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次期日銀総裁を勝手に占ってみる①

日銀の黒田東彦総裁の任期が残りあと約1年となったことから、日本経済新聞などで次期総裁候補が取り沙汰されています。ここで勝手に総裁候補を占ってみます。

日銀総裁の見識として注目したい点は、①量的緩和政策の維持・拡大についてどう考えているか②財政政策や成長戦略についてどう考えているかの2点です。②については政府マターですので本来は日銀の担当外ですが、重視する経済政策を知る上で注意したいところです。

先にお断りしておくと、本ブログのスタンスは、①デフレ脱却のために量的緩和政策は維持・拡大すべきである②日本は深刻な財政問題に陥っているわけではなく、消費増税はデフレ圧力となるだけで当面は不要であるというものです。この立場から今回は次期総裁候補に挙がっている日銀関係者を評価してみたいと思います。

黒田東彦総裁
エコノミストを対象としたアンケートなどで一番高くランクされるのが黒田現総裁です。現政策の維持という観点から高評価につながっているものと考えられます。また2月の完全失業率が2.8%と1991年の6月以来の低水準にまで改善させたことは素直に評価して良い点です。
マイナス面としては、財務省出身で消費増税に積極的であること(2014年度の増税時には経済に影響はないという発言をしています)は疑問符が付きます。さらに増税後の追加緩和のタイミングが遅すぎたという指摘もあります。
安倍総理との信頼関係はあるものと思われますが、総裁任期5年を超えて在任したケースは戦後でも2人しかおらず、続投はさせにくいかもしれません。

岩田規久男副総裁
岩田副総裁は1990年代から日本銀行批判の急先鋒であり、そのものズバリ「日本銀行は信用できるか」「日本銀行 デフレの番人」という著書もあります。現執行部で最も量的緩和に積極的とも言われますが、個人的には就任を期待したい1人です。
マイナス面としては、もともと学究肌の人(前任は学習院大学教授)なので官僚組織の運営について未知数であること、上記の経緯から日銀内部の反発が大きいことが予想されること、就任前に2年程度で2%の物価目標が実現できない場合は辞職すると発言したこと(実際は先送り)が与野党から反発される恐れが高いことが挙げられます。
総裁人事はこれまで慣例上は財務省出身者と日銀プロパーで占められていますので、可能性としては低いでしょう。

中曽宏副総裁
日銀プロパーで白川前総裁時の日銀理事を経て副総裁に就任。最近の講演でも量的緩和の重要性を訴えたようで現政策の維持が期待されます。日銀内部的には日銀出身者の総裁就任を待望しているでしょうから有力な候補と言えます。
マイナス面では2014年の消費増税の影響を過小評価したこと(「消費増税後の反動減は想定の範囲内」と発言)が気になります。

雨宮正佳理事
日銀プロパーで、前白川総裁時に理事に就任、その後大阪支店長を経て黒田総裁就任時に異例の理事再任という経歴です。日銀のプリンスとの声もあります。黒田総裁の片腕として事務方トップとして緩和策をとりまとめ、政府との調整にも奔走したとの評価があります。
マイナス面としては、雨宮理事はもともと量的緩和に消極的でただサラリーマン的に現体制に従っているだけという見方もあります。


日銀内部にはまだまだ量的緩和に否定的な声が大きく、結局日銀プロパーは面従腹背か単にサラリーマン的に現黒田総裁の方針に従っているだけという声があります。以前、私がある会でお話した日銀の方も「デフレのほうが購買力が上がって良い」と断言していました。
日銀出身の総裁(速水・福井・白川)がデフレ脱却を約束しながらまったく消極的であったことから、どうも日銀出身の方の総裁就任には懸念がつきまとってしまうのです。

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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