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アベノミクスはうまくいっているのか

2012年12月に始まったアベノミクスによる景気拡大が3月で52ヶ月となり、1990年前後のバブル経済期を抜いて戦後3番目の長さになったとの日経新聞による報道がありました。しかしながら、生活実感としては景気の恩恵を受けていないというのが多くの人の本音でしょう。


■景況感は悪い

それを裏付けるのが景気ウォッチャー調査です。これはタクシー運転手や商店街で働く人など景気に敏感な職業を対象としたもので、毎月、内閣府より公表されます。アンケート調査により現在の景況と今後の景況の判断を指数化し、50を上回れば景気が良い、あるいは景気が良くなると感じていることになります。

今月の10日に発表された3月の景気の現状判断指数が47.4となり、3カ月連続で低下しました。よって、景気は良くないという判断になります。

ただし内閣府から公表されている資料を見ると、面白いことに気がつきます。家計動向関連で見ると小売、飲食の落ち込みが激しく、企業動向関連で見ると非製造業の落ち込みが激しくなっています。

景気悪化の理由としては、「少子高齢化と競争激化(スーパー)」「燃料費の高騰を価格に転嫁できない(輸送業)」「紙類やサラダ油の値上がり(スーパー)」「人手不足(輸送業)」などが挙げられています。一方、観光業や製造業は堅調という見方が見られます。

要約すると構造的な問題、(円安による)原材料費の高騰、人手不足を抱える業種では景気が悪いという判断になっていると思われます。

こうした理由は企業の業績に直結するものの、景気全体の判断とは分けて考える必要があります。小売業の構造的な問題は景気にかかわらず存在するものですし、円安は原材料費の高騰にはつながるものの輸出企業には追い風になります。人手不足はまさに景気の恩恵です。


■雇用環境は改善が続く

一方で内閣府が公表した3月の消費者態度指数は4か月連続で前月を上回っており、特に雇用環境の改善が際立っています。

2月の完全失業率は2.8%と1991年以来の低水準です。また、春闘の賃上げ率を見ると全体では昨年並でしたが、ベースアップの引き上げ幅で中小が大手を逆転するという事態が見られます。


■アベノミクスの通信簿

以上を踏まえ、アベノミクスをどのように判断すればよいでしょうか。マクロ経済政策の評価は、GDP成長率と失業率の2点につきます。通常は、GDP成長率が上がれば失業率は低下しますが、両者の間に乖離が生じる場合もあります。

アベノミクス以降の名目GDP成長率を見ると、2013年1.7%、2014年2.1%、2015年3,3%、2016年1.3%であり、OECD 加盟国(34 ヵ国)の平均である3%~4%と比べると見劣りします。

一方、完全失業率は旧民主党政権時代の2012年の4.3%から2.8%に大きく改善しており、構造失業率(経済構造上、これ以下には下げられない失業率)に近づいています。

失業率の改善は既に正社員であったり自分で事業を行っていたりする方や、就業の意思のない主婦の方には無関係ですから、あまり恩恵は感じないでしょう。また、正社員の場合は、そうでな場合よりも、年に賃金が上がるタイミングが春闘の1度しかなく、賃金が上がりにくいです。

しかし学生や非正規社員といった労働市場の限界(境界)に位置する方にとっては、内定率や雇用条件の改善といった明らかな恩恵があります。

まずは失業率を減らすことが優先されますので、アベノミクスは控えめに見ても及第点はクリアしていると言えるのではないでしょうか。
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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