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経済学者たちはなぜ対立するのか?②(古典派とケインズ派)

■長期的にはわれわれはみな死ぬ

ざっくり言って経済学には古典派(新古典派)とケインズ派という2つの学派があり、これまでも激しい議論の応酬がなされてきました。

ミクロ経済学の内容は、古典派の考え方です。古典派は市場の調整メカニズムを重視し、政府の介入を嫌います。市場に任せておけば、長い目で見れば需要と供給は折り合うというのです。そして経済成長の要因として、長期のAD-AS分析で見たように、供給サイドの改善を重視します。

長らく経済学は、古典派の考え方に沿って発展していきましたが、1929年の世界大恐慌以降、経済の自己調整メカニズムが上手く機能せず、長く不況の状態が続くことになりました。そのような状況の中、脚光を浴びるようになったのが、ジョン・メイナード・ケインズです。

ケインズ派の基本的な主張は、「古典派の考え方は長期には当てはまるかもしれないが、短期には当てはまらず、政府による景気(総需要)の調整が必要だ」というものです。ケインズは、古典派に対し、次のような批判をしています。

「長期的に見ると、われわれはみな死んでしまう。嵐の最中にあって、経済学者に言えることが、ただ、嵐が遠く過ぎ去れば波はまた静まるであろう、ということだけならば、彼らの仕事は他愛なく無用である。」

たとえば失業者が街にあふれかえっているときに、「それはまだ賃金が高いからであり、そのうち賃金が下がるだろうから、いずれ失業問題は解決する」といったところで、何ら有意義ではないでしょう。


■どちらが正しいかではない

古典派とケインズ派の主張のどちらが正しいかを考えることにはあまり意味はありません。置かれている経済状況によって採るべき政策が異なるからです。デフレギャップが生じていればケインズ派の言うように総需要を拡大させる政策が必要でしょうし、インフレギャップが生じていたり、長期的な視野に立てば、古典派のいうように供給能力を高めるべきでしょう。

経済学にも時代に応じてブームがあります。世界的に見ると、戦後、しばらくはケインズ派の総需要重視の考え方が優勢であり、1970年代後半になると古典派的な総供給重視の政策が優勢となり、リーマンショック後はまたケインズ的な政策が優勢となったという印象があります。

これからも総需要重視の経済政策が採用されたり、総供給重視の経済政策が採用されたりといったことを繰り返していくでしょう。
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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