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弱い立場での交渉

相手と力関係が対等であったり、こちらが力関係で有利な場合の交渉はまだ楽ですが、力関係で相手よりもこちらが劣る場合にはどうすればよいでしょうか。事態を思うように打開することは難しいですが、次のようなことを試してみる価値はあります。

 

 

■自分が弱い立場にあることを明かさない

 

交渉はある種のパワーゲームですから、これは基本です。自分のBATNA(交渉が決裂した時の対処策として最も良い案)が貧弱であることを相手に知られてはいけません。たとえば「私には時間がありません」「何でもおっしゃってください」などと言うと、切羽詰まった感が満載で、こちらのBATNAが貧弱であることがバレバレです。

 

よって、同じメッセージでも言い方に気をつける必要があります。たとえば「私どもは迅速に処理されることを望んでいます」「多少の都合をつけることができます」などと多少余裕がある言い方をするといったことです。

 

 

■相手の弱点を利用して、自分の弱点を克服する

 

相手が圧倒的に力関係で上のように思えても、案外、弱点があることがあります。たとえば大手の取引先に営業マンであるあなたが呼ばれ、相手から「オタクは他社よりも価格が高い。あと10%値下げしないと取引しない」と迫られたとします。この場合、相手の要求を飲むかどうかを考える前に、相手の弱点を考えてみる必要があります。

 

あなたをわざわざ呼んだのだから、相手としてもおそらく取引の継続を望んでいるはずです。でなければ、何も連絡をせずに取引を打ち切ればよいだけだからです。もしかしたらあなたの会社の製品が他社よりも優れていることを認めているのかもしれないし、業者を切り替えることが煩わしいのかもしれません。それが相手の弱点になります。

 

もちろん、一方的に断るのもリスクが高いですが、相手の要求に屈する前に、交渉する余地がないかどうか検討したほうが賢明でしょう。

 

 

■独自の価値提案をする

 

価格交渉を迫られた場合のセオリーは、価格以外のこちらのメリットを強調することです。品質、納期、付加的なサービス、支払条件など様々なことが考えられます。もっともメリットは相手が実際に感じるメリットであり、こちらが考えるメリットではありませんから、こちらの出方は慎重にならざるを得ません。もしかしたら、本当に価格しか興味がなければ、ひとり相撲になってしまいます。

 

相手が感じるメリットがわからない場合には、品質は劣るが安い案と、品質は良いが高い案の2つを示して様子を見るといったこともありです。相手が後者を選び、さらに値引きを要求してくることは考えられますが、少なくともこちらの品質を評価していることがわかった分、そうでない場合よりも交渉の余地が生まれます。

 

 

■返報性の原則に沿う

 

相手の示している低条件を飲むのもイヤだが、かといって取引を打ち切るのは避けたい場合には、取引することを明確にした上で、何らかの根拠を示し、相手の譲歩を促すという方法を取るしかありません。

 

行動経済学者のロバート・B・チャルディーニによれば、人間には返報性の原則(相手から先に何かをされると、お返ししたくなる)があると言います。相手にとっても、こちらに一方的に要求を飲ませることには、心理的な抵抗があるはずです。よって、こちらの希望に対して譲歩する可能性は十分にあります。たとえば価格面では折れるが、支払条件を良くしてもらうといったことです。

 

 

■交渉妥結にこだわらない

 

当たり前ですが、もっとも重要なのは、その取引が自分にとって本当に必要なのか考えてみることです。必ずしも交渉をまとめる必要がないという姿勢が、交渉力を生みます。気が進まないのなら、後で後悔するよりも、強気で迫ったほうがよい結果を生むように思えます。

 

 

【参考】

「交渉の達人」ディーパック・マルホトラ、マックス・H・ベイザーマン著 日本経済新聞社

 

 

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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