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日本はあといくら借金できるのか?(国のバランスシート)②

前回、日本のバランスシートから、負債から資産を引いた純債務は約333兆円となり、債務超過であることを確認しました。政府のBS①(単独)
■連結ベースで見た日本の財政

純債務の約333兆円は日本政府の純債務です。企業の財務分析では、親会社だけでなくグループ会社を含めた連結で財務状況を判断するのが一般的です。

日本の場合、政府が親会社で特殊法人が子会社、子会社で一番大きなものが日本銀行です。経済学では政府と中央銀行を一体とみなす(統合政府)のが普通です。
2015年度末の日銀のバランスシートを見ると資産が405兆円で、そのうち国債が349兆円あります。一方、負債は402兆円で、そのうち発行銀行券と当座預金(両者は広い意味で銀行券なのでまとめます)が約350兆円あります。

この時点で連結ベースの日本の財政を見ると、資産が1250兆円、負債が1350兆円で、純債務が100兆円になります。これは対GDP比で見ると約20%に留まり、アメリカの65%、イギリスの60%と比べても、かなり低いことが分かります。


■政府の「毎年収入がもらえる権利」

さらに政府は企業と決定的に違う点があります。それは毎年黙っていても必ず税収という形で収入があるということです。これを徴税権といい、いわば政府だけが持っている収入の権利(資産)です。仮に最低ライン近くで見積もったとしても、毎年30兆円の税収が永遠に約束されています(2015年度は56兆円)。

導出過程は省きますが、ファイナンス理論で学ぶ配当割引モデル(毎年の配当金÷割引率)を使うと、この徴税権の現在の資産価値を求めることができます。金利を4%とすると、「30兆円÷4%=750兆円」という値が求められます。


■日本国のバランスシート

日本の財政状態を日銀などを含めた連結ベースで考え、さらに徴税権を政府資産に加えると、バランスシートは次のようになります。
政府のBS②(連結)
■本当に銀行券は日銀の負債なのか?

銀行券(紙幣)350兆円は名目上、負債にカウントされますが、本当に負債と言えるものでしょうか。当たり前ですが私たちは紙幣を持っていても日本銀行から何も金利がもらえません。また中央銀行としてもある期限が来たら返済(償還)する義務はありません。よって銀行券はほとんど負債としての意味を持たないと言えます。

銀行券を差し引くと、政府全体の資産は2000兆円、負債は1350兆円、差額の650兆円が資産超過になります。仮に金利を5%と高く見積もって徴税権を600兆円(30兆円÷5%)としても、資産超過額は500兆円になります。


資産を考慮して理論的に考えると、資産と負債がバランスする限りにおいては財政的には問題がないですから、資産超過額分まで国債発行が可能となります。つまりあと500兆円程度の借金が可能な状態であり、日本の財政は健全であると言えます。

【参考】
『日本はこの先どうなるのか』高橋洋一著 幻冬舎
CafeSta(2016.8.31)/日本経済に対する見方について/ゲスト:高橋洋一

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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