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日銀の量的・質的金融緩和政策④(マイナス金利のねらい:前編)

日本銀行のマイナス金利発表から1ヶ月が経ちます。ようやく自分なりに客観的な評価に至りましたので、そのねらいについて取り上げたいと思います。
実際のところ、識者によって評価が様々(玉石混交)といったところで、中にはかなり誤ったものもあります。
多くの場合、マイナス金利のねらいは銀行の資金を強制的に貸出に廻すことだとの説明が多いようです(正直、私もそう思っていました)。これはまったく誤りではありませんが、どうも本当は違うところにねらいがありそうです。


■カネは天下のまわりもの

お金の量を測る代表的な指標には、マネタリーベース(ハイパワードマネー)とマネーストック(マネーサプライ)の2つがあります。

マネタリーベースとは日銀が供給するお金のことで、物的なお金の量を表します。マネーストック(マネーサプライ)とは、要は世の中に出回っている現金と預金の合計です。

通常、預金と貸出の連鎖によって。マネタリーベースの数倍のマネーストックが実現します。これを信用創造といい、「マネタリーベースの何倍のマネーストックが実現するか(その倍率)」を信用乗数といいます。「お金は天下の廻りもの」というわけですね。

信用乗数が高いほど、お金が国内で回っていることになるので、望ましいとされます。日本の信用乗数の推移を見ると、1980年代はバブル期を含め12~13倍程度であったのが、90年代以降下降を続け、現在では4未満に留まっています。


■マイナス金利のねらいは強制貸出か?

これまで見てきたように、2013年度の量的質的金融緩和策の導入以来、日銀は、買いオペを通じてマネタリーベースの量を拡大させてきました。しかしながらマネタリーベース は黒田総裁就任以降先月までに約2.6倍に膨らんだのに対して、マネーストックは8.5%程度の伸びにとどまります。

つまりせっかく買いオペをしても、それが日銀当座預金にとどまってしまっていて、世の中に廻っていないということです(いわゆるブタ積み)。

その理由の1つが、日銀当座預金に対する0.1%の付利というわけです。よって、マイナス金利を導入することで、ブタ積になっているお金の一部を強制的に民間への貸出に回させようというのが一般的に言われるマイナス金利のねらいの説明です。


■銀行の貸出は直ちに増えるものなのか?

一方、エコノミストの片岡剛士氏は、2月2日のラジオ番組で、「よく言われる説明とは異なり、日銀はすぐに貸出にお金が廻ることはまったく期待していない。これまで同様、銀行の余剰資金が株式市場や為替市場に向かい、株価上昇や円安の状態を作って民間企業の財務や景気を改善させ、その後に民間の資金需要を促すというスパンで考えているはずだ。」と説明しています。

「日銀の量的・質的金融緩和政策②(そのねらい)」http://bgeducation.blog.fc2.com/blog-entry-125.htmlで触れたように、設備投資の増加は金融緩和から遅れて発現します。いくら金利が安くても景気の先行きが悪いと思えば、企業もお金を借りてまで設備投資しようとは思わないでしょう。確かに片岡氏の指摘のほうが、これまでの金融緩和政策とも整合がとりやすいかもしれません。
(つづく)
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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