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戦略で定めておくべきもの(これがないと戦略ではない)

前回の「戦略を立てるための手順(3C分析・CFT分析)」で、経営戦略の策定において必ず定義しておかなければならないのは、「長期目標」「事業範囲」「競争優位性」「事業ロジック」であると述べました。今回は基本戦略で何を定めておくべきかについて、参考までにあるアメリカの国際的な書店チェーンの例を取り上げてみます。なお基本戦略は戦略文書という形で明文化します。

●長期目標
書籍の販売量と売上シェアにおいて、国内トップの書籍小売業となる。他の書籍小売業と比べて平米あたり売上、書籍あたりの利幅が最も高く、顧客は多様なジャンルの書籍、入手しやすさ、親切な店舗スタッフという点で最高の「書籍購買経験」をする。国内を拠点に、イギリス、中国、タイ、シンガポールにも事業を拡大する。

●事業範囲
多彩な書籍(8万冊以上)を揃える大店舗(2000平米以上)のチェーンを展開している。国内の主要都市に店舗を持つが、店舗はリースされ、各地域の町並みと調和するように設計されている。レイアウトと情報システムは全店舗共通である。多くの店舗には、コーヒーバーがあり、その運営は外注されている。在庫管理のための独自の情報技術システムを開発、維持、改善している。川上である書籍の生産は、垂直統合していない。

●競争優位性
競争優位性の源泉は次のとおりである。
・大規模
・独自の在庫管理システム
・教育の行き届いた店員
・知名度の高さ、サービスや会社に関する評判
・立地条件の良い既存店舗
・不動産開発業界で価値のあるアンカー・テナントとしての知名度

●ロジック
多種多様な書籍の種類、教育の行き届いたスタッフや魅力的な店舗によって、顧客はすばらしい購買経験が得られ、書店の中ではトップの好感度を誇る。独自の在庫管理システムにより、在庫すべき書籍の確保、在庫切れに最小化、手元在庫の最適化、版元への返品数の最小化が実現できる。単位当たりのコストは業界最低であるため、利幅は最大である。独自の在庫管理システム、教育、ブランド広告や事務にかかわる莫大な費用は多くの店舗で負担するため、収入に占める営業費用の比率は低い。既存店舗の立地から地域における先行者の優位性が得られ、また人の出入りが多いという評判から、新しい開発における魅力的なキーテナントと考えられている。その結果、この競争優位性を活かして、新たな場所で新店舗を展開する成長路線をとることができる。



【参考】
『戦略経営論』ガース サローナー、ジョエル ポドルニー、アンドレア シェパード著 東洋経済新報社
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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