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中国は成長できるのか?③

■国際金融のトリレンマから見た中国

中国経済の実情は、本ブログの「統一通貨ユーロがもたらしたもの②」でも取り上げた「国際金融のトリレンマ」でも説明できます。

国際金融のトリレンマとは、次の3つのすべてを満たすことはできない(2つは満たせるが1つは犠牲になる)というものです。

①自由な資本移動(資本取引)
②物価の安定(金融政策の独自性)
③為替の固定

トリレンマ
中国は「物価の安定(金融政策の独自性)」「為替の固定」を取って「自由な資本移動(資本取引)」を犠牲にしています。資本取引を自由化してしまうと、資本取引の必要性の観点から為替レートが決まってしまうため、為替レートを安定化できなくなります。

しかしながら「物価の安定(金融政策の独自性)」と「為替の固定」の両立にも困難が伴います。たとえば、国内経済の成長のために金融緩和を行ったら、通常は自国通貨が安くなり(相対的に量が多い通貨は減価する)、それを回避するために自国通貨買い(他国通貨売り)介入を行う必要があります。

つまり国内経済対策的には金融緩和(自国通貨の増加)を行いたいが、同時に為替レートを固定化したいなら逆に自国通貨を吸収することが必要になり(不胎化介入)、金融緩和効果が十分に得られなくなるのです。


■中所得国はやがて固定相場制を捨てるしかなくなる

中国ではその景気の先行きの不透明性から、海外からの資金流入が減少しています。これは人民元安を意味します。

一方、人民元安を回避するために人民元買いドル売り介入を行う必要があります。しかしながらその介入の原資となるのが外貨準備(中国のドル資金)であり、それには限界があるのですから、やがて持ちこたえることができなくなります。

中国の外貨準備高は2015年度末で約3.3兆円ですが、2015年度の6月から12月の半年で4000億ドル超の減少ですから(約15%減少)、仮にこのペースが続くと約4年で中国の外貨準備は枯渇することになります。

中国の経済成長のためには、他の先進国と同様、変動相場制へ移行し、資本取引の自由化と金融政策の独自性を採用すればよいのですが、それはすなわち共産主義(一党独裁体制)の崩壊を意味し、それが取れないところに問題があるのです。


【参考】
『中国経済はどこまで崩壊するのか』安達誠司著 PHP研究所
『もうダマされないための経済学講義』若田部昌澄著 光文社

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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