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同族経営のパフォーマンス②

■同族会社のトレードオフ

 

同族会社というと、資質に劣る者でも経営者に選ばれてしまうのではないか?という疑問があります。「同族にこだわらず優秀な社内の人材に経営を任せたほうがよい」というのが一般的な意見であろうと思います。

 

もっとも中小企業の場合は、経営者やその一族が個人資産を担保に会社の負債を背負っていることが多いです。よって、一族外の人間に経営を任せ、負債だけを一族が負うということは、現実的には難しいでしょう。一族外の人間にとって、社長就任と同時に、負債も引き継ぐことはかなり抵抗感があるからです。

 

個人的な感想を言えば、社長候補である二世には、早くから本人に経営者になることの自覚があるせいか、優秀な方が多いような気がします。ただし、そうでない方もいるのは事実でしょう。

 

このように同族会社には、「エージェンシー問題を防ぎ、ブレのない経営をもたらす」というプラス面と、「無能なものをトップに据えてしまいかねない」というマイナス面というトレードオフがあります。これを言い換えれば、トレードオフを解消できれば、同族会社は最強ということになります。

 

 

■「婿養子」という解決策

 

では、このトレードオフを解消する方法はあるのでしょうか。それは日本独特の制度である「婿養子」です。通常、海外では養子といえば子供が対象なのですが、日本では、なんと98%が大人の養子なのです。

 

婿養子が経営者である企業は、純粋な創業家一族出身者が経営者の企業よりも、ROA(総資産利益率)が0.56%高く、創業家でも婿養子でもない人物が経営する企業よりも、ROAが0.9%、成長率が0.5%高くなるという分析結果があります。

 

なぜそうなるのでしょうか?婿養子は長い時間をかけて外部・内部から選抜された優秀な人物であることが多いからです。さらに創業家に婿入し、創業家と一体となりますから、株主(創業家)と同じ視線でブレない経営ができます。つまり同族会社のいいとこ取りが可能になります。

 

ちなみに婿養子経営者の例としては、アシックスの尾山基氏、松井証券の松井道夫氏、スズキ自動車の鈴木修氏などがいます。

 

 

■婿養子の育てかた

 

前回の「同族経営のパフォーマンス①」でも見たように、同族会社にはメリットもありますから、一概に否定されるものではありません。もちろん、婿養子であれば必ず上手くいくものでもありません。

 

婿養子に限ったことではありませんが、後継者として厳しく鍛えることは必要でしょう。また、創業家の理念と一体化させることも求められます。アメリカなどで新たに外部から雇われたプロ経営者が、それまでの事業方針や経営理念を無視した改革を強引に行った結果、強みが失われたといったケースが多くあります。改革は必要ですが、それは理念というブレないものの上に成り立っていることを忘れてはいけません。

 

 

【参考】

「ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学」入山章栄著 日本BP

 

 

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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