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SWOT分析は役に立つか?①

SWOT分析は経営戦略策定の基本ツールとして紹介され、ご存知の方も多いと思います。研修等でケースワークをする際にもよく用いられます。しかしながら私は有効な戦略を検討するためには、SWOT分析では十分ではないと思います。
今回は、まずSWOT分析とは何かを確認しておきます。

■SWOT分析とは

SWOT分析とは、当該企業の直面する外部環境を「機会(Opportunities)」と「脅威 (Threats)」の観点から、内部資源を「強み(Strengths)」と「弱み(Weaknesses)」の観点から分析・整理することです。スタンフォード研究所のハンフリーによって開発され、ハーバード・ビジネススクールのアンドリュースによって普及されました。

外部環境には、マクロな環境要素である一般環境と、当該企業の事業活動にたいして直接影響を与える要素であるタスク環境があります。

一般環境の分析については、政治(political)、経済(economic)、社会(social)、技術(technological)の頭文字を取ってPEST分析というものがあります。

タスク環境の分析については、業界構造分析(5フォース分析)、製品ライフサイクル分析、市場セグメンテーション分析などがあります。


内部資源分析については、経営資源、すなわちヒト・モノ・カネ・情報の分析を行います。この中で最も重視されるのが情報的経営資源、すなわち何らかの組織的能力(ケイパビリティ)やノウハウです。


■外部環境と内部資源の区分は杓子定規に行わない

SWOT分析では、当該企業の外に存在するものが外部環境、内部に存在するものが内部資源と考えがちですが、これは適切ではありません。

たとえば「既存顧客」を考えてみましょう。顧客は企業の外部に存在しますから外部環境と考えがちですが、そうとも限りません。既存顧客と当該企業との結びつきが強い場合は、「良いクチコミを発してくれる」「新規顧客を紹介してくれる」といったように営業マンとしての役割が期待できます。この場合は営業資産として扱い、内部資源の「強み」にカウントしたほうが妥当です。

同様に「技術力の高い協力業者の存在」も、そこからの支援が十分期待できるのなら、外部環境ではなく、内部資源の「強み」にカウントしたほうが妥当です。

このように外部か内部かの識別については、「コントロール可能か否か(利用できるかどうか)」の観点で行うべきです。コントロール(利用)可能なら、内部資源として扱うことになります。


■SWOT分析を使った戦略オプション

さてSWOT分析は、もともと外部環境と内部資源を整理するためのものなので、これだけで戦略が導き出されるものではありません。通常は次のようなマトリックスを想定し、戦略を検討します。
SWOT.png

■SWOTマトリックスから導出される戦略の基本

SWOTマトリックスから導出される4つの戦略オプションについて、少し触れておきます。

戦略の基本は、上図の「(1)強みを生かして機会をつかむ」です。また「(2)機会を逸しないように弱みを克服する」ですが、必ずしも自社で弱みを克服する秘湯用はありません。というより弱みなのですから自社でカバーすることはそもそも困難であり、外部資源を活用するほうが妥当です。

たとえば販売力に弱みがあるなら代理店制度やフランチャイズ方式を考えるべきでしょうし、研究開発力が弱いなら他社との連携や研究開発ベンチャーなどへの出資が考えられます。

(つづく)

【参考】
『経営戦略論』寺本義也・岩崎尚人編 学文社 
『経営戦略全史』三谷宏治著 ディスカヴァー・トゥエンティワン





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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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