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日本はあといくら借金できるのか?(国のバランスシート)①

■本当に現在の日本は財政危機なのか?

日本の財政危機が叫ばれるようになってからはや20年近くが経ちますが、いっこうに国債は暴落しません。

通常、財政破綻の危機が迫っている国の国債金利は高騰します。ハイリスク・ハイリターンの原則で、通常の金利にリスクプレミアム(危険負担料)がオンされるからです。

しかしながらマイナス金利政策の影響もあって、国債発行の大多数を占める10年以内の国債金利はマイナスとなっています。

経済学の知識があまりなかった時から不思議だったのが、テレビのニュースでキャスターが「日本の財政は待ったなしです」と言いながら、すぐ後の為替情報で「今日も安全資産である円が買われ、円高が進んでいます」などという報道がしょっちゅうあるということです。まったくの素人でも「財政危機の可能性が高い国の通貨がなぜ安全資産なのか」不思議に思うはずです。

本当に日本は財政危機なのでしょうか?バランスシートの考え方で検証したいと思います。


■バランスシートのきほん

企業の財務状況を表すものにバランスシート(貸借対照表)というものがあります。
企業のbS
ざっくり言うと、バランスシートとは企業のある時点(決算日)において、どこから(何から)資金を調達し、その資金をどのようなものに使ったか(どのような形になったか)を表すものです。

バランスシートの右側が資金の調達源泉を表し、借入による資金の調達額(負債)と自己資金や利益の蓄積による資金の調達額(純資産)とに分かれます。

一方、バランスシートの左側は資金の使途を表し、調達した資金が何らかの資産に形を変えていることを表します。

通常は、資金の調達の額と資金の使途の額は一致することから、バランスシートというわけです。負債の額が資金の使途の額を上回ると、「資産をすべて売却しても、負債を返済しきれない状態」、つまり債務超過になります。


■国のバランスシート

以上を踏まえ、日本のバランスシートを見てみます。2014年度末時点で国の資産は、約680兆円、このうち換金性の高いものは、現預金28兆円、有価証券139兆円、貸付金138兆円、出資金70兆円の約375兆円にのぼります。貸付金と出資金は特殊法人(いわば天下り先)に対するものです。

ちなみに金融資産対GDP比は約70%に相当し、アメリカ約20%、イギリス・ドイツの約35%に比べても突出して高く、日本政府はダントツに金融資産を持っていることがわかります。

一方、借金は負債から公的年金預り金など除くと約1013兆円になります。
政府のBS①(単独)
負債から資産を引いた純債務は約333兆円となります。こうして見ると、よくある「GDPの2倍の1000兆円もの借金を抱えている」という単純な話とかなり違いがあることがわかります。

もっとも負債が資産を上回りますから、債務超過で財政危機ではないかという指摘があると思います。次回はこの点について考えてみましょう。


【参考】
『日本はこの先どうなるのか』高橋洋一著 幻冬舎
『財務省の逆襲』高橋洋一著 東洋経済新報社






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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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