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囚人のジレンマ③

■囚人のジレンマゲームの例

 

前回、前々回と囚人のジレンマ(非協調な行動の結果、協調した場合よりも利益が下がってしまうこと)を見てきました。

 

囚人のジレンマの性質には、次の3つがあります。

  自分にとって相手が何をしてきても非協力的に行動したほうが利得が高い。

  自分が非協力的に行動すると相手の利得が下がる

  お互いが私的利益を追求することで、協力した場合と比べてそれぞれの利得が下がってしまう。

 

囚人のジレンマゲームは、至るところで見ることができます。

 

・業界内での価格競争の激化

自社だけ値下げすれば販売量が増加して儲かるが、他社も同様の行動をすることで業界全体で価格競争となり、結果的には誰も儲からない。

 

・戦略的提携の失敗

2社間で互いのノウハウを持ち寄り新製品を共同開発すれば2社とも大きな利益を得られるにもかかわらず、互いに相手の技術開発にただ乗りしようとし、結果的には提携が上手くいかない。

 

・生産量カルテルの崩壊

業界企業が値崩れを防ぐために業界全体の生産量を制限し各企業の生産量の割り当てをしていたが、抜けがけして増産する企業が現れて、カルテル(協定)が崩壊する。OPECなどの国際的な協定のケースも同じ。

 

・漁獲量の乱獲

個々の漁師が利益拡大に走ると水産資源が失われ最後には資源が枯渇してしまう。

 

・軍拡競争

各国が自国の力を誇示しようとすると、際限のない軍拡競争に陥り、結果的にはすべての国が疲弊してしまう。

 

 

■囚人のジレンマの克服法

 

前回、前々回のペイオフマトリックスを価格競争に置き換えて、囚人のジレンマの克服法を考えてみます。


囚人のジレンマ2 

両社が望ましい利益をあげられるようにするためには、まず上の表のようなペイオフマトリックスを作成し互いに協調(価格維持)をしたほうがよいことを認識する必要があります。もちろん互いにどれだけ利益をあげることができるか正確に把握することはできませんが、おおよその利益を見積もることはできるでしょう。

 

ただし両社とも値下げしたほうが得する以上、どうしても裏切りのインセンティブはあります。そこで裏切らせない工夫が必要になります。そのためにはコミットメント(自分が将来にとる行動を表明し、それを確実に実行することを約束すること)が考えられます。

 

たとえばA社としては、B社が抜け駆けして値下げしないよう、「値下げには値下げで応じる」という表明をするのです。そうすればB社の利益は10から6に下がってしまいますから、B社としても値下げを思いとどまるでしょう。

 

企業同士がカルテルを結ぶことは自由競争を損なうので法律で禁止されていますから、現実的な対応策としてはコミットメントが有効だと考えられます。

 

 

【参考】

『入門 ゲーム理論と情報の経済学』神戸伸輔著 日本評論社

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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