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人手不足倒産が急増中?

■人手不足倒産が急増中?

 

人手不足倒産についての報道が見られます。東京商工リサーチが9日発表した10月の全国企業倒産件数は、前年同月比7%増の733件となり、人手不足関連の倒産が77%増の39件で調査を開始した2013年以降では過去最多件数だったとのことです。

 

確かにコンビニや飲食店では外国人アルバイトの方が目立つようになり、アルバイトの時給も上がっていますから、これだけ見ると、人手不足が企業に与える影響が深刻化しているという印象を持つかもしれません。

 

 

何のニュースバリューがあるの?

 

しかしながら実際に人手不足倒産の内訳を見ると、代表者や幹部役員の死亡、病気入院、引退などによる「後継者難」型が29件(前年同月17件)、中核社員の独立、転職などの退職から事業継続に支障が生じた「従業員退職」型が5件(同1件)、人手確保が困難で事業継続に支障が生じた「求人難」型が4件(同3件)、賃金等の人件費のコストアップから収益が悪化した「人件費高騰」型が1件(同1件)となっています。

 

社員が確保できないといった一般的な意味での人手不足は、たったの4件に過ぎないのです!企業倒産件数全体(733件)のうちのわずか0.5%です。

 

ちなみに2017年上半期の全倒産件数に占める「求人難」型の比率は、0.37%ですから、

増加傾向と言えなくなはないでしょうが、はっきり言えば誤差の範囲でしょう。些細な違いをことさら取り上げて騒ぐ報道姿勢にはまったく理解できません。変化が大きいことを大騒ぎするが、よくよく全体から見れば極めて些細な部分に過ぎないといったことはマスメディアの報道では本当によくありますから、注意したいものです。

 

 

1人日銀に反旗を翻す片岡氏

 

8月に日銀の審議委員に就任した片岡剛士氏は、「労働力にはスラック(余剰感)がある」とし、追加金融緩和の立場から、9月・10月の金融政策決定会合で1人、現行の金融政策維持に反対票を投じました。黒田総裁体制になって金融緩和を始めて「金融緩和に反対」という立場の審議委員はいましたが(大抵金融機関出身者)、「不十分だからもっとやれ」という反対は片岡氏だけです。

 

2017年9月時点で完全失業率は2.8%です。失業はどんなに好景気でも一定数あります。自己都合退社や企業倒産はいつでも存在するからです。これ以上、下げられない失業率を構造失業率といいます。構造失業率まで失業率が下がると、本格的に人手不足になり、賃金がいっきに上昇することになります。

 

構造失業率の算定は難しいのですが、おおよそ2.5%弱程度と見られます。つまり現在は人手不足感は多少あるもの、まだ失業率の底には至っていないのです。本当に人で不足なら人材確保の面から正社員の賃金ももっと上がっていないとおかしいからです。片岡氏はこのことを主張しているのです。

 

黒田体制以前の日銀の金融政策や、日銀職員や出身者の方の話を聞いていると、「日銀はデフレが好き」と言わざるを得ません。そのような中で片岡氏のような主張は抵抗が大きいでしょうが、これまで出演番組や著作をチェックしてきた身で言うと、是非頑張って頂きたいと思います。

 

 

【参考】

東京商工リサーチHP

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女性管理職登用のあり方②

前回、ノルウェーを例に、女性取締役比率の上昇は企業価値を低下させることを示唆する(女性取締役を10%増加させた場合、企業価値は12.4%低下する)ことを取り上げました。今回は、その理由について取り上げます。

 

 

■単なる数値目標では逆効果

 

前回触れたように、ノルウェーでは、女性取締役比率が2008年までに40%に満たない企業を解散させるという法律が可決されました。その結果、女性取締役比率が低い企業は、急いで女性を取締役に引き上げる必要に迫られました。

 

この期間に新しく取締役に就任した女性は、もともとの取締役よりも年齢が若く、他社での取締役経験もなく、他業種から参入した人が多いことが分かりました。それだけではなく、もともと取締役だった人と「同じ姓」の人が多いことも判明しました。つまり、もともと取締役だった人の妻や娘というわけです。

 

政府による女性取締役比率の数値目標が課された結果、ノルウェーの企業の多くは、経験が浅く、経営者の資質に欠ける女性を無理やり取締役にして急場をしのいだのです。このことが企業価値を毀損することにつながったと考えられます。

 

 

■資質がある女性の数を増やす

 

誤解がないように言っておくと、女性を管理職や取締役にしても無駄だということではありません。国の経済や企業の業績を浮揚させるためには女性の活躍が必要だということは言うまでもありません。私も中小企業診断士受験のためのガイダンスでは、「世の中の少なくても半分の商売は女性を相手にしているのだから、女性は診断士としての価値がある」と申し上げています。特に消費財分野は女性のほうが適性があるというようにも感じています。

 

問題なのは一律に女性管理職の数値目標を定めてその実現を迫るということです。これまで見てきたように、かえって逆効果になる可能性があります。

 

男性のほうが優秀だということではなく、前回、自民党女性議員についても触れたように、企業も自治体もなんといっても女性有資格者の絶対数が少ないように感じます。日本の場合、まだまだ女性不利な仕事環境であることは間違えないでしょうから、それを改善しつつ有資格者を増やしていくという時間がかかる地道な取り組みが必要なのではないでしょうか。

 

また中途半端に女性管理職を増やしても、彼女らが孤立するだけであまり効果がないことも知られています(これについては、本ブログの「なぜダイバーシティーは上手くいかないか?」を参照下さい)。ダイバーシティーといった言葉だけが独り歩きし、実効性が伴わない空疎な議論が多いような気がします。

 

 

【参考】

『「原因と結果」の経済学』中室牧子、津川友介著 ダイヤモンド社

 

女性管理職登用のあり方①

安倍政権は2020年に女性管理職比率を30%に高める目標を掲げています。2016年には女性活躍推進法を成立させ、これにより企業や自治体は、女性管理職比率の数値目標を盛り込んだ行動計画を策定し、公表することが義務付けられました。

一方、2017年度の男女平等度ランキングで、日本は114位で過去最低のランクに落ち込みました。

国の経済や企業の業績を扶養させるためには女性の活躍が必要だということに異論がある方はいないでしょう。

 

 

■自民党女性議員の厳しい台所事情

 

第2次安倍政権発足以降、安倍総理は女性の閣僚登用に積極的に見えます。発足当初は5人いた女性閣僚でしたが、4人、3人と徐々に減って現在では2人となっています。

 

安倍政権としては女性活躍をスローガンに掲げている以上は、もっと女性閣僚を増やしたいところでしょうが、実際には減っている。自民党内では衆参合わせて40人の女性議員がいるのですが、そもそも絶対数が少ないことが大きいのですが、登用しても不祥事を起こしてしまったり、閣僚としての資質を持った議員が少なかったりして思うようにいっていないというようにも思えます。「当選回数が多いのに閣僚経験がないのは資質面でのスクリーニングとも言える」という見方をする人もいます。もっとも閣僚になりたくないという人もいるとは思いますが…。

 

 

■女性取締役の数が多い企業のほうが業績は良い?

 

一方、企業の女性管理職割合は平均6.9%程度です(帝国データバンク調べ)。ROE(自己資本経常利益率)の増加率で見た場合、女性取締役なしの企業と、女性取締役2人以上の企業で比べると、製造業では11.2%対14.4%、非製造業では13.2%対16.7%と、女性取締役の数が多い企業のほうが有利というデータもあります(平成26年度産業経済研究委託事業報告書)。

 

 

■女性取締役を増やせばと企業業績は向上するか?

 

では、女性取締役を増やせばと企業業績は向上するのでしょうか?ノルウェーでは、女性取締役比率が2008年までに40%に満たない企業を解散させるという法律が可決されました。それまで同国の上場企業の女性取締役比率は10%未満で、しかもかなりバラツキガありました。

 

南カリフォルニア大学のケネス・アハーンは、この状況を「女性取締役比率と企業価値の関係」を調べる材料としました。調査結果は驚くべきもので、女性取締役比率の上昇は企業価値を低下させることを示唆するものでした。具体的には、女性取締役を10%増加させた場合、企業価値は12.4%低下することが明らかになったのです。

 

なぜ、このような事態が生じてしまったのか?その理由は次回に取り上げたいと思います。

 

 

【参考】

『「原因と結果」の経済学』中室牧子、津川友介著 ダイヤモンド社

何かをやりとげるためのちょっとした工夫(ナッジ)

ナッジ

 

2017年のノーベル経済学賞は、行動経済学者のリチャード・セイラーが受賞しました。人間は必ずしも合理的に経済活動を行うわけではなく、心理面に大きく影響を受けます。「人間の心理がどう経済活動に影響を及ぼすのか」を研究するのが行動経済学です。

 

人間の意志は儚いものです。ダイエット、禁煙、貯蓄、自己啓発のための勉強は大抵は長続きしません。それが普通なのです。

 

望ましい結果を得るためには、意志の力ではなく、ちょっとした工夫が必要です。セイラーはこれを「ナッジ(注意のために肘で小突く)」と呼んでいます

 

 

■意思表明で自分の手をしばる

 

ナッジの典型例は、コミットメント(決意表明)です。人間は、一度決意表明をするとそれを守ろうとします。言い方を変えれば、コミットメントは誘惑に負けないために自分で自分の手をしばることを意味します。コミットメントは言葉で発するだけでなく、態度で示すこともできます。

 

たとえば貯蓄したいなら、自動引き落としの定期預金にしておけばよいでしょう。人間は現状維持の傾向があるから、解約はめったにしません。

また思い切ってクレジットカードを冷凍庫で凍らせておくというアイデアもあります。インターネントで買い物をしたくなっても、いちいちクレジットカードを解凍しなくてはならず、その間に買い物衝動も冷めるかもしれません。

 

 

■自分に罰を加える

 

計画どおりにいかなかった場合の罰則の仕組みも有効です。たとえば、アメリカでは、自分のカードの負債額を公開するというサイトがあるようです。負債が増えるほど恥ずかしい思いをするので、浪費を抑えることができます。

 

具体的には覚えていませんが、計画が未達に終わった場合、一定額を自動的にチャリティに寄付するというサービスもあるそうです。あえて嫌いな団体を登録しておけば効果的です。たとえばリベラル支持者だったら、貯蓄の目標額に達しなかったら、全米ライフル協会に自動的に寄付するという具合です。日本で安倍政権支持者なら、立憲民主党の枝野幸男事務所や辻元清美事務所に寄付するようにしておけば効果は抜群でしょう。

 

残念ながら日本ではこのようなサービスはないので、自分で作るしかありません。目標を掲げたら、その進捗状況を知人やネット上で公開することは極めて有効です。

 

さらに効果を上げるために、あなたの最も嫌いな知人に、「僕が今年の目標が達成できなければ10万円を君にあげる」と前もって約束しておくというのはどうでしょう?

 

 

【参考】

『実践 行動経済学』リチャード・セイラー著 日経BP

『予想どおりに不合理』ダン アリエリー著 早川書房

『お金と感情と意思決定の白熱教室』ダン・アリエリー著 早川書房

何かをやり遂げるための5つの工夫⑤

今回は、「何かをやり遂げるための5つの工夫」の残り2つについて見ていきます。

 

■自分にご褒美を出す

 

「何かをやり遂げるための5つの工夫」の4つめは、「自分にご褒美を出す」です。

 

成功した人は、小さな目標が達成されるたびに自分にご褒美を出すことを計画に取り入れていました。たとえば、中間目標がクリアできたら、ご褒美に好きなものを買うとか、旅行に行くとかいったことです。

 

人間の意志力は摩耗することが知られています。修行僧のように我慢だけ強いられているのでは、意志力は摩耗してしまいますから、「自分にご褒美を出す」ことで意志力の持続を図るのです。

 

 

■日記や記録をつける

 

最後の工夫は、自分の立てた計画の進み具合を日記などで記録しておくことです。

 

人間は目標達成に近づくほど達成に向けた努力を傾注することが分かっています。ラストスパートを掛けるということです。目標に接近するにつれ,次第に学習の効率 (誤りの減少) が増加することを目標勾配といいます。

 

初めて買い物したお店でスタンプカードをもらうことはよくありますね。その際に、お店の人がポンポンと購入金額に相当する以上のスタンプを押してくれることがありますが、これは何もサービスではありません。スタンプが押していない8マスのカードと、2個スタンプが押してある10個のカードでは、後者のほうが顧客は再購買することが分かっています。

これはマスをすべてスタンプで埋めるというゴールに少しでも近づくにつれ、スタンプを埋める(その店で買い物する)ことに前のめりになるという消費者心理を利用したものです。

 

計画の進み具合を記録しておくということは達成まで近づいていることを知覚することですから、目標達成に対する加速力になります。資格試験勉強をされている方は、やった教材・問題の数や回数を控えておくとよいです。やり終わった内容を消してしまうのではなく、線を引くような形で残しておくのがいいです(例:テキスト第3章)。勉強時間であればやった時間を記録しておくとよいでしょう。

 

 

【参考】

『その科学が成功を決める』リチャード ワイズマン著 文藝春秋

 

何かをやり遂げるための5つの工夫④

前回は、「何かをやり遂げるための5つの工夫」のうち、「小さな目標を立てる」「目標について他人に話す」の2つを取り上げました。今回は「目標を達成したときのプラス面を考える」について見ていきます。

 

 

目標を達成したときのプラス面を考える

 

前々回に、成功した自分をイメージすると失敗するということを取り上げました。完璧な世界を夢見ても、気分はよくなるでしょうが、夢を現実に変える力にはなりにくいのです。

 

しかしながら、目標を達成したときのプラス面を考えることは、完璧な自分を夢想することとは違います。目標を達成したときに、自分の人生にどんないいことが起きるかを客観的・具体的にイメージするのです。

 

研究によると、成功しなかった人は、失敗した場合に起きる嫌なことばかり考えがちでした。たとえば新しい仕事に就くことのメリットやデメリットを書き出すように言われると、成功した人は今よりやりがいがあって給料もいいと書いたのに対し、成功しなかった人は、失敗したら自分は行き詰まり不幸になると答えました。

 

成功の具体的なイメージを持てば、よりよい将来を目指して前向きになれるのに対し、失敗の具体的なイメージを持つと、マイナスな出来事や経験ばかりに関心が向けられてしまい、前向きな気持ちになれません。

 

資格試験勉強をされている方は、資格所得後のメリット、たとえば転職してあこがれの職種に就く、社内の花形部門でバリバリ働く、周囲から一目置かれる、収入が大幅に上がるといったことを強烈にイメージするとよいと思います。

 

 

■ただのノー天気では目標を達成できない

 

このように悲観的よりも楽観的なほうが良いのは、感覚的にも理解しやすいでしょうが、単なるノー天気も困ります。「いつかやるさ」「後からでも間に合うだろう」では、目標は達成できません。

 

本ブログの「ポジティブは良いことか?②」でも取り上げましたが、実は「自分の能力には自信があるが将来については少々自信がない」というタイプ(防衛的悲観主義者)が最もパフォーマンスがよいのです。これから起こることに対してネガティブに考え、「最悪な事態」をあらゆる角度から悲観的に想像しては不安になるわけですが、その不安を解消すべく用意周到に準備し、全力で仕事をすることで上手く乗り切るからです。

 

「自分にはやりきる力があるが、どうすればやりきれるかは慎重に考える」というのがベストということですね。

 

 

【参考】

『その科学が成功を決める』リチャード ワイズマン著 文藝春秋

『モチベーションの新法則』榎本博明著 日本経済新聞出版社

 

何かをやり遂げるための5つの工夫③

小さな目標を立てる

 

成功のためのポイントの1つめは、「小さな目標を立てる」ということです。「あてもなくさまよっていたら、ある日突然エベレストの山頂にいたなどということは、ありえない」という言葉があります。同様に、あてもなく人生をさまよっていたら、突然、目標を達成できていたということはありえません。

 

前回取り上げた調査で、成功した参加者たちは、最終的な目標に到達する途中にいくつかの小さな目標(マイルストーン)を設けていました。そうやって段階的に進むことで急激な変化につきものの恐怖心やためらいが取り除かれたのです。

 

小さな目標がそれぞれ具体的で、期間や回数がきちんと決めてあると、とりわけ効果的です。たとえば新たしい仕事に就くことを目標にした参加者の場合、成功した人たちは6ヶ月の間に履歴書を週に1回書き、2週間に1度は入社試験を受けたと報告しました。

 

私が講師をしている講座でも、本試験までの1年間に複数のテストを設けていますが、これもマイルストーンの例です。私の場合、「1年でビジネス書を200冊読む」という目標を立てたことがあるのですが、この場合も、20012ヶ月で割り、さらにそれを月半分単位で割るといったことを自然としていました。

 

是非、大きな目標を掲げた場合は、いくつかの要素に分割し、それぞれに期限目標を定めてみてください。個人的には、それを書き出してみて、すぐに目に入るようにしておくとよいと思います。頭の中だけだと、意識づけとして弱いからです。受講生の方には、1週間単位でTO-DOリストを書くようにお薦めしています。

 

人から期限を設けられていなくても自ら期限を申し出ることも重要です。私の場合、書籍の出版が決まり、編集部の方からは特に途中段階での提出は求められていなかったのですが、自分の性格を知っている私としては、放ったらかしにするのが分かっていたので、1月ごとに3分の1ずつ提出することを申し出ました(それでも結局は遅れがちだったのですが・・・)。

 

 

■目標について他人に話す

 

2つめのポイントは、「目標について他人に話す」ことです。成功した参加者は失敗した人よりも、自分の目標を友人や家族、同僚などに話すことが多かったようです。まりコミットメントを表明するということです。

 

確かに誰にも話さないほうが失敗したときに恥をかかずに済むということはあります。しかしながら、これでは最初から失敗することを前提としていることになります。また自分の目標を打ち明けた相手の数が多いほど、目標達成への意欲が高まるという実験結果もあります。

 

人は自分の約束や考えを表明すると、それを守り通そうとする傾向があることが心理学の研究から明らかになっています。たとえば、会議の場で自分の意見を一度言うと、それに固執しがちになります。これは悪いことではありますが、このような人間の性質をうまく利用したほうがよいでしょう。

 

私のクラスの受講生の方も、受験を会社には内緒にしているという方が多いのですが、いろいろ事情はあるにせよ、あまり感心しません。目標を公開したほうが周りからの支援を受けやすくなるのではないでしょうか。

 

飽きっぽい性格の私がブログを続けているのも、挫折するとカッコ悪く見られないかと勝手に思っているからということもあります(まあ、ほとんど気にもされないとは思いますが)。

 

 

【参考】

『その科学が成功を決める』リチャード ワイズマン著 文藝春秋

 

何かをやり遂げるための5つの工夫②

資格の勉強、ダイエット、禁煙、貯金など重要で困難度が高い目標を前にしたとき、あなたなら何をしますか?次の項目に○か×で答えてください。

 

 

1 段階的に分けた着実な計画を立てる。

2 成功した人物を思い浮かべてやる気を起こす

3 自分の目標について話す

4 失敗した場合に起きる嫌なことを考える

5 成功した場合に起きるいいことを考える

6 マイナスになること(不健康な食品や喫煙、浪費など)を頭から締め出す

7 目標に向かって前進できたら自分にほうびを出す

8 意志の力に頼る

9 進み具合について記録(日記やチャートなど)をつける

10 成功者になったすばらしい自分の姿を想像する

 

 

リチャード ワイズマン教授による何らかの目標を持った5000人以上を対象にした調査によると、無事に目標を達成できた人は全体のわずか10%でした。困難な目標は誰にとっても困難なのです。

 

そして偶数番号の方法をとった人は目標達成が難しく、奇数番号の方法は目標達成率を高めるのに効き目があったことが確認されました。

 

次回は、効き目があった方法がなぜ有効なのか見ていきましょう。

 

 

【参考】

『その科学が成功を決める』リチャード ワイズマン著 文藝春秋

 

何かをやり遂げるための5つの工夫①

資格の勉強、ダイエット、禁煙、貯金など何かをやり遂げることはとても大変です。私は資格受験の講師をしていますが、仕事や家庭生活などと両立させるのはなかなか難しく、受講生の方々には本当に頭が下がります。しかしながら、途中で挫折してしまう方が多くいらっしゃるのも事実です。

今回は「何かをやり遂げるための工夫」について取り上げてみます。

 

 

成功した自分をイメージすると失敗する?

 

「何かをやり遂げるためには、成功した自分をイメージするとよい」ということは、よく言われます。試験に受かった自分、禁煙に成功した自分、スリムになった自分、お金が貯まった自分を思い浮かべ、自己肯定するとよいと薦める自己啓発本はよくあります。

 

しかしながら、この方法は、たいして効果がなく、下手すると悪い影響を与えかねないことが調査結果で明らかになっています。

 

・試験でいい点数をとった自分をイメージしてもらった学生グループと、そうでない学生グループを比較したところ、いい点数をとった自分をイメージしたグループのほうが、勉強時間は少なく、点数は低かった。

・減量プログラムに参加した肥満の女性たちについて、プラスのイメージ(自分はちゃんと自制してケーキやアイスに手を出さない)をしてもらったグループよりも、マイナスのイメージ(自分は抑えが効かず甘いものに手を出してしまう)をしてもらったグループのほうが1年後には平均11.8キロ多く体重が減っていた。

・最終学年の学生達に、卒業後の理想の職場で働く自分の姿をどれくらいの頻度で想像するか書いてもらった。2年後に調査したところ、成功した自分を思い浮かべることが多いと答えた学生は、求人への応募回数も会社から声をかけられた回数も少なく、給料も低かった。

 

 

■夢ばかり追っていると挫折に対応できない

 

では、なぜ成功した自分をイメージすると失敗するのでしょうか?研究者たちの見解は、すばらしい人生を思い浮かべてばかりいると、途中で遭遇する挫折に対して準備ができていなからだそうです。あるいは現実逃避に浸って、目標達成に必要な努力をしないからかもしれません。

 

いずれにせよ、完璧な世界を夢見ても、気分はよくなるでしょうが、夢を現実に変える力にはなりにくいのです。

 

【参考】

『その科学が成功を決める』リチャード ワイズマン著 文藝春秋

顧客ライフサイクルマネジメント②

前回は、顧客ライフサイクルマネジメントというビジネスモデルを取り上げました。これは、顧客の成長にともなうニーズ、好み、所得の変化に沿って提供価値のラインナップを揃え、将来的に高額の高利益な製品やサービスに誘導するというものです。

 

顧客ライフサイクルマネジメントのメリットと条件

 

このビジネスモデルでは、顧客の生涯の早い段階で製品やサービスを通じて顧客を補足し、その後、顧客の成長や成熟に従って新たな製品・サービスへと顧客を移行させるため、マーケティング費用を大幅に節約することができます。顧客の住所や連絡先に関する情報は個人情報として保護されているため、そもそも顧客を補足できること自体が大きな優位なのです。

 

顧客の年齢が進むにつれて顧客の所得が増え、製品・サービスへの習熟も進んで顧客側からも提供されるものの質への要求が大きくなるため、高価な製品・サービスを売ることができるようになり、収益性も増大していきます。

 

顧客ライフサイクルの前半では顧客の獲得が優先されるため、利益度外視の価格で販売して顧客のハードルをできるだけ下げる一方で、ライフサイクル後半では顧客が離脱しないように努めながら利益率を上げていきます。そのためにはフルラインナップの品揃えとともに、顧客を何らかの慣れや習慣によって縛り付けるための仕組み、CRMによって顧客の成長を把握するシステムが必要になります。

 

 

■有効なビジネスモデルの条件

 

以前にもこのブログで取り上げましたが、ビジネスモデルとは、「どのような顧客からどういう商品でどれくらいの時間をかけて利益をあげるか」の設計になります。多くのパターンは、「すべての顧客から、すべての商品で、直ちに儲ける」というものですが、ユニークなビジネスは、顧客、利益、時間軸のいずれかにメリハリがあります。

 

たとえばあえて儲けない顧客や儲けない商品・サービスを設定し、そこから儲ける顧客や儲ける商品・サービスに誘導したり、顧客からの短期的な利益ではなく長期的な利益(顧客生涯価値)の最大化を図ったりします。つまり「損して得する」という発想です。

 

顧客ライフサイクルマネジメントは、顧客、利益、時間軸のメリハリをつけたビジネスモデルと言えます。

 

 

【参考】

『ビジネスモデルの教科書』今枝昌宏著 東洋経済新報社

『ビジネスから「儲け」を生み出す 9つの質問』川上昌直著 日経BP

 

顧客ライフサイクルマネジメント①

顧客ライフサイクルマネジメントとは?

 

前回、フルラインナップのメリットとして、顧客のライフサイクルに応じた対応が可能ということを指摘しました。今回は、それについて、もう少し触れておきます。

 

ビジネスモデルの1つとして、顧客ライフサイクルマネジメントというものがあります。これは、顧客の成長にともなうニーズ、好み、所得の変化に沿って提供価値のラインナップを揃え、将来的に高額の高利益な製品やサービスに誘導するというものです。単なるフルラインナップが、いろいろな顧客層を相手にするというだけに対し、顧客をランクアップさせるという点が異なります。

 

 

■顧客ライフサイクルマネジメントの例

 

年齢(所得の上昇)に応じた顧客ライフサイクルマネジメントの例としては、次のようなものがあります。

 

自動車メーカーでは、独身・新入社員(コンパクトカーORエントリーカー)⇒家族持ち・中堅(ファミリーカー)⇒エグゼクティブ(高級車)というようなランクアップを想定していると考えられます。昔で言えば「いつかはクラウン」というやつです。

 

ベネッセでは、幼稚園児(こどもチャレンジ)、小学生(進研ゼミ小学講座)、中学生(進研ゼミ中学講座)というランクアップモデルを設定しています。

 

スウォッチグループでは、ベーシック・ミドル・ハイ・プレステージの4つのレンジのブランドを持っており、上位のグレードへの誘導を行っています。

 

また嗜好やニーズの変化に沿った顧客ライフサイクルマネジメントとしては、カメラ、スポーツ用品、オーディオなど趣味関連の商品が挙げられます。まずはエントリー商品を設定して趣味の世界へ顧客を誘い込み、その世界を深く知り、製品の使用に習熟するに従って上位製品へ誘導するというものです。

 

顧客ライフサイクルマネジメントの考え方は、法人相手のビジネスでも成り立ちます。たとえば、多くの監査法人では、起業直後の会社に対してベンチャー支援サービスを行い、その後上場支援サービスを経て監査業務へと顧客を誘導しています。

 

 

【参考】

『ビジネスモデルの教科書』今枝昌宏著 東洋経済新報社

 

ローエンドからの参入の対抗策

■ローエンド参入には反撃するべき

 

ハイエンドからの新規参入の例としては、福武書店(現ベネッセコーポレーション)による進研模試があります。1950年代には、大学入試模試の支配者だった旺文社模試に挑戦するにあたり、トップ30校にターゲットを絞って参入しました。その後、ハイエンド市場を抑えると、次第に市場の下方にまで進出し、とうとう旺文社を撤退させるまでに至ったのです。他にも高級アパレルブランドや高級レストランなど多くの例を見ることができます。

 

一方、ローエンドからの新規参入の例としては、前回挙げた例のほかに、1970年代の日本の自動車メーカーのケースがあります。日本の自動車メーカーは、アメリカ進出にあたり、ローエンドの小型車市場に参入し、そこで地盤を築くと、培ったノウハウを活かして、次第にアッパーゾーンである中型車市場に浸透しました。小型車は低価格で儲からないため、当時のアメリカのビッグ3も日本メーカーの動きを静観してしまったといいます。

 

因果応報というべきか、半導体やエレクトロニクス製品では、逆に日本メーカーが、韓国・中国・台湾などのメーカーのローエンド進出に対し静観してしまい、ビッグ3と同じ轍を踏んでしまいました。

 

このように既存企業にとってはローエンド市場は儲からず、儲かるボリュームゾーンを押さえておけばよいという安心感にとらわれがちです。

 

しかしながら、これまで見たように、一度、ローエンドで足がかりを作られてしまうと、知らず知らずのうちに、主戦場も侵食されてしまいます。ローエンド企業は必ずアッパーゾーンを狙ってくるというつもりで、たとえ儲からなくても参入企業に対して反撃すべきです。

 

 

■フルラインナップのメリット

 

あるいは、すべての市場セグメントを予め抑えてしまうということも考えられます。これには、新規参入の隙間を与えないということもありますが、顧客のライフサイクルに応じた対応が可能となるというメリットもあります。

 

顧客の所得は年齢に応じて増加する傾向があります。学生から20代は、ローエンドのエントリーモデルを買うでしょうが、年齢や年収の増加に伴い、中級モデル、高級モデルへとランクアップする可能性があります。自社でフルラインナップしておけば、こうしたランクアップの動きに対応することができます。昔、トヨタ自動車で、「いつかはクラウン」というキャッチコピーがありましたが、そのイメージです。

 

 

【参考】

『ビジネスモデルの教科書【上級編】』今枝昌宏著 東洋経済新報社

『ザ・プロフィット』エイドリアン・J・スライウォツキー著 ダイヤモンド社

 

ローエンド市場をねらう

ローエンドからの参入

 

今度は、市場の最下部、すなわち最も価格が低い層に参入するケースを考えてみます。


市場ピラミッド 

このパターンでは、ローエンド市場に参入するにとどまらず、そこを占拠したら中級品、高級品へとターゲットを移動していくことが多く見られます。

 

また、市場のローエンドへの参入は、市場に存在する既存の製品・サービスに対抗するため、既存市場の最下部よりもさらに低価格の製品・サービスを提供し、既存市場の下側にさらに新たな市場を作り出して参入するケースが見られます。

 

たとえば、途上国におけるBOP層(base of the economic pyramid:所得ピラミッドの最下層)に向けたビジネスが典型例で、タタモーターズの10万ルピー(発表当時のレートで約28万)カーなどがあります。

 

 

■ローエンド市場が参入しやすい理由

 

ローエンド市場が参入しやすい理由としては、3つ考えられます。

 

1つめは、ローエンドであれば顧客が価格のために製品の品質や機能についてある程度目をつむる傾向があるからです。安ければよいという顧客は一定程度必ずいます。よって、既存企業と対抗しうるだけの品質やブランドがない企業でも比較的参入しやすいと言えます。

 

2つめは、市場はピラミッド構造に沿って、通常は下側に向かって大きくなりますので、ローエンドをおさえると大きな事業規模を比較的簡単に獲得することができるからです。規模を獲得すれば、さらなるコスト優位や技術習得が可能となります。

 

3つめは、ローエンドの顧客は価格に敏感であり、すでに大企業である既存企業にとっては旨みが少なく、新規参入に対してそこを明け渡して明確な反撃をしないことが多いからです。

 

 

■ローエンドを足がかりにボリュームゾーンをねらう

 

参入者が一旦ローエンドの市場への参入が成功すると、規模の経済によってさらなる生産コストの優位が生じ、製品・サービス提供の経験を積むことによって次第に品質も向上しますので、さらに市場の上側をねらうことが可能になってきます。

 

そして、そこを既存企業から奪えば、既存企業の規模の経済は次第に縮小し、また既存企業が次第に数量を作らないことによる経験不足に陥ってさらに市場を明け渡すという、参入者側にとっては好循環、既存企業にとっては悪循環に陥っていくのです

 

 

■ローエンドへの参入のための条件

 

ローエンドは低価格ゾーンですから、当然ながら低コスト化が条件になります。よって、賃金水準が低い途上国で生産するといったことが多く見られます。

 

それ以外にも有効なのが、マイナスの差別化です。これは、顧客にとって必要な価値の提供にしぼるということです。

 

商品・サービスは、他社との競争の結果、過剰機能化しがちです。一般的な使用では不必要なスペックやオプションを盛り込みがちで、かえって使いにくさが目立ったり、(余計なコストが反映された分)価格が高すぎてしまったりといったことがありえます。

 

この場合、商品やサービスのパッケージをアンバンドリング(分解)して、必要な価値の提供にしぼることで、「使いやすさ」を提供しつつ価格を抑えるという価値を提供することができます。

 

例えば、QBハウス、シンプル携帯電話、立ち飲み屋などが、「不必要」を取り去ったケースでしょう。

 

またローエンドの事業モデルは市場特性上、単純なものとなりますので、既存企業の模倣は比較的容易です。よって、既存企業が反撃する暇を与えずスピード感を持ってローエンド市場を抑えてしまうことも重要な課題となります。

 

 

【参考】

『ビジネスモデルの教科書【上級編】』今枝昌宏著 東洋経済新報社

『そのビジネスから「儲け」を生み出す 9つの質問』川上昌直著 日経BP

 

ハイエンド市場をねらう

最も参入しやすいセグメントは?

 

市場に新たに参入する場合、市場のどこが最も参入しやすいでしょうか?おそらくそれはハイエンド(高級品)かローエンドでしょう。中間市場はボリュームゾーンであり、すでに多くの企業がそこで事業展開をしてしまっているからです。

今回は、ハイエンド市場に参入するメリットについて取り上げてみます。


市場ピラミッド 

■ハイエンド市場が参入しやすい理由

 

ハイエンド市場が参入しやすい理由は、規模の経済(スケールメリット)が効かず、既存企業がその優位性を発揮できないからです。その理由としては、3つ考えられます。

 

1つめは、市場全体の規模が小さいため、既存の大手企業は大量生産による低コストを実現できないからです。よって、規模が小さい新規企業でも互角に戦える可能性があります。

 

2つめは、ハイエンドは市場の多様性が大きいことがあるからです。上図のハイエンド市場は、さらにいくつかのサブセグメントに分割されます。ハイエンドはこだわりの強いセグメントですが、そのこだわり方が顧客によって異なるということです。よって、ただでさえハイエンド市場の規模が小さいのに、さらにそれが分割されるわけですから、既存企業はスケールメリットを効かせられないのです。また、サブセグメントすべてが既存企業によって手がつけられているとは限らず、放置されたままのセグメントが存在し、新規参入企業がそこで生息できる余地が生まれます。

 

3つめは、ハイエンドは市場規模が小さいゆえに大きな利益が期待できず、既存の大手企業としては魅力がないことから、参入に躊躇するということです。よって、新規参入があっても反撃せずに放置される可能性があります。

 

 

■ハイエンドを足がかりにボリュームゾーンをねらう

 

企業として成長し事業規模を拡大させるためには、ハイエンド市場だけでは不十分かもしれません。しかし、ハイエンド市場で成功すれば、その企業のブランドイメージが高まります。よって、それを武器にボリュームゾーンをねらうことも可能になります。

 

ただし、その際には、ブランドイメージが損なわないように注意する必要があります。最初はトンガったイメージだったのが、一般市場へと事業を拡大した結果、つまらないイメージになってしまったということは、よくあることです。

 

ブランドのミッションを明確にし、イメージを維持していくことが課題になります。

 

 

【参考】

「ビジネスモデルの教科書【上級編】」今枝昌宏著 東洋経済新報社

プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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