fc2ブログ

ローエンドからの参入の対抗策

■ローエンド参入には反撃するべき

 

ハイエンドからの新規参入の例としては、福武書店(現ベネッセコーポレーション)による進研模試があります。1950年代には、大学入試模試の支配者だった旺文社模試に挑戦するにあたり、トップ30校にターゲットを絞って参入しました。その後、ハイエンド市場を抑えると、次第に市場の下方にまで進出し、とうとう旺文社を撤退させるまでに至ったのです。他にも高級アパレルブランドや高級レストランなど多くの例を見ることができます。

 

一方、ローエンドからの新規参入の例としては、前回挙げた例のほかに、1970年代の日本の自動車メーカーのケースがあります。日本の自動車メーカーは、アメリカ進出にあたり、ローエンドの小型車市場に参入し、そこで地盤を築くと、培ったノウハウを活かして、次第にアッパーゾーンである中型車市場に浸透しました。小型車は低価格で儲からないため、当時のアメリカのビッグ3も日本メーカーの動きを静観してしまったといいます。

 

因果応報というべきか、半導体やエレクトロニクス製品では、逆に日本メーカーが、韓国・中国・台湾などのメーカーのローエンド進出に対し静観してしまい、ビッグ3と同じ轍を踏んでしまいました。

 

このように既存企業にとってはローエンド市場は儲からず、儲かるボリュームゾーンを押さえておけばよいという安心感にとらわれがちです。

 

しかしながら、これまで見たように、一度、ローエンドで足がかりを作られてしまうと、知らず知らずのうちに、主戦場も侵食されてしまいます。ローエンド企業は必ずアッパーゾーンを狙ってくるというつもりで、たとえ儲からなくても参入企業に対して反撃すべきです。

 

 

■フルラインナップのメリット

 

あるいは、すべての市場セグメントを予め抑えてしまうということも考えられます。これには、新規参入の隙間を与えないということもありますが、顧客のライフサイクルに応じた対応が可能となるというメリットもあります。

 

顧客の所得は年齢に応じて増加する傾向があります。学生から20代は、ローエンドのエントリーモデルを買うでしょうが、年齢や年収の増加に伴い、中級モデル、高級モデルへとランクアップする可能性があります。自社でフルラインナップしておけば、こうしたランクアップの動きに対応することができます。昔、トヨタ自動車で、「いつかはクラウン」というキャッチコピーがありましたが、そのイメージです。

 

 

【参考】

『ビジネスモデルの教科書【上級編】』今枝昌宏著 東洋経済新報社

『ザ・プロフィット』エイドリアン・J・スライウォツキー著 ダイヤモンド社

 

スポンサーサイト



プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR