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誰かがいるとパフォーマンスが上がる場合(社会的促進)②

前回、作業や課題を遂行している時に、そばに他者がいることで、その作業や課題の成績が高まる現象を社会的促進といい、逆に成績が低下することを社会的抑制ということを取り上げました。
一般に、簡単な、十分学習し、身に付いた課題の場合は、社会的促進が強く働き、難しい課題や学習が不十分な課題では、社会的抑制が強く働きます。
では、社会的促進や社会的抑制は、どのようなメカニズムで生じるのでしょうか。


■他人がいると慣れた行動をとりやすい

人間は、他者の存在により自動的に覚醒水準の上昇(脳幹賦活系、自律神経系、内分泌系の活動水準の上昇による心拍、血圧、知覚の鋭敏さ、反応速度などの上昇)がおきます。

その場合、単純な課題や十分学習された課題に対して、通常見られる反応(優勢反応)が出現しやすくなります。優勢反応がその状況に合致した反応であれば社会的促進となりパフォーマンスが上昇します。

しかし、その状況で要求される反応が、いまだよく学習されていない反応(非優勢反応)であれば、社会的抑制によるパフォーマンスの低下がおきます。

たとえば人間は相手の指が差している方向に視線を向ける傾向(優勢反応)があります。「あっち向いてホイ」では、「相手の指が差している方向に視線を向ける」が「相手が指さした方向と違い方向を見る」(非優勢反応)を上回るために、相手の指差す方向を見てしまうのです。もし「相手が指さした方向と違い方向を見る」ことを強く意識して優勢反応化すれば、相手の指差す方向を見ないようにできます。


■他人への注意が上手くいく場合と上手くいかない場合

他人の存在により覚醒水準が上がると注意が拡散します。社会的促進も社会的抑制も他人がいることでの注意の拡散によって生じます。それが努力の源泉となって社会的促進が生じ、空回りすると社会的抑制が生じます。

また他人から良く見られたいという欲求が人間にはあり、これが上手くはたらけば社会的促進が生じ、上手くはたらかないと社会的抑制が生じることになります。他人が自分を評価しない(評価できない)場合は、社会的促進も社会的抑制もはたらかないことになります。


易しい課題であれば、注意の拡散による認知の低下を作業者が何とかカバーしようとして、さらに他人から良く見られたいとして、過度に努力することで社会的促進が生じます。他人がいると気になるが、それを気にしないように努めて作業に集中する、何とかよいところを見せようと努力するということです。

難しい課題であれば、注意の拡散により、課題に十分な認知が行き渡らないためにパフォーマンスが低下し、社会的抑制が生じます。他人がいると落ち着いて考えられないといった経験は誰でもあるでしょう。

【参考】
『人はなぜ集団になると怠けるのか』釘原直樹著 中央公論新社
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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