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歴史から学ぶ正しい姿勢②(避けられたかもしれない太平洋戦争)

日銀審議委員の原田氏は旧経済企画庁出身の官庁エコノミスト出身で多数の著作があり、私も4.5冊読んだことがあります。原田氏の姿勢は、それぞれの分野での通説や思い込みを、統計データと経済学的思考で覆すというものです。

 

特に「日本国の原則」(日本経済新聞社)は、私のような経済の専門家ではない人間にとって、正しい歴史認識を持たせてくれる貴重な1冊でした。原田氏の著作を読めばナチス礼賛者ではないことは明確にわかります。

 

原田氏の著書を読むと、統計経済への嫌悪感が強く感じられます。財政・金融の一体発動により浮揚したドイツ経済も、その後の統制経済下で弱体化を見せ始めます。原田氏はその点も指摘しており、なにもナチス経済を全面的に肯定しているわけではありません。

 

今回は、原田氏の著書「日本国の原則」の中で太平洋戦争開戦にまつわる興味深いエピソードを紹介したいと思います。

 

 

■避けられたかもしれない太平洋戦争

 

日本が太平洋戦争に至った直接的なきっかけは、アメリカが対日石油禁輸に踏み切ったことだということは、ほとんど議論の余地がないことだと思います。

 

石油が枯渇すれば生産活動はストップし、日中戦争を行っていた軍部は軍事活動が不可能となりますから、当時の雰囲気を考えれば残念ながら対米戦争という選択を行ったのは自然といえば自然です(もちろんそれは結果的には壊滅的な結果を生むわけですが、当時の世相からすれば避けられなかっただろうという意味です)。

 

日中戦争開戦の1937年当時、日本の石油消費量は年間で約417万キロリットルでした。当時、日本の支配下にあった満州国には油田の存在が指摘されていました。中華人民共和国の下で1958年に大慶油田が発見され、1960年代には年間5000万キロリットルもの生産量に達しました。

 

ではなぜ日本は大慶油田の発掘ができなかったのでしょうか?実は日本の商工省が満州国の油田試掘の要請を却下してしまったのです。大慶油田は地下1800メートルにあり、当時の技術では採掘が難しかったのですが、日本は3000メートルまでの採掘技術があったにもかかわらず、それを扱える技術者がいませんでした。この採掘技術は高度な軍事機密であり、その漏洩を恐れて欧米の優れた技術者を雇わなかったのだという当時の国際石油の社員の証言があります。

 

歴史に「もし」は禁句ですが、日本が大慶油田を発掘していれば、日米開戦に至る確率は相当下がったのではないかと考えられます。誤った経済統制が招いた悲劇と言えるでしょう。


歴史教育では多くの場合、何も明確な根拠の提示がなく、イデオロギーや価値観でなされている印象が私にはあります。同じことが現在のマスメディアの報道姿勢にも感じられます。しかしながら歴史的な事件の背景にはほとんどの場合、経済問題が存在します。原田氏の著作はそのことを教えてくれるよいきっかけとなるでしょう。

 

【参考】

「日本国の原則」原田泰著 日本経済新聞社

 

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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