの利率(無担保コールレート)は付利を下限に形成されます。ノーリスクでもらえる付利ではなく貸出に廻す以上は、付利以上の利率を貸出先の銀行に要求するのは当然だからです。

リーマンショック当時、無担保コールレートは0.5%程度で推移していましたが、これを0.1%まで下げることを目的に日銀は付利政策を採用したわけです。無担保コールレートを下げることによって銀行同士の資金の融通性を高め(資金の調達コストを下げ)、ひいてはその先の民間企業への貸出の利率を低下させる(名目金利の低下)ことをねらったわけです(いわゆるゼロ金利政策)。

それとともに、リーマンショック後の金融システムの安定化(銀行への資金補助)のための措置という側面もありました。

その後、無担保コールレートは0.1%で定着しましたので、本来の低金利誘導という目的はなくなり、銀行に対する資金補助という面だけが残り、それが現在まで続いたわけです。

つまり日銀の付利政策は、もともとリーマンショック後の臨時かつ時限的な措置であったわけです。


【参考】
日本の解き方/マイナス金利に不平言う銀行 「お小遣い」維持されるのに利回り低下ばかり強調/高橋洋一/2016.02.23
スポンサーサイト



プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR