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マイナス金利なのになぜ異常な円高が進むのか?①

曲がりなりにも経済学を講義する立場からすると、テキストベースの知識どおりに実際の経済が動いておらす、説明がしにくい状況がままあります。説明が複雑になるのもどうかと思いますので、資格試験対策として割り切らざるを得ないのですが…。内外金利差と為替レートとの関係もその1つです。

2月以降、急速な円高が進み、6日には108円台に突入し、2014年10月の量的追加緩和以前の水準に戻りました。一般的に自国の金利が低下すると自国通貨安になると言われていますが、今回は内外金利差と為替レートとの関係を見ていきましょう。


■異常なペースで進んだ円高

年初来、為替レートが激しく円高に振れ、2月前半には2週間で1ドル121円から112円まで2週間で7%以上の円高が進みました。1971年の変動相場制導入以来の2週間の変動幅を統計的に見ると、7%を超える確率は0.5%程度しかない異常事態であったとのことです。

日経平均株価は輸出企業の割合が高く、円高の結果、株価が低下しているというのがここ2ヶ月の動きでしょう。


■マイナス金利導入で円安になるはずなのに?

為替レートは内外の(名目)金利差によって決まるという考え方があります(大抵の経済学の入門書にも同様の記載があります)。相対的に金利の高い国の通貨は増価(通貨高)になり、安い国の通貨は減価(通貨安)になるというものです。

たとえば相対的にアメリカの金利(債券の収益率)が高く日本の金利が低い場合を考えてみます。この場合、アメリカの債券(ドル建て)を買ったほうが儲かるので、円が売られてドルが買われ、円安ドル高になるというものです。

これに従えば、年末にアメリカは利上げをし、日本は2月にマイナス金利を導入して金利が低下しましたので、円安ドル高になるはずです。先にマイナス金利を導入しているスウェーデン、デンマーク、スイス、ユーロ圏の事例をみると、自国通貨安をもたらしています。


■実はもともと金利差は関係がなかった?

しかしながら1999年以降のドル円レートについて見ると、もともと金利差と円ドルレートとの関係は相関がないとの指摘があります(日米の金利差が拡大しても円安になったり円高になったりする)。

安達誠司氏(丸三証券経済調査部長)によれば、1999年以降の対ドルレートの対1ヵ月前比変化率と1ヵ月物のコールレート(金融機関同士の資金の貸し借りの際の金利)でみた内外金利差の相関係数は-0.016と極めて低く、ほとんど相関がないと判断されます。

また同氏によれば、特に最近5年間で見ると、先に挙げた4カ国(地域)でも自国の金利が低下しても必ずしも自国通貨安にならないことが確認されています。

考えてみれば、為替レートは内外の金利差によって決まること自体がおかしいのかもしれません。アメリカの金利が高く日本の金利が低いので、みんなが円を売ってドルを買うとしたら、極端な話ですがいずれ日本から資金は無くなってしまいますが、そのようなことは起こらないでしょう。
(つづく)


【参考】
『現代ビジネス/この円高はやっぱり異常!ヘッジファンドを黙らせる「速攻の一手」を提示しよう/高橋洋一』
『現代ビジネス/この「円高」局面はいつまで続くのか?~マイナス金利は円安に働くはずなのに…/安達誠司』
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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