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アイゼンハワーに見る計画の科学①

「計画はいつも役に立たない。それでも計画は不可欠である」

ドワイト・D・アイゼンハワー(第2次世界大戦中の欧州連合国最高司令官、後の第34代米国大統領)

 

 

■恒例行事化する新年の誓い

 

毎年、この年末年始の時期にだけに考えること、それは「今年も自分が目標としていたことを実行できなかったな」「来年こそはやるぞ!」ではないでしょうか?残念ながら私自身も、その場、その場で偶然与えられたことを場当たり的に対処しただけで(もちろんその積み重ねも大事なのですが)、「来年は頑張るぞ!」という毎年、恒例の面持ちでいます(苦笑)。

 

このブログでも何度かご紹介していますが、何かをやりとげるためには、自分の意志に頼るのはとても危険で、それ以外にちょっとした工夫が必要になります。人間の意志なんてそんな強いものではありません。

 

私がクラスの受講生の方にオススメするのは、自分の計画を頭の中だけで想像するのではなく、1週間単位の「TO DO リスト」を書き出すことです。やることを整理するとともに、リスト化されたことを消し込みたいという欲求を利用して、計画を実現することが目的です。

  

 

■計画がないと誘惑に負ける

 

買い物には、計画的なもの(来店前に買うものが決まっている、計画購買)と非計画的なもの(ついで買いや衝動買いなど来店してから買うものを決める、非計画購買)がありますが、8割以上が非計画購買といわれています。

 

リスト化することの効果を示す実験には、ハーバード大学とヴァージニア大学によるスーパーの来店客に対する実験があります。これによれば、買い物リストを書いてから入店すると、書かなかった場合よりも、予定外の買い物をしなくなったのです。つまり買い物の計画がなく、記憶を頼りにすると、その場の誘惑に弱くなるのです。

 

このことは、買い物以外の場面でも言えると思います。仕事場でもネットなどの誘惑に晒されますが、やることリストを書くことによってそちらに集中すれば、誘惑に打ち勝つ可能性が高まります。

 

さて、今年1年も本ブログをご覧いただき有難うございました。来年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。目標をリスト化して良い年にしましょう!

 

 

【参考】

『図解 モチベーション大百科』池田貴将著 サンクチュアリ出版

 

 

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なぜ考え方が同じ人のほうが憎いのか?

■異端は異教より憎い

 

傍から見ると、2人とも同じ意見に思えるのに、何をそんなに争っているのだろうと思う時があります。異なる意見間より、ほぼ同じ意見だが多少異なる意見間のほうが、争いが激しくなることがよくあります。

 

イスラム教のシーア派とスンニ派とは激しく対立をしていますし、古くは日本でも極左集団の間で血みどろの内ゲバがありました。「異端は異教より憎し」というわけです。

 

 

■人は自分と考えが似ている人を憎む

 

ダートマス大学の次のような実験があります。

 

ビーガン(動物性のものはいっさい食べない菜食主義者、いわば過激派)とベジタリアン(乳製品や卵は食べる菜食主義者、いわば穏健派)の2つのグループに、「一般の人と比べて相手をどう思うか」とたずねたところ、ビーガンのベジタリアンに対する偏見は、ベジタリアンのビーガンに対する偏見よりも、3倍多かったようです。

 

つまり、人は自分と主義主張が似ているけれど、考えを徹底していない人のことを嫌う傾向があるのです。これを同族嫌悪と言います。

 

 

■同族嫌悪はなぜ起きるのか?

 

では、同族嫌悪はなぜ起きるのでしょうか?人はそれまで自分なりの考えや価値観、ルールに沿って生きてきており、それが揺らぐことを恐れます。まったく考えが異なる人であれば、自分とはまったく別の存在であると割り切り、自分のアイデンティティが揺らぐことはありません。

 

一方、自分の考え方とおおよそ同じであるが、多少異なる部分がある相手になると、自分のアイデンティティを脅かす対象となり、多少の違いに非常に敏感になるため、攻撃的になるのです。特に相手の方が優れている、パフォーマンスがよい、みんなに受け入れられているということになると、嫉妬もからみ、この傾向に拍車がかかります。

 

 

■違いよりも共通点

 

同族嫌悪は日常的に見られます。職場のミーティングでの議論や、部下や後輩に厳しく当たる上司・先輩の姿勢なんかは同族嫌悪であることが多いのではないでしょうか?

 

同族嫌悪を回避するためには、違いよりも共通点に目を向けることが大事でしょう。もっとも当人たちには共通点が分かりにくかったりしますから、第三者が指摘してあげることも大事です。

 

場合によっては、似た者同士よりも異なる者同士を組ませることもありでしょう。

 

 

【参考】

『図解 モチベーション大百科』池田貴将著 サンクチュアリ出版

 

法人税引き下げは景気を引き上げるか?

■法人税引き下げは世界的な潮流

 

アメリカ議会下院で20日、税制改革法案が可決しました。すでに上院でも可決されており、法人税率が35%から21%に引き下げられることがほぼ確実となりました。

 

日本の国・地方を合わせた法人実効税率を現行の29.97%です。日本の法人税率は極端に高いように報道されていますが、フランス(約33%)、ドイツ(約30%)よりも低く、カナダ、イタリアなどよりも高いだけで、極端に高いというわけではありません。

 

ただし、フランス(33%から25%)やイギリス(19%から17%)は法人税を引き下げる方針を示しており、引き下げは世界的な潮流と見ていいでしょう。

 

 

■法人税を引き下げても景気が良くなるわけではない

 

「法人税率が高いままだと、世界的に見て日本企業は大きなハンディキャップを負ってしまう」であるとか、「法人税率を引き下げれば企業は設備投資を活発に行って景気が良くなる」といった議論があります。経営者や会計士・税理士などの方々に多い意見です。「法人税引下げで企業が自由に使えるお金が増えれば、それだけ賃金や設備投資が増えて景気が良くなる」というわけです。

 

しかしながら法人税引下げと景気(GDP成長率)との関係は不確かで、法人税を引き下げれば景気が良くなるという確かなエビデンスはありません。

082.gif (出典:財務省)

 

日本では1990年頃から段階的に法人税を引き下げてきましたが、その間、失われた20年があり、一時期を除いて景気がよくなったわけではありません。当たり前ですが、景気上昇の最大要因は財政政策や金融政策といった安定化政策です。

 

一部を除く日本の経済学者は法人税引下げに前向きですが、アメリカでは、ポール・クルーグマン(ノーベル経済学賞受賞)やラリー・サマーズ(元財務長官)らリベラル寄りの経済学者らは、景気への効果は限定的だとして否定的な立場です。

 

また法人税が高いと日本企業が海外に流出するという声もありますが、一部の企業を除けば、そんな国民の風当たりが強いことをするとは考えにくいものがあります。

 

 

■法人税引き下げと消費税引き上げはバーター

 

日本でも法人税引き下げの方向性は決まっていますが、そのバーターとして消費税率の引き上げがあります。経団連の榊原会長がたびたび消費税の引き上げについて言及していることの背景には、法人税を引き下げてほしい財界の思惑があるように思えます。

 

メディアの報道を見ても、「日本は法人税が高く企業の競争力を阻害している」という論調が目立ちますが、法人税引下げとバーターで消費税を引き上げたい財務省の思惑どおり報道しているとしか思えません。

報酬の与え方

■報酬の与え方でモチベーションは異なる

 

ある実験を見てみましょう。テストが始まる前に、小学生たちに以下のように伝えました。

 

Aチーム

子供たちに20ドル渡す。そして「前回よりも点が下がったら、その20ドルを取り上げる」と伝える。

 

Bチーム

「前回よりも点が上がったら、試験後すぐに20ドルあげる」と伝える。

 

Cチーム

「前回よりも点が上がったら、試験後20ドルあげる(ただし1ヶ月後)」と伝える。

 

Dチーム

「前回よりも点が上がったら、トロフィー(3ドル相当)をあげる」と伝える。

 

Eチーム

何もあげない。ただ「前回よりもいい点を取れ」と励ます。

 

さて小学生のテストの結果はどうだったでしょうか?

 

 

<結果>

全体の成績は100点満点中、平均して5~10点上がった。

Aチームのほうが、Bチームよりもはるかに点数は上がった。

Cチームの成績は改善しなかった。

Dチームは、平均して12%上がった。

 

 

■モチベーションを高めるには前払いで報酬をもらうこと

 

今回は、テストの前に報酬を与えて成果次第で取り上げるAチームと、テストが終わったあとの成果で報酬を与えるBチームとの違いに注目してみましょう。人は喜び(報酬)よりもはるかに苦痛(支払い)に敏感であり、報酬を得ることよりも支払いを減らすことに執着します。これはプロスペクト理論の考え方と合致します。

 

※詳しくは本ブログの「苦痛は喜びの2倍大きい!?(プロスペクト理論)①②」をご覧下さい。

 

これは自分のモチベーションをいかに上げるかにも関係してきます。成果報酬型の仕事で自分への報酬の与えられ方が交渉できる場合には、「最初に報酬をもらって、成果が出せなかったら返上する」という形にしたほうが、仕事に対するモチベーションを高めやすいということです。そのような機会があったら是非思い出してみてください。

 

【参考】

『図解 モチベーション大百科』池田貴将著 サンクチュアリ出版

 

 

 

 

時間的欠乏の影響

■何かをやりとげるためには、期限を設ける

 

「何かをやりとげるためには、期限を設けることが大事である」とは、よく言われていることです。期限があるからこそ、努力や意識を集中させることができるからです。

 

私は中小企業診断士試験対策の講義を担当していますが、受講生の方にとって一番大事なことは「1年間で合格する」という意思だと考えています。資格試験には、明確な期限がありませんから、自分で期限を設けないと、だらだらとやってしまうことになりかねないからです。

 

みなさんも新入社員時代に先輩や上司から、仕事に締切りを設けるよう言われた経験があると思います。締切りがないと、結局やろうとしなくなるからです。私も客先から納期が示されない場合であっても、自分から納期を提示するようにしています(といっても後からやっぱり延期をお願いすることが多いのですが・・・)。

 

 

■クーポンには必ず期限を設ける

 

「期限を設ける」ということは、自ら「時間的な欠乏(不足)状態」を作るということを意味します。私たち人間は、何らかの欠乏があると、それによって行動が支配されます。たとえば、食料がなく空腹なら、食べることばかりに頭が支配されるでしょう。ある仕事の期限が迫っているならば、他のことを考えている余裕はなくなります。

 

あるマーケティング実験を紹介してみます。部の顧客には有効期限付きのクーポンを送り、その他の顧客には期限なしのクーポンを送りました。結果は、期限のないクーポンのほうが時間的な利便性が高いにもかかわらず、使われる確率は低かったのです。使用できる時間がいくらでもあるとクーポンは注目を引かず忘れられてしまうのです。申し込みの時期やセール期間を区切ってあるダイレクトメールをよく目にしますが、これはわざと消費者側に時間的欠乏を作ることで関心を高める行為であることがわかります。

 

 

■トンネリングの罠

 

このように欠乏感から来る視野狭窄をトンネリングといったりします。あたかもトンネルの中にいて周りが見えなくなるからです。ある1つのことに集中しすぎてしまう結果、その他のことが不注意になり、問題が生じる可能性があります。待ち合わせの時間に間に合うことだけに集中しすぎて、忘れ物をしてしまうといったことなど例は沢山あるでしょう。

 

トンネリングに陥らないためには、結局は心理的な余裕を持たせるしかありません。いろいろな仕事に追われ、納期が迫っている順に片付けていくということが多いと思いますが、どこかのタイミングで一気に片付けて体制を立て直す必要があるでしょう。

 

しかしながら実際にはそうもいかず、何とかやりくりしなければならないということが多いと思います。その場合には、「TO-DOリスト」を書いておくとよいと思います。やることが整理されているのとされていないのとでは、心理的な不安感が違いますし、1つのことに集中していても、他のことを忘れてしまうことを防げるからです。

 

【参考】

『いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学』センディル ムッライナタン、エルダー シャフィール著 早川書房

知財戦略のありかた⑤(オープン&クローズ戦略)

日本のエレクトロニクスメーカーが衰退する一方で、マイクロソフト、インテル、アドビ、アップル、SAP、グーグル、クアルコムなどの企業は、市場を上手くコントロールし、高い収益を上げています。では、こうした企業は、どのような戦略を採っているのでしょうか?

 

■オープン&クローズ戦略

 

これらの企業では、製品を構成する基幹技術の中で、自社に残すコア領域と、オープン標準化によって意図的に伝播させる非コア領域を事前設計し、互いの結合ルールも自社有利に事前設計し、企業間の国際分業としてのビジネスエコシステム(多くの企業が協業しながらその産業全体を一体となって発展させていく分業構造)も自社優位に事前設計しています。

オープン&クローズ戦略  

まず、基幹技術の中で自社に残すコア領域についてはクローズにし、特許など知的財産を集中させることで防衛します。次にオープン領域との境界にも特許の網をかけることで、権利を保持し、パートナー企業に自由に使わせることで、周辺領域に多くのパートナー企業を引き寄せ、製品市場の発展を図ります。

 

ここで知的財産権の役割は、コア領域を守りつつ、コア領域からオープン領域を自社優位にコントロールするための手段となります。つまり、隅々まで特許を張り巡らせて自社技術の防衛を図るのではなく、肝心な部分のみを特許でクローズする一方で、あとは積極的に公開し、他社に使わせることで、自社陣営に組み込んで行くことで、自社技術のグローバル市場での普及を図るというわけです。

 

何から何まで特許化して他社に使わせないのでは、自社技術の普及は困難ですし、これまで触れてきたように、どうせ模倣されたり、迂回利用されたりするわけです。そうであるならば、自社の利益の源泉となる部分だけクローズにしてあとはオープンにし、他社に使わせて抱き込んだほうが賢いわけです。

 

自社単独で市場を制することが現実的には不可能である以上、他社を上手く利用しつつ自社の利益を確保するという知的財産戦略が求められます。

 

【参考】

『オープン&クローズ戦略 日本企業再興の条件 増補改訂版』小川紘一著 翔泳社;

 


知財戦略のありかた④(イノベーター企業でも儲からない理由)

今回は、なぜ90年代から技術で世界をリードした日本企業が瞬く間に凋落したかを考えてみます。

 

 

■スマイルカーブ化するハイテク製品

 

パソコンでは90年代末からスマイルカーブと呼ばれる現象が指摘されていました。これは業界バリューチェーン(価値連鎖)の川上の開発や部品製造や、川下のメンテナンス・アフターサービス、コンサルティングは儲かるが、真ん中の完成品の組立・製造・販売は儲からないというものです。


スマイルカーブ  

完成品の組立・製造・販売が儲からない理由は、製品の構造(製品アーキテクチャ)に求められるのが一般的な考え方です。パソコンなどのハイテク製品は、メーカー1社(あるいは1つの系列グループ)での開発は困難です。よって、製品システム全体の仕組みを規定しオープンにした上で、パート(モジュール)に分け、様々なサプライヤー(モジュールメーカー)にモジュールを開発させるというスタイルを採ります。たとえばOSのマイクロソフトやCPUのインテルなどです。

 

製品システムの構造はオープンになっていますし、有力なモジュールメーカーは世界中の完成品メーカーにモジュールを供給しますから、参入が激化し、完成品の製造や販売はやがて儲からなくなります。

 

一方、有力なモジュールメーカーは、モジュールの分野で独占的な地位を占めるので、高い収益を上げることができます。その際に製品システム全体の組立の方の設計図(リファレンスデザインあるいはシステム統合技術)が、モジュールメーカーから新興国の完成品メーカーに提供されることが多く、参入激化を後押ししています。

 

■ソフトウエアにより熟練技術が無効に?

 

デジタル家電分野でも同様なことが(しかもパソコンの場合よりも急速に)起こりました。

さらに有力なモジュールを開発しても、液晶パネルやリチウムイオン電池などのように瞬く間にシェアを落としてしまうという事態が見られるのが、パソコン以降のエレクトロニクス分野の特徴です。

 

現在のエレクトロニクス製品にはソフトウエアが組み込まれており、微調整はソフトウエアによって行われています。以前は部品間の微妙な調整は熟練した技術者の技術が必要でしたが、現在では多くの場合、組み込みソフトウエアによって可能となっています。つまり熟練技術がない新興国企業でもそれなりの品質の製品が作れてしまうのです。

 

以上のように、オープン化した製品アーキテクチャ、モジュールやシステム統合技術の大量普及、組み込みソフトウエアにより、せっかく高い技術を開発したイノベーター企業であっても、もうけを独占することができなくなっているのです。

 

 

【参考】

『オープン&クローズ戦略 日本企業再興の条件 増補改訂版』小川紘一著 翔泳社;

『イノベーションと競争優位』榊原清則・香山晋編著 NTT出版

MOT[技術経営]入門』延岡健太郎著 日本経済新聞社

 

知財戦略のありかた③(特許化しても意味がない理由)

■特許出願すると模倣される

 

自社が開発した技術を特許化するには、特許を申請する際に「我が社はこのような技術を特許として申請していますよ」という具合にオープンにしなければいけません。まず、ここで模倣されるリスクが生じます。

 

さらに日本企業の場合は、日本国内で特許出願をして、海外では出願しないということが多いです。よって、日本企業が日本国内で出願し公開されている技術内容を海外企業が真似することは可能ですし、実際にそうして使い始めれば海外では技術が公知なものとなってしまいます。公知なものに対しては、もはや特許という独占的な権利を主張することはできません。このような形で日本企業が開発した技術が新興国企業に伝播していった可能性が指摘されています。

 

 

■製品が普及した頃には特許が切れている

 

技術開発から製品化までは10年はかかると言われており、その製品が世界市場で大量普及する兆しが見えるまでにはさらに5年以上はかかります。一方、特許の有効期間は出願してから20年です。よって、世界市場で普及した頃には、特許が切れかけている状態であり、特許による利益の独占は極めて短期間にとどまります。

 

 

■開発するよりラインセンスを受けたほうが楽

 

特許技術を他社が利用する(ライセンスを受ける)には、開発企業にラインセンス料(特許使用料)を払わなければなりません。知財戦略のねらいの1つとして「他社からのライセンス収入の獲得」がよく言われてきましたが、ライセンス収入を取れても新興国企業との競争にはほとんど有利には作用しません。

 

技術がない新興国企業からすれば、先進国企業への利用ラインセンス料の支払い負担が重く、これが大きなコストアップ要因となると思うかもしれません。しかしながら、実際にはライセンス料の負担は工場出荷額の3%から5%に過ぎません。つまりほんの数パーセントのコストアップにしかなっていないのです。

 

逆に言えば、技術開発した先進国企業が圧倒的な特許の数を誇っても、製品全体のコストを数パーセント下げるだけの効果しかないということです。新興国にとっては、莫大な時間や労力、資金を使って自ら技術開発をすることなく、先進国企業からのライセンスを受けても、ほんの少しのコストアップにつながるだけなのです。

 

さらに冒頭で触れたように日本企業の技術を知った新興国企業はその一部を発展させます。そして、その技術を利用したい日本企業に対しライセンス料を要求することがあります。つまりクロスライセンス(特許技術の相互利用)に持ち込むことによっても日本企業がもともと開発した技術に対するライセンス料を無効化することができてしまっているのです。

 

 

【参考】

『オープン&クローズ戦略 日本企業再興の条件 増補改訂版』小川紘一著 翔泳社;

知財戦略のありかた②(特許をたくさんとっても収益にはつながらない)

日本では、重要特許をたくさん持つことが日本企業の競争力を強化するという考え方に立ち、2002年に政府が知的財産戦略大綱をまとめ、翌年から知的財産立国への道を歩み始めました。しかしながら、このような考え方はエレクトロニクス産業では既に時代遅れでした。

 

1990年代後半から2000年代中頃にかけて、日本のエレクトロニクス企業は優れた製品を開発し世界をリードしてきました。製品の導入期には圧倒的なシェアだったのが、それが普及するにつれ急激にシェアを落とし、4~5年で50%を下回るケースが多く見られます。

 

CD-ROM1994年(95%以上)⇒2001年(20%強)

液晶パネル:1995年(100%)⇒2005年(10%程度)

CD-R1996年(100%)⇒2002年(20%強)

DVDプレイヤー:1997年(95%程度)⇒2006年(20%弱)

リチウムイオン電池:1999年(95%程度)⇒2007年(40%程度)

太陽電池;2004年(50%弱)⇒2007年(20%)

液晶テレビ:2001年(95%以上)⇒2007年(40%弱)

カーナビ:2003年(100%)⇒2007年(20%)

 

これらの製品では日本企業が基礎技術、製品化技術、市場開拓などすべてにおいてリードしていました。また特許の出願・登録数も世界の70%以上を保有していました。

 

こうした2000年代の日本企業の凋落をよそに台頭した企業の代表格であるアップルを見てみましょう。2000年代にアップルから出願・登録された特許の数は年間でせいぜい200件以下であり、日本の大手エレクトロニクス企業のなんと10分の1以下なのです。

 

日本企業は多くの研究開発費を投じてせっせと特許を申請したのにもかかわらず、収益の向上にはあまり貢献しなかったことがわかります。内閣府が、公表した報告書「日本経済2016-2017」によると、労働や資本などを含む全ての要素を投入したときの生産の効率性を示す「全要素生産性(TFP)」(12~26年の平均)は、研究開発投資が1%伸びた場合、日本は0・20%上昇したが、米の0・35%、独の0・28%より低かったという結果があります。

 

 

【参考】

『日本経済2016-2017』内閣府

『オープン&クローズ戦略 日本企業再興の条件 増補改訂版』小川紘一著 翔泳社;

 

知財戦略のありかた①(日本の研究開発費は少ないか?)

日本メーカーの衰退が叫ばれる中、「自社独自の技術を積極的に特許化し、それを保護する」あるいは「特許技術を他社が利用する際にパテント収入を得る」といった知財戦略が重要だという考え方が一般的に広く認識されています。

「特許化できる技術が多いほどよい。日本企業はもっと特許を取るべきだ」というわけです。

 

 

■日本の研究開発投資は実は高い

 

「日本は研究開発投資が少ない」というイメージが強いかもしれません。しかしながら、政府・民間を合わせると、1996年以降、名目GDP比で3.3%から3.8%で推移しており、欧米主要国家の2.3%から2.9%に比べ高い水準です。ちなみに把握できる最新のデータである2013年度の各国の研究開発投資対名目GDP比は、韓国:4.15%、日本:3.75%、

ドイツ:2.94%、アメリカ:2.81%、フランス:2.23%、中国:2.02%、イギリス:1.63%となっています。

 

研究開発費というと、「iPS細胞の研究でノーベル賞を受賞した山中伸弥教授でも研究開発費の獲得に苦労しているではないか!」という指摘もあろうかと思います。それはそのとおりで、政府研究費対GDP比の推移で見ると、日本は0.73%(2013年度)で韓国(0.96%)、アメリカ、ドイツ、フランスに比べて少し低い水準です。

 

 

■企業の特許出願数もダントツ

 

ちなみに特許出願件数でみると、日本は1990年代以降、毎年40万件から50万件に及び、全欧洲の4万件~15万件、アメリカの20万件から42万件を超える水準です。米国から遅れること20年で始まった日本の知的財産立国戦略は、研究者人口の50%以上が特許出願するまでになり、アメリカの20%や欧州の10%に比べてダントツであり、数多くの特許を出願・登録するという点では成功したと言えます。

 

アメリカの調査会社、クラリベイト・アナリティクスは、毎年、Top100 グローバル・イノベーターを発表しています。これは、特許の「数量」、実際に出願して特許の登録が認められた「登録率」、特許の「グローバル性」、他社がどの程度その特許を使うかの「影響力」という4つの基準で企業を評価してランキング化するものです。

 

2016年のトップ100社のうち、国別では、米国が39社を占め、3年ぶりに最多となりました。日本は34社で2位ですが、2015年まで2年連続で最多でした。

 

つまり日本は研究開発費が少なく特許出願数も少ないというのはウソで、総じて研究開発費も特許出願数も多いのです。

 

 

【参考】

『日本経済2016-2017』内閣府

『オープン&クローズ戦略 日本企業再興の条件 増補改訂版』小川紘一著 翔泳社;

 

臓器提供を増やすためのすごく簡単な方法

 

■進まぬ臓器提供

 

臓器移植法施行から20年に合わせて実施された内閣府の世論調査で、自らの臓器について、約4割が「提供したい」と前向きに考えているのに対し、実際に意思表示カードなどに可否を記入しているのは約13%にとどまることが分かりました。

 

「臓器提供を増やす」というテーマは、行動経済学者にとっては、もっとも簡単なものかもしれません。

 

 

■国によって異なる臓器提供の意思

 

臓器提供の意志のある人の割合は、国によって大きな差があります。少し古いですが、2003年のヨーロッパの調査を見てみましょう。

 

オーストリア 100%

フランス 100%

ハンガリー 100%

ポーランド 100%

ポルトガル 100%

ベルギー 98%

スウェーデン 86%

オランダ 28%

イギリス 17%

ドイツ 12%

デンマーク 4%

 

ドイツとフランスでは隣国同士なのに、なぜこんなにも差があるのでしょうか?ここまで違うと国民性の問題とは言えないでしょう。

 

 

■原因は臓器提供の選択の違いだけ

 

答えは臓器移植の意思表示カードの違いにあります。臓器提供の意思が高い国のカードは「臓器提供プログラムに参加を希望しない人はチェックしてください」(オプトアウト方式)、低い国のカードは「臓器提供プログラムに参加を希望する人はチェックしてください」(オプトイン方式)と記載されていたのです。

 

臓器提供の可否は考え出すとなかなか結論が出ない類の問題です。私たちは複雑な判断を求められると、何もしないことを選択しがちです。つまりはじめの設定(デフォルト/初期値=標準設定)に従うのです。

 

臓器移植の例で言うと、チェックするよりもしないほうが楽なので、結果的にオプトアウト方式のほうが臓器提供を選ぶことになるのです。

 

最初に提示された環境設定がそのまま選ばれやすいのは、楽だからということのほかに、それがオススメなのだろうとみなされることもあります。「この人はプロとしてこれを勧めるのだろう。これがいいに違いない」と考えてしまい、あえて変更することは避けるようになります。

 

 

■すべては初期設定次第?

 

不要なメルマガや雑誌の購読料、申し込んだ記憶すら曖昧なカードの手数料、ほとんど行かないジムの会員料など、キャンセルするのが面倒で初期設定のままのものは皆さんにも覚えがあるでしょう。

 

マーケティング面で言えば、オプション機能を追加してもらうよりも、最初からフルオプションの状態から不要なオプションを外してもらうほうが、最終的に選ばれるオプション機能は多くなるはずです。必要なものをいちいち追加したり外すのが面倒だからです。パソコンの設定で、必要な機能をいちいち追加していく場合と、不必要な機能を外す場合では、後者のほうがおそらく搭載される機能が何割か多いはずです。

 

このように初期設定はその後の私たちの振る舞いに大きな影響を与えます。何か新しいものを申し込む際には、「変えたがらない」という人間の性質を踏まえた上でその後の状況を推測して判断することが求められます。

 

もちろん、臓器提供のように、初期設定を工夫することで望ましい状態を作り出すこともできます。行動経済学者で2017年のノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラーは、「望ましい結果を得るためのちょっとした工夫」をナッジと呼んでいますが、初期設定はナッジとして機能します。

 

メタボ気味でジムで運動する必要があるのなら、入会金の支払いは自分を縛る効果があるでしょう。カードで散在する恐れがあるのなら、最初から利用限度額を低く設定しておけばよいかもしれません。貯蓄をするなら定期預金がいいでしょう。

 

 

【参考】

『お金と感情と意思決定の白熱教室』ダン・アリエリー著 早川書房

失業率の低下は、少子高齢化によるものか?②

■因果関係の条件

 

前回は、「完全失業率が低下している原因を少子高齢化(団塊世代の退職)に求めることには無理がある」ということを述べました。因果関係が成立するためには、次の3つが成り立つ必要があります。

 

<因果関係の条件>

共変の原則
もしXYの原因であるならば、XYは共に変化しなければならない。
時間的順序関係
もしXYの原因であるならば、XYより時間的に先に起こっていなければならない。
他の原因の排除
X
Yの原因と考えられ、さらにX以外にYの原因を合理的に説明できるものが何もない場合にのみ、XYの原因と認められる。

 

 

経済事象の考察は、クリティカルシンキングの良い練習になります。因果関係の条件に沿って、「少子高齢化(団塊世代の退職)と失業率低下」の関係を検証してみます。

 

 

■時系列がおかしい

 

「共変の原則」から考えてみます。少子高齢化はほとんど毎日のように報道されていますから、何かあるとすべて少子高齢化に結びがちです。しかしながら、日本の高齢化は、既に1970年頃から始まっています。その間、完全失業率は高くなったり低くなったりしているのですから、共変の原則は成り立ちません。もし少子高齢化が完全失業率低下の原因なら、旧民主党政権時代にも完全失業率は低下していないとおかしいでしょう。

 

次に「時間的順序関係」を考えてみましょう。団塊世代の60歳の退職時期は2007年であり、退職後の継続雇用期間が切れるのは2012年です。これにより、労働力の減少や企業内の技術・ノウハウの継承の断絶など、様々な問題が生じるのではないかと懸念され、いわゆる「2012年問題」と言われました。つまり団塊世代の退職はもう5年も前の話で、現在の労働市場に大きく影響を与えていると考えるのには無理があります。

 

 

■失業率は経済成長でほぼ決まる

 

最後に「他の原因の排除」の観点から考えてみます。実は失業率は、ほぼ経済成長率のよって説明できることが明らかなのです。「経済成長率が高ければ(低ければ)失業率は低い(高い)」という関係を、経済学ではオークンの法則といいます。日本の場合、経済成長率と前年の失業率との差の相関係数は0.7(失業率の変化は経済成長率で7割説明できる)という指摘があります。

 

過去のデータで人口構造が失業率の大きな影響を与えるというエビデンスは一切ありません。結局は緩やかな景気回復で失業率が低下傾向になったに過ぎません。

 

「経済成長率が高ければ失業率は低い」というのはまったくもって当たり前の話にもかかわらず、つい印象が強く思い出しやすい少子高齢化に原因を求めてしまうというのは、行動経済学でいうところの「利用可能性ヒューリスティック」ではないでしょうか。

 

利用可能性ヒューリスティックとは、「取り出しやすい記憶情報を、優先的に頼って判断してしまうこと。 記憶に残っているものほど、頻度や確立を高く見積もる傾向。 探せる記憶だけが事実になること」を言います。

 

報道や識者のコメントを見ても、「時間的順序関係が違う」「本当にデータを見ているのか?」と思ってしまうことはしばしばあります。利用可能性ヒューリスティックに陥ることなく、因果関係の3条件に照らし合わせて検証したいものです。

 

 

【参考】

『クリティカルシンキング 入門篇』E.B.ゼックミスタ、J.E.ジョンソン著 北大路書房

『日本を救う最強の経済論』高橋洋一著 扶桑社

失業率の低下は、少子高齢化によるものか?①

■失業率の原因は少子高齢化?

 

10月の完全失業率は2.8%で6月以降、横ばいが続いています。完全失業率は「完全失業者数÷労働力人口」で求められます。少し言葉を定義しておくと、労働力人口は「15歳以上で,労働する能力と意思をもつ者の数」、完全失業者数は「働く意思と能力をもち、求職活動を行っていながら、就職の機会を得られない者の数」です。よって、完全失業者数は、「労働力人口-就業者数」で求めることができます。

 

完全失業推移 

アベノミクス以降、完全失業率が低下していることに対し、「それはアベノミクスの成果ではなく、少子高齢化によるものである」という誤解が未だに根強くあります。これは「少子高齢化にともない団塊世代の退職で労働力人口が減少して人手不足感が強まり、求人数が増加したからだ」という主張だと考えられます。「完全失業率=(労働力人口-就業者数)÷労働力人口」ですので、就業者数が維持されれば完全失業率は低下するというわけです。

 

 

■高齢化でも労働力人口は増加している

 

では実際のデータはどうなっているのでしょうか?実は高齢化にかかわらず労働力人口も就業者数も増加しているのです。つまり働きたい人も実際に働いている人も増加しているのです。ちなみに旧民主党政権時代は就業者数は約40万人減少、アベノミクスでは約280万人の増加です。生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口層)は減少しているので、これはこれまでは就職難で働こうとしなかった人が労働市場に参加したからだとしか考えられません。

 

就業者数 「完全失業率=(労働力人口-就業者数)÷労働力人口」の式で考えてみましょう。上の図から分かるように、労働力人口も就業者数も増加していますが、就業者数の伸びの方が大きいことが確認できます。その結果、分母の値は増加しつつも分子の値が減少した結果、完全失業率が減少していると考えられます。

 

つまり「完全失業率が低下しているのは少子高齢化(団塊世代の退職)によるものだ」という主張は完全に破綻しているのです。

 

中小企業診断士のための経済学入門

以前、ご紹介しましたとおり、1130日に「中小企業診断士のための経済学入門」(同友館)の発売が開始致しました!以前にも資格予備校で診断士試験のテキスト(TACスピードテキストの経済や企業経営理論、2次過去問題集事例Ⅰなど)は書いていたのですが、自分の名前が著者として出せるのは今回が初めてです(最後かも…)。

 https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%AD%E5%B0%8F%E4%BC%81%E6%A5%AD%E8%A8%BA%E6%96%AD%E5%A3%AB%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6%E5%85%A5%E9%96%80-%E4%B8%89%E6%9E%9D%E5%85%83/dp/4496053268/ref=zg_bs_551276_4?_encoding=UTF8&psc=1&refRID=06D3ZAB60PPDNNV8VZTK


お買い上げ頂きました皆様には、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。

 経済学入門


大変恐縮ですが、改めて拙著の宣伝をさせて頂きたいと思います。

 

<対象としている方>

・既に中小企業診断士試験に合格しているが、ほとんど経済学を理解できておらず、自身の観点の1つとして使えていない方

・診断士試験の勉強をしているが、さっぱり経済学が分からず困っている方

・一般のビジネスパーソンの方で、日経新聞を読んでも、専門性が高すぎたり、人によって意見が違ったりしてちんぷんかんぷんで、世の中の動向がいまいち読めない方

 

正直に言うと、多少タイトルに偽りありで、診断士に限らず、広くビジネスパーソンの方にとって、知っておいたほうがよい経済学の内容をまとめています。ずばり、「この1冊だけで経済通になれる」ことを目指しました。本書の内容を押さえておけば、普通の職場でしたらダントツのエコノミストになれます。

 

<本書のセールスポイント>。

・診断士やビジネスパーソンにとって本当に必要なものに絞っている

・細かい説明はさておき経済のイメージをつかむことを最優先している

・日常で使える経済学の知恵を盛り込んでいる

・普通のテキストや入門書にはない実際の経済のトピックを盛り込んでいる。

 

試験対策本ではないし、ややこしい過程は知らなくても実際の経済は充分に理解できるので、極力シンプルな説明を心がけました。

 

また一般のビジネスパーソンの方にもご興味を持って頂けるよう、具体的には、次のようなトピックを盛り込んでいます。

 

・「脱経済成長」は最悪

・中国は成長するか?(成長したら奇跡に近い)

・なぜ失敗国家は失敗するのか?

・少子高齢化をそんなに悲観しなくて良い

・ユーロはただの経済成長の足かせ?

・最低賃金を引き上げるとトンデモないことになるかも?

・日本だけ置いてきぼりになったのは日銀のせい?

TPP亡国論のウソ

・値段はお客に決めさせよう!

・飲み放題制にすると飲み過ぎる?

・なんで同じ経済学者で対立するの?

・国債発行は悪いこと?(そうでもないかも)

・成長分野に集中すべきは正しいか?(完全にデタラメ)

・利益がプラスでも損している?

・一流の経営者や経営学者が経済を語り出すとロクでもないことになる

・新聞の経済欄は真面目に読むだけ損をする(テレビニュースは論外)

・うるさ型を黙らせる意思決定のルール

 

※書籍ではもう少し穏便な表現です(笑)。

 

一見すると奇抜ですが、すべてきちんとした経済学の知識で説明できます。

 

最後に診断士試験対策の要点についても取り上げています(経済学は簡単)。

 

何卒ご購読のほど、宜しくお願い申し上げますm(_ _)

プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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