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フランス大統領選挙を経済学で読み解くと?②

■フランスはユーロの劣等生

フランスはドイツと並ぶEUのリーダー的な存在と思われがちですが、経済的にはドイツよりもイタリア・ポルトガル・スペイン・ギリシャのほうに近いです。

失業率の高さについては前回触れましたが、EU最大の経常収支赤字国で財政的にも赤字でEUの財政基準を満たしていません。

このような場合、通常は自国通貨が減価されることで調整されるのですが、ユーロという統一通貨の存在により、フランスにとって割高な通貨となっており、その結果、輸出産業を中心に国内経済の重しとなっています。これは他の財政赤字国と同様です。


■マクロン氏の経済政策の効果は?

両者の経済政策を見ると、マクロン氏が法人税減税、公務員の削減、EUとの関係強化、ルペン氏は、EU離脱、ユーロ離脱、財政支出拡大です。

前回触れたように、そもそも財政健全化基準のあるEUでは各国の事情に即した機動的な財政政策には限界があり、統一通貨を採用していることから各国の裁量による金融政策は不可能です。

以上を踏まえると、マクロン氏の法人税減税はいずれEUからの介入で頓挫する可能性があります。法人税減税は企業の設備投資を促す政策ですが、景気の見通しが暗いといくら減税しても企業は設備投資をしませんから、そもそも効果は懐疑的です。

またフランスは就業者数に占める公務員の割合が35%と高く(ヨーロッパは大抵高い、ちなみに日本は約18%とOECDの中でも韓国に次いで極めて低い)、多少削減することが望ましいとも言えますが、日本以上に公務員天国のフランスにとってこれは政治的には容易なものではないかもしれません。仮にできたとしても単に経費削減ですからマクロ経済へのインパクトはほとんどなく、GDPに対しては政府支出削減のマイナス効果のほうが高いでしょう。


■フランスの構造的問題

EU加盟国におおむね共通するのが、解雇制限や失業保険等を含む「厳格過ぎる労働者保護」の諸規制です。不景気でも正社員の雇用を守るということは、限界部分の労働者(求職者や非正規雇用)にしわ寄せされ、高い失業率を生みます。高い失業保険は就業意欲の減退を招きます。

ちなみにスペインは、2011年以降、労働者保護に関わる規制を大胆に緩和し、その結果、ここ3年、経済回復が続いています。ユーロ加盟国に限ってみれば、雇用関連規制の緩和の度合いが高ければ高いほど、直近3年の平均実質成長率が高いという関係性が見られます。

マクロン氏は失業保険の充実を訴えていますから、どちらかと言えば労働者保護寄りとも考えられます。


【参考】
現代ビジネス/決選投票で極右ルペンが勝つかもしれない「これだけの理由」/20170427/安達 誠司

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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