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結論は決め方で変わる②

■多数決は集団の多数派の意見を汲み取れるか?

前回の図を再掲します。A・B・Cの3つの選択肢のうち、9名のメンバーのそれぞれの順位は、「A・C・B」の順が4名、「B・C・A」の順が3名、「C・B・A」の順が2名だったとします。

決め方①

多数決を取ると、1位Aの人が4名、1位Bの人が3名、1位Cの人が2名ですから、Aが選ばれます。

多数決が最も集団の総意に近く、民主的なルールであるというイメージがあるかもしれません。しかしながら、この表をよく見ると、面白いことに気がつきます。

3拓で選ぶとAが1位になりますが、AとBの2つで多数決を取るとA4、B5でBが勝ちます。またAとCの2つで多数決を取るとやはりA4、C5でCが勝ちます。これはAがBやCを支持する人にとっては最悪の選択肢だからです。

つまり3つの多数決で選ばれたAは、実は全体では少数派の意見なわけです。このように、ほかのあらゆる選択肢にペアごとの多数決で全敗する選択肢のことをペア敗者といいます。

このように多数決で選ばれたものが実は少数派の意見にすぎなかったということは、選挙などでも見られます。1人区の選挙では、たとえ得票率が低くてもとにかく1位であれば当選するからです。

以上から言えることは、多数決で選ばれた選択肢は、実は全体では少数派の意見に過ぎないということがあり得、少なくとも多数決が最も集団の多数派の意見に近く、民主的なルールであるとは限らないということです。


■民主的な決め方とは何か?

上と同じようなものですが、もう1つ例を挙げたいと思います。

決め方②

この場合、多数決では4人がAを1位で選び、Aに決まります。決選投票付き多数決では、AとCの決選投票で、Aが4人でCが5人の結果、Cが選ばれます。ボルダルール(1位4点、2位3点、3位2点、4位1点と順位に配点を付けるやり方)では、Bが27、AとCが24、Dが15でBが選ばれます。

では、このうち最も民主的な決め方はどれでしょうか。そもそも民主的な決め方とは、一部の多数派(というより1番人数が多いグループ)のためのものではなく、万人のためのものであるはずです。

その点で最も理想的な決め方は、当然ながら満場一致です。しかしながら、全員が満足するという選択肢は実際にはほとんどない以上、満場一致に最も近いもので代替するしかありません。



■ボルダルールが最も民主的である

満場一致との近さは、満場一致の1位となるためのステップ数でカウントすることができます。

選択肢Aは、4人にとっては最初から1位、そこへ3人がAの順位を2つ上げ、2人がAの順位を3つ上げれば、満場一致でAが1位になります。よって、Aの満場一致への近さは、12ステップ(「0+2×3+3×2」より)になります。

同様に選択肢Bの満場一致への近さは9ステップ(「1×9」より)、Cは12ステップ(「2×4+0+2×2」より)、Dは21ステップ(「3×4+3×3+0」より)になります。よって、Bが最も満場一致からの距離が近いことになります。

Bはボルダルールで選ばれる選択肢であり、ボルダルールで選ばれる選択肢は必ず満場一致への距離が最も近くなります。つまり、最も民主的な選び方はボルダルールなのです。

満場一致への距離が近い選択肢(ボルダルールで選ばれる選択肢)は、言い換えればみんなにとってそこそこ順位付けが高い(満足が高い)選択肢であることを考えれば納得がいくかもしれません。



【参考】
『「決め方」の経済学』坂井豊貴著 ダイヤモンド社


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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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