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臓器売買は認めるべきか?

■市場がなければ誰も得をしない

 

経済学者は「市場のメカニズムに乗せれば大抵の場合はうまくいく」と考えます。市場経済というと、「金持ち優遇だ!」「弱者切り捨てだ!」と特にリベラルな考え方をする人たちからは大きな批判を招くことがあります。

 

しかしながら市場のメカニズムに乗せて取引をすれば売り手にも買い手にも利益(余剰)が生じますが、乗せなければどちらにも何も利益が生まれません。

 

 

■臓器売買は認めるべきか?

 

ここで臓器売買について考えてみましょう。ご存知のとおり生体移植用の臓器は圧倒的に不足しており、もし臓器売買が認められれば臓器提供は飛躍的に増加するでしょう。

 

その一方で、日本を含めほとんどの国では臓器売買は禁止されており、少なくとも臓器売買の公式的な市場は存在しません。その理由は臓器売買を認めると経済的に貧しい人が臓器提供を余儀なくされ、金持ちだけがその恩恵に授かるからだという道徳的な理由が一般的です。

 

しかしながらノーベル経済学賞を受賞したゲーリー・S・ベッカー教授は、これに異を唱えています。臓器の商業売買が認められても、おそらく生体移植で利用される臓器の多くは今と同様に身内のものが提供したものであるだろうし、仮に貧しい人が死後に臓器を有償で提供するということであれば、彼らにとっても遺族に遺産を残せて便益があるはずだという主張です。

 

臓器売買を認めれば悪質な業者による臓器を目当てにした犯罪が起こるかもしれないという意見がありますが、臓器売買が禁止されている今でもそのような犯罪は起こっているでしょう。

 

 

■闇市場化すると監視が困難

 

ここでは臓器売買の是非までは結論づけませんが、強調しておきたいのは道徳的な理由だけではものごとは解決しないということです。副次的に生じる問題は、ティンバーゲンの定理に沿って、個別に対処すればよいのです。

 

また公式的な市場メカニズムに乗せなければ、闇の市場で取引されるようになり、違法な取引の監視はより困難になります。需要と供給がある以上は、市場取引に任せたほうがうまくいくケースのほうが多いという意見にはうなずけるものがあります。

 

現在、東京オリンピックに向けて議論されている民泊についても同様です。既に違法な民泊が相当程度存在する以上、公式に民泊を認めてルールを明確化し、無許可の民泊やルールを守らない民泊を取り締まったほうがよいのではないでしょうか。

 

【参考】

「ベッカー教授、ポズナー判事の常識破りの経済学」ゲーリー・S. ベッカー、リチャード・A. ポズナー著 東洋経済新報社

 

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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