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知財戦略のありかた①(日本の研究開発費は少ないか?)

日本メーカーの衰退が叫ばれる中、「自社独自の技術を積極的に特許化し、それを保護する」あるいは「特許技術を他社が利用する際にパテント収入を得る」といった知財戦略が重要だという考え方が一般的に広く認識されています。

「特許化できる技術が多いほどよい。日本企業はもっと特許を取るべきだ」というわけです。

 

 

■日本の研究開発投資は実は高い

 

「日本は研究開発投資が少ない」というイメージが強いかもしれません。しかしながら、政府・民間を合わせると、1996年以降、名目GDP比で3.3%から3.8%で推移しており、欧米主要国家の2.3%から2.9%に比べ高い水準です。ちなみに把握できる最新のデータである2013年度の各国の研究開発投資対名目GDP比は、韓国:4.15%、日本:3.75%、

ドイツ:2.94%、アメリカ:2.81%、フランス:2.23%、中国:2.02%、イギリス:1.63%となっています。

 

研究開発費というと、「iPS細胞の研究でノーベル賞を受賞した山中伸弥教授でも研究開発費の獲得に苦労しているではないか!」という指摘もあろうかと思います。それはそのとおりで、政府研究費対GDP比の推移で見ると、日本は0.73%(2013年度)で韓国(0.96%)、アメリカ、ドイツ、フランスに比べて少し低い水準です。

 

 

■企業の特許出願数もダントツ

 

ちなみに特許出願件数でみると、日本は1990年代以降、毎年40万件から50万件に及び、全欧洲の4万件~15万件、アメリカの20万件から42万件を超える水準です。米国から遅れること20年で始まった日本の知的財産立国戦略は、研究者人口の50%以上が特許出願するまでになり、アメリカの20%や欧州の10%に比べてダントツであり、数多くの特許を出願・登録するという点では成功したと言えます。

 

アメリカの調査会社、クラリベイト・アナリティクスは、毎年、Top100 グローバル・イノベーターを発表しています。これは、特許の「数量」、実際に出願して特許の登録が認められた「登録率」、特許の「グローバル性」、他社がどの程度その特許を使うかの「影響力」という4つの基準で企業を評価してランキング化するものです。

 

2016年のトップ100社のうち、国別では、米国が39社を占め、3年ぶりに最多となりました。日本は34社で2位ですが、2015年まで2年連続で最多でした。

 

つまり日本は研究開発費が少なく特許出願数も少ないというのはウソで、総じて研究開発費も特許出願数も多いのです。

 

 

【参考】

『日本経済2016-2017』内閣府

『オープン&クローズ戦略 日本企業再興の条件 増補改訂版』小川紘一著 翔泳社;

 

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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