fc2ブログ

正しい目標設定⑤

前回、達成目標には、学習目標と業績目標の2つがあることを指摘しました。
学習目標とは、何か新しいことを理解したり習得したりできるように自分の能力を高めようとする目標のことです。
一方、業績目標とは、自分の能力を肯定的に評価されたい、あるいは否定的な評価を免れたいという目標のことです。
学習目標と業績目標のどちらを持つかは、本人が無意識に抱いている知能感によって決まることが指摘されています。


■学習目標と業績目標

知能というものは固定的なもので変わらないという知能固定観を持つ人は、業績目標を持ちやすいと言われます。知能は努力では変えられないと信じているために、能力向上を目指すよりも、能力を高く評価されることを求めるのです。

一方、知能は鍛えることで向上するという知能漸増観を持つ人は、学習目標を持ちやすいと言えます。知能は努力によって向上させられると信じているために、現時点でどう評価されるかにこだわるよりも、もっと能力を向上させることを求め、それが熟達志向の行動をもたらします。

前回、触れたように、業績目標を持つタイプは、受け入れられる目標の難易度は自分の能力に依存してしまいます。一方、失敗を前向きに捉えることができる学習目標を持つタイプは、より高い目標を受け入れ、粘り強く取り組むことができます。


■「結果にこだわれ」も「ベストを尽くせ」も誤り

よく「結果にこだわれ」と言いますが、これまでの話からあまり適切な助言でないことが理解できると思います。

逆に「(結果よりも)ベストを尽くしたかが大事」という言い方もされますが、「正しい目標設定①」で触れたように、これも曖昧すぎて適切ではありません。

業績目標(=結果責任)の反対は「ベストを尽くせ」というような曖昧な目標と捉えられがちですが、そうではありません。「何をやるべきか(できるべきか)」を具体化することが重要です。

これまでの研究より、具体的で困難な学習目標を与える方が、具体的で困難な業績目標を与えたり、「最善を尽くせ」型の曖昧な目標を与えたりするよりも、高い業績につながることが明らかにされています。



■モチベーション・マネジメントで求められること

モチベーション・マネジメントの観点からは、できるだけ部下に業績目標ではなく、学習目標を持つように促すことが求められます。

学習目標を促進するためには、課題を与える際に、結果よりも熟達を意識させるように留意する必要があります。

また周囲からの評価を気にして結果にこだわるタイプには、無意識のうちに持っている知能固定観を知能漸増観に変えさせていくような教育的働きかけが必要になります。


学習目標と業績目標の違いだけでなく、その背後にある知能観についても配慮したアドバイスが求められるのです。


【参考】
『モチベーションの新法則』榎本博明著 日本経済新聞出版社

スポンサーサイト



プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR