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どのように自社商品を位置づけるか(市場ポジショニング)⑦

ポジショニングについて中小企業診断士試験第二次試験(平成14年度)の問題(改題)を取り上げてみましょう。

・X社は高級婦人服(ブランド名は「ANY」)を製造、販売しています。
・X社の製品は品質の高さと落ち着いたデザインが特徴で、製造は国内の自社工場にて徹底した品質管理のもとで行われていました。「ANY」の支持層は30~40代のミセス層です。
・X社社長は、さらなる成長を図るべく、20代の働く女性をターゲットに新ブランドを立ち上げることにしました。
・既に成功したブランド名にちなんで新ブランド名は「ANYZM」とし、ややカジュアルなライン主体の商品展開することにしました。つまりエントリーブランドとして「ANYZM」を位置づけ、「ANYZM」の顧客が将来「ANY」に乗り換えてくれることを期待したのです。
・価格は手頃感を出すために「ANY」の半分程度に抑えることにし(東アジアで製造)、若者向けファッション雑誌への広告などターゲットを明確にしたプロモーションを展開することにしました。また「ANY」は老舗の百貨店や都内一等地に絞って出店をしていましたが、「ANYZM」は若い女性が集まる駅ビルをはじめ、広範囲に出店することにしました。

「ANYZM」の立ち上がりは上々でしたが、顧客の3分の1は30~40歳代でした。一方、「ANY」のほうは「ANYZM」売り出し以来、売上が目に見えて減少してきています。
なぜ 「ANY」の売上は減少してしまったのでしょうか?



端的に言えば、顧客に「ANY」と「ANYZM」の明確な違いが認識されなかったからです。

まず「ANY」は高級で気品のあるデザインに価値を置くサイコグラフィック基準を重視しています。サイコグラフィック基準とは、消費者の心理的な側面に応じて市場を細分化する際の基準のことです。

一方、「ANYZM」は20代の働く女性をターゲットとしたデモグラフィック基準を重視しています。デモグラフィック基準とは、年齢や職業、性別、所得階層など、人口動態による市場細分化基準です。

つまり両者で異なるターゲット選択基準を採用しているので、両者のターゲット層が重複する可能性があります。たとえば20代の女性で気品のあるデザインを好む人は「ANY」ではなく、「ANYZM」を選択するでしょうし、これまで「ANY」を購入していた30代女性もデザインが気に入ればより安価な「ANYZM」を選ぶでしょう。

両ブランドで名が似通っており、あまりデザイン面での違いが消費者に認知されなかったので「ANY」の一部の顧客がより安価な「ANYZM」にシフトしてしまったと考えられます。

さらに「ANY」のブランドイメージが似た名前で安価な「ANYZM」の登場により毀損され、高級感で「ANY」を選択していた顧客が離反したとも考えられます。
ANY.png
■優れたポジショニングの条件

最後に優れたポジショニングの4条件を示しておきます。

①他者との明らかな相違点を示す
先述のとおり。
②相対的な優位性を受け手に認識される
そのためには軸の独立性と重要性を十分にチェックする必要があります。
③将来にわたって優位性を持続できる
不確実性の高い状況下で、いかに優位性を維持できるかを考えるということです。
④全体のバランスと組み合せを考える
市場全体、あるいは自社ブランド群全体の中での当該ブランドの役割や意義を考えるということです。

【参考】
『戦略パワー・プロフェッショナル』齋藤嘉則著 ファーストプレス



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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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