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ライバル企業の隠し味を知ったらどうする?(良い競争業者①)

コカ・コーラのレシピは門外不出のトップ・シークレットであり、社内でもほとんど知っている人はいないと言われます。それをライバル会社のペプシが知ることができたとしたら、どうなるでしょうか。

■もしペプシがコカ・コーラのレシピを入手したら?

2006年、コカ・コーラの社員数人が、コカ・コーラのレシピを持ち出し、ペプシに売りつけようとしました。さて、あなたがペプシの幹部だったとしたら、どうするでしょうか?すぐに浮かぶのは次の2つです。

①レシピを公表し、コカ・コーラの優位性を喪失させて打撃を与える。
②公表はせず、同等のものを自分たちでも製造し、コカ・コーラのシェアを奪う。

企業の戦略を考える上では、「ある行動の結果、次にはどうなるか」といったように先々の影響を見越した分析(動態的分析)が必要になります。確かにレシピを入手して上記の2つのいずれかを採ればコカ・コーラに打撃を与えることができます。しかしそれは、ある時点での分析(静態的分析)にすぎません。

実際にペプシはどちらも取らず、違法にレシピが持ち出されたことを当局に通報し、おとり捜査に協力したのです。


■ライバルは叩き潰せばよいわけではない

では、ペプシはなぜ当局に通報したのでしょうか。そこには道義的な理由だけでなく、経済的な理由が存在したはずです。

もしレシピを公表したら、誰でもコカ・コーラと同じものを作れるようになります。その結果、コカ・コーラの価格が下がり、よほどのファンでなければペプシ・コーラの愛飲者もコカ・コーラに流れるはずです。その結果、ペプシ・コーラも値下げに踏み切らざるを得なくなるかもしれません。

また公表はせず、同等のものを自分たちでも製造したらどうなるでしょうか。この場合も同じ結果が予想されます。コカ・コーラとペプシが作った擬似コカ・コーラは完全な代替財となり、価格競争に陥ることになります。ペプシとしては期待した利益を得られるわけではありません。

結局のところ何も経済的な利益が得られず、違法行為を通報すれば自分のイメージアップにもなるし、もしかしたらコカ・コーラに恩を着させることもできるかもしれないとペプシ陣営は判断したのかもしれません。

このように単にライバル企業を叩き潰してしまうと、かえって自分たちにとばっちりが来ることがあります。逆に自社の地位を高めたり保全してくれるような企業を良い競争業者といいます。

【参考】
「ヤバすぎる経済学」スティーヴン・D・レヴィット、スティーヴン・J・ダブナー著 東洋経済新報社

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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