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マイナス金利導入後の政策手段は?

内閣府が8日に発表した2015年10-12月期実質国内総生産(GDP)2次速報値は、前期比はマイナス0.3%、年率換算ではマイナス1.1%となりました(2四半期ぶりのマイナス成長は1次速報と同じ)。
今回は、この結果を受け、今後の経済政策を考えてみたいと思います。


■今後の政策手段は?

先行きの不透明感を(デフレマインド)を払拭しない限り、いくら金利が安くなっても企業は設備投資をしないですし、賃金を上げようとは思わないでしょう。一般家計も同様で、消費や住宅投資には向かわないでしょう。当初の目的どおり、デフレマインドからの完全な脱却と需要不足解消のための政策が求められます。


■金融政策の可能性は?

今後の量的緩和のための環境整備が整ったわけで、年内の早い段階で追加の金融緩和(国債の購入量を今の80兆円から100兆円まで増やす)を決定する可能性があります。


■望まれるのはむしろ速やかな財政政策

さらに景気を安定化させるためには、これまで頼りきりであった金融政策のみならず、積極的な財政政策も必要となるでしょう。もともと財政規模(当初予算+補正予算)はアベノミクス開始直後の2013年度を除けば、消費増税や予算規模の縮小により緊縮に転じています。

経済安定化のための政策は、金融政策と財政政策の両輪であることは経済学では常識であり、それぞれ独立的なものではありません。金融緩和を行ってもデフレから脱却できていないという批判がありますが、緊縮的な財政政策(特に消費増税)が金融緩和策の足を大きく引っ張ったことに着目すべきでしょう。

夏の参院選をにらみ、今回約3.5兆円と小規模にとどまった補正予算の追加ということも考えられます。当然、消費増税は凍結(ないし減税)しかないと思います。


■財政政策の内容は?

たとえばエコノミストの安達誠司氏は信用保証の充実などの措置によって中小企業向けの融資を支援するといったこともあると指摘しています。

高橋洋一氏(嘉悦大学教授 元内閣参事官)は、国の特別会計上で余った資金(いわゆる埋蔵金)を使うことを主張しています。

これまでのアベノミクスの円安効果で「外国為替資金特別会計」には約20兆円の含み益があり、さらに失業率の低下で「労働保険特別会計」には約7兆円もの埋蔵金があることを指摘し、これを原資に国民に10兆円規模の給付金を配ればよいとしています。

さらに金利がマイナスの現在こそ(債券を発行する側が金利をもらえる)、プライマリーバランスにも影響しない財投債(政府金融機関、独立行政法人、特殊会社などの資金調達のために発行される債券で国債の一種)を発行し、歳出にあてるべきだと述べています。

新アベノミクスの「夢を紡ぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」の支援という点でも、特に消費性向が高い(給付金がすぐに消費に廻りやすい)低所得者への給付付き税額控除といった政策も考えられるでしょう。


■G20の声明を踏まえてあらゆる政策手段を!

リーマンショック後、2013年度を除けば、財政政策と金融政策が揃ったことはありません。G20で採択されたように、金融政策だけでは効果が限定的であり、財政政策が重要です。財政政策と金融政策のポリシーミックスが必要ではないでしょうか。

【参考】
現代ビジネス/アベノミクスついに沈没 「消費税8%」がすべての間違いだった/高橋洋一
現代ビジネス/日本のGDPを引き上げ、アベノミクスを「合格点」へと導く効果的な一手をここに示そう/高橋洋一
現代ビジネス/日銀「マイナス金利」の効果を徹底検証~デフレ脱却に向けて、ボールは政府に投げ返された/安達誠司
三菱UFJリサーチ&コンサルティング/「アベノミクス第二ステージ」をどう捉えるか/片岡剛士
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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