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オリンピックの経済学①

■オリンピックで経済成長するか?

 

2024年のオリンピックがパリ 2028年はロスに正式決定しました。オリンピックのような大イベントを開催すると経済成長するという意見がありますが、実際にはどうなのでしょうか。

 

確かに1964年の東京、1988年のソウル、2008年の北京での開催後、主催国は経済成長しています。しかしながら、ソウル五輪以降の夏季6大会で、開催年より翌年のほうが経済成長したケースは、アトランタ(アメリカ)大会だけというデータもあります。

 

一方、1992年のバルセロナ(スペイン)、2004年のアテネ(ギリシャ)、2016年のリオデジャネイロ(ブラジル)を見ると、開催後に主催国のGDP成長率は鈍化、ギリシャやブラジルは深刻な経済不況に陥りました。

 

オリンピックと経済成長の関係を考える場合、先進国と非先進国とで分ける必要があります。オリンピックはもはや財務基盤のある先進国でしか開催するのが難しい状況です。先進国の場合はオリンピック開催は経済成長の要因となりえますが、非先進国の場合は財政負担が重く、効果がない可能性が高いということです。

 

ただしギリシャやブラジルを例に「オリンピックは経済不況をもたらす」というのは、早計でしょう。経済成長には様々な要因があり、オリンピックの経済効果はたかがしれているからです。両国はもともと経済基盤が脆弱であり、たまたまそのタイミングでオリンピックが開催されたにすぎません。

 

 

■オリンピックの経済効果は規制緩和

 

オリンピックを開催すれば海外から観光客が増え、経済成長するように思えますが、それは一時的なものであり、1国の経済成長に与える影響はかなり限定的です。それよりも交通網などのインフラの整備、オリンピック開催を契機に為替規制の緩和や資本取引・貿易の自由化が進むことによる経済効果のほうが長期的には大きいのです。

 

たとえば1964年の東京大会の場合、インフラ面では東海道新幹線の開業、首都高速道路・名神高速道路の整備が進みました。また、それ以上に大きかったのが、貿易の自由化(1960年から63年にかけて貿易自由化率は40%から92%に上昇)と資本取引の自由化(1964年にOECD加盟)です。既に日本は先進国の末端に入っており、技術力も着いていましたから、こうした貿易の自由化は、その後の経済成長を後押しすることになりました。また民間警備事業もオリンピックでの警備受託が注目され、その後の発展につながる契機となっています。

 

つまり、オリンピックの直接的な効果よりも、オリンピックを契機に規制を緩和して先進国として相応しい開かれた環境を整備することのほうがインパクトが大きいのです。

 

2020年の東京オリンピックに備え、現在、民泊解禁が話題になっています。その他にもタクシーや公共交通機関の規制緩和、Wi-Fi環境の充実などが求められています。日本にはまだまだ非合理な規制が沢山ありますが、オリンピック開催を契機に規制緩和が進めば開催後の経済成長につながる可能性はあるでしょう。

 

 

【参考】

『儲かる五輪』高橋洋一著 KADOKAWA

 

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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