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ヤバい交渉テクニック①(ニブリング)

「奴が決して断れない申し出をするI'm gonna make him an offer he can't refuse」(映画ゴッド・ファーザーより)

今回からは、少し軽めのテーマ、交渉で見られがちな駆け引きテクニックについて見ていきましょう。

交渉の基本は、相手との信頼関係を構築してWIN-WINを目指すことですが、残念ながら必ずしも相手が善意に基づいて行動してくれるかどうか分かりません。場合によっては、汚い駆け引きテクニックを使ってくる場合もあります。

汚い駆け引きテクニックを知る目的は、その対策を考えるためです。対策の基本は、「目標の実現に沿うのかどうかで判断する」につきますが、事前に駆け引きテクニックを知っていたほうが対応しやすくなります。

逆にこのような駆け引きテクニックをご自身が使うことはまったくお薦めできません。まともな相手であればすぐに見破る類のものですし、機嫌を損ねるだけで交渉自体がまとまらなくなるからです。

数回に渡って話し合いを続けてきた交渉もようやくまとまり、あなたは取引先のS課長にお礼訪問した。

あなた:ご契約頂き誠に有難うございます。
S課長:いえいえ、お礼には及びませんよ。当社としてもよい契約ができて嬉しく
   思っています。ところで、そうそう、納品の際の梱包は、防水にして頂けま
   すか。
あなた:(うっかりしていたな)はい、お安い御用です。
S課長:それは助かります。ああ、それからできれば、3000ケースだけ、木更津
   ではなくて、藤沢の配送センターに運んでいただきたいですよ。
あなた:(まあいいか、それくらい現場の担当者にやってもらおう)いいですよ。
S課長:さすが!よかった。話が早くて助かります。それとですね…。
あなた:(まだ、あるのか、困ったな…)



■ニブリング(おねだり)戦術とは

ニブリング(おねだり)戦術とは、いったん合意した直後を意図的に狙って相手に追加条件を提示し、その条件を相手に飲ませてしまうものです。

「もう合意しているのだから、できるだけ合意を維持したい」「相手の機嫌を損ねたくない」という交渉相手の心理を利用したテクニックです。

たとえば、相手の不意をつき、いかにも話のついでのようの追加的な事項を提示する、また「○○さんは本当に話が早いですね」などと言って相手を誉めそやした後におねだりする、さらには「たいしたことではないのですが」と言って、とるに足らない条件をさりげなく強調するといったことです。


■ニブリング戦術への対処法

まずは「相手の機嫌を損ねたくない」という心理から逃れることが基本です。

ニブリング戦術の場合、相手側も実は悪意がなく、あくまで「ついでに宜しく」というような軽い気持ちで頼んでいることも多いので、断ったとしても契約そのものがご破産になるとは限りません。相手にとっても、また最初から交渉をし直すことは避けたいはずです。逆に一度受け入れると、どんどん追加条件が示されてしまうことになります。

一般的な対処法としては、次のようなものが挙げられます。

・合意後も交渉中と同様の緊張感を持つ。

・合意前に追加条件については別途交渉する旨を伝えておく。

・追加の話がでたら別途費用がかかる旨を契約時に明言する。

・追加条件が出てきたら、あとどれくらい条件があるのか確認し、すべて洗い出した上で再交渉する。

【参考】
『交渉学入門 』一色正彦・田村次朗・ 隅田浩司著 日本経済新聞社
『ハーバード×慶應流 交渉学入門』田村次朗著 中央公論新社
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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