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お金をあげると失敗する!?②

前回は、高額の交換付きの報酬は、発想が問われる課題や、新しいことを次々と応用する必要があるクリエイティビティな課題にはまったく向かないこと、その理由は、広い視野で考えれば、見慣れたものに新たな用途を見つけられたかもしれないのに、報酬によって解決を焦り、発想の焦点が絞られたせいで自由度がなくなってしまうからであることを取り上げました。

高額の交換付きの報酬が、創造性を損なうことについては、他にもヤーキーズ・ダットソンの法則によっても説明できます。


■ヤーキーズ・ダットソンの法則

ヤーキーズ・ダットソンの法則というのは、一般に覚醒水準、すなわち意識がはっきりしている度合いが高まると課題の成績は高まるが、あまりに覚醒水準が高まりすぎると逆に課題の成績が低下してしまうというものです。


ヤーキーズ

すべての課題にはそれを行うのに最適な覚醒水準がありますが、課題が困難になるほど、その覚醒水準が低くなるとも言われています。また覚醒水準は報酬によって高まります。

発想の転換が要求される困難な課題においては、報酬が与えられることによって不必要に覚醒水準が高まってしまうと、そうではないときに比べて課題の成績が悪くなってしまうというわけです。

人はあまりに過剰に動機づけられて覚醒水準が高くなると(報酬に気を取られたり、プレッシャーがかかったりして)、成績が逆に低下してしまうということは、イメージがつきやすいかもしれません。


■高額のボーナスでアイデアを募るのは逆効果では?

さて、高額のボーナスを懸賞にして、新規事業案や新商品開発案を社内で募るということがたまに見受けられますが、これまでの議論から逆効果となる恐れが高いと考えざるを得ません。

確かに何も新規提案を考えない社員に対して、無理やりアイデアを出させるには、高額の報酬で釣るのは効果があります。しかしながら、新規事業案や新商品開発案は、そもそもかなり高度な創造力が求められます。報酬で無理やり出させたアイデアなど、所詮は画期的でないどころか、ほとんど効果がないような代物になるのがオチではないでしょうか。

むしろ優れたアイデアを出した人に対し正当に評価することで名誉欲を満たしてあげるとか、事後的に感謝の形として報酬を与えるといったほうが効果があると思います。

つまり、本ブログでも取り上げた承認欲求(自分を認めて欲しいという欲求)に働きかけたほうが効果があるように思われます。

【参考】
『行動を起こし、持続する力』外山美樹著 新曜社
『不合理だからすべてがうまくいく』ダン・アリエリー著 早川書房
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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