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フランス大統領選挙を経済学で読み解くと?①

フランス大統領選挙の投開票が終わり、マクロン氏の勝利となりました。現状のヨーロッパ連合(EU)体制の維持を受けて、日経平均も前の営業日から450円程度上がっており、ひとまず安心といったところでしょう。


■移民問題は当事国の問題

日本では移民容認のマクロン氏に対し、移民排斥のルペン氏という図式で報道されがちで、ルペン氏は「フランスのトランプ」と呼ばれることが多いです。しかしながら好景気のアメリカと不景気のフランスでは状況が全く異なり、このような呼称は適当ではないと考えられます。

日本ではルペン氏は極右という扱いですが、移民政策は当事国の問題ですから内政干渉に当たるし、テロの頻発というフランスの事情もあり、日本人がとやかく批判する問題ではないでしょう。

そもそも日本は移民受け入れをほとんどしていませんし、朝鮮半島危機に際し大量の難民が押し寄せてきたら大変だと言って騒いでいるわけで、移民の受け入れに積極的な日本人が大勢だとは思えません。他国を批判するのはお門違いです。

よって、今回は経済問題に対象を絞ることにします。


■低迷するGDPと高い失業率

まずフランスの現状を見てみます。リーマンショック後の2010年から2016年までのフランスの平均の実質GDP成長率は年率1.1%です。これは、OECD加盟35ヵ国平均の同1.9%を大きく下回ります。

ちなみにユーロ加盟国平均は同1.0%ですが、これは経済危機でこの間にマイナス成長に陥ったギリシャ、イタリア、ポルトガルといった国々が大幅に引き下げたもので、あまり参考にならないでしょう。

EU内のライバル国であるドイツは同2.0%となっています。ドイツもリーマンショック後に目覚しい回復を実現しているわけではありませんが、それでも、フランスとドイツの成長率の格差は年々広がってきています。

一方、失業率を見ると、フランスは約10%とドイツ(3.9%)にこちらも大きく水を空けられています。フランスの失業率はOECDで6番目の高さです。


■EU加盟国の呪縛

経済的に見ると、今回の大統領選の本質的な問題は失業問題です。これに移民問題がからんでそちらに関心が移ってしまったので、焦点が不明確になった気がします。

EUや統一通貨ユーロについては、本ブログでも取り上げてきましたが、財政健全化基準のあるEUでは各国の事情に即した機動的な財政政策には限界があり、統一通貨を採用していることから各国の裁量による金融政策は不可能です。各国が自由に財政政策も金融政策も行えないということは、政府が経済政策を行えないこととほとんど同義です。

(つづく)

【参考】
現代ビジネス/決選投票で極右ルペンが勝つかもしれない「これだけの理由」/20170427/安達 誠司
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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