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ポジティブは良いことか?②

前回「ポジティブは良いことか?①」では、セグリマンのポジティブ心理学をもとに「悪いことがあったときに、それを一時的とみなし、限定的にとらえ、自分を責めない」という楽観的な姿勢によって物事に粘り強くあたることができるとしました。

■楽観的ならそれでいいのか?

悲観的よりも楽観的なほうが良いのは、感覚的にも理解しやすいでしょう。しかしながら、楽観的ならそれでよいのかというと疑問を感じる方もいるでしょう。

セグリマンは、失敗したときに自分のせいにするより、外的な要因のせいにする人は、自尊心を失うことがなく、物事に粘り強くあたることができるとしていますが、何でもかんでも自分のせいではなく、他人のせいにするほうがモチベーションが上がってよいという主張には疑問があります。

本ブログの「褒め方の法則(承認欲求②)」で触れたように、結果の原因を自らの努力という可変的なものに求めることで、困難な事態に対しても楽しみながら根気よく取り組むことができるからです。外的な要因という自らのコントロールが及ばないもののせいにしていては改善意欲は高まりません。


■ネガティブで不安が強いのに成果を出している人もいる

また、やたら自信満々だったり脳天気だったりして、人の注意を聞かず、同じようなミスばかり繰り返してしまうようなタイプの人もいるでしょう。ミスにめげないという点ではポジティブなわけですが、常にポジティブな人が上手くいくとは限りません。その一方で、ネガティブで不安が強いのに成果を出している人もいます。

ノレムとキャンターは、過去のパフォーマンスに対する認知と将来のパフォーマンスに対する期待の2軸から、方略的楽観主義者(過去:楽観的、将来:楽観的)、非現実的楽観主義者(過去:悲観的、将来:楽観的)、防衛的悲観主義者(過去:楽観的、将来:悲観的)、一般的悲観主義者(過去:悲観的、将来:非観的)の4つに分類し、この中で防衛的悲観主義者が結果的には最も上手くいくと指摘しています。

防衛的悲観主義者とは、過去のパフォーマンスに対してポジティブな認知を持つが、将来のパフォーマンスに対してはネガティブな期待を持つタイプです。
仕事を任せると上手くこなすし、本人にも自覚があるのですが、いざ新しいことを任せられると上手くいくかどうか非常に不安になるタイプです。

これから起こることに対しては徹底的にネガティブに考え、「最悪な事態」をあらゆる角度から悲観的に想像しては不安になるわけですが、その不安を解消すべく用意周到に準備し、全力で仕事をすることで上手く乗り切るというわけです。


■根拠のない楽観主義は余計なお節介

ノレムとキャンターは、次のような実験も行っています。

集まってもらった防衛的悲観主義者と楽観主義者に対して、知能テストに似た問題をやってもらった。始める前にテストの出来を予想してもらい、さらに半分の人に対しては「あなたの実力なら、きっと上手くやれるはず」と声をかけ、テストを行ったところ、次の結果が得られた。

・声をかけられなかった防衛的悲観主義者は楽観主義者よりも自分の出来を低く予想した。
・声をかけられた防衛的悲観主義者は楽観主義者と同様に自分の出来を高く予想した。
・テストの結果は、声をかけられた防衛的悲観主義者は、声をかけられなかった防衛的悲観主義者よりも成績が悪かった。



この実験から言えることは、防衛的悲観主義者に対しては、悲観的なままのほうがよく、変に楽観的になるとかえってパフォーマンスが落ちるということです。不安を解消すべく用意周到に準備し、全力で仕事をすることで上手く乗り切るというタイプですから、変に不安を解消してあげると余計なお節介になりかねません。

防衛的悲観主義者は不安を解消すべく用意周到に準備するわけですから、準備の不安を解消してあげることが有効です。どんな準備をすれば上手くいくかに焦点をあててアドバイスするという姿勢が望まれます。

【参考】
『モチベーションの新法則』榎本博明著 日本経済新聞出版社
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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