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知財戦略のありかた②(特許をたくさんとっても収益にはつながらない)

日本では、重要特許をたくさん持つことが日本企業の競争力を強化するという考え方に立ち、2002年に政府が知的財産戦略大綱をまとめ、翌年から知的財産立国への道を歩み始めました。しかしながら、このような考え方はエレクトロニクス産業では既に時代遅れでした。

 

1990年代後半から2000年代中頃にかけて、日本のエレクトロニクス企業は優れた製品を開発し世界をリードしてきました。製品の導入期には圧倒的なシェアだったのが、それが普及するにつれ急激にシェアを落とし、4~5年で50%を下回るケースが多く見られます。

 

CD-ROM1994年(95%以上)⇒2001年(20%強)

液晶パネル:1995年(100%)⇒2005年(10%程度)

CD-R1996年(100%)⇒2002年(20%強)

DVDプレイヤー:1997年(95%程度)⇒2006年(20%弱)

リチウムイオン電池:1999年(95%程度)⇒2007年(40%程度)

太陽電池;2004年(50%弱)⇒2007年(20%)

液晶テレビ:2001年(95%以上)⇒2007年(40%弱)

カーナビ:2003年(100%)⇒2007年(20%)

 

これらの製品では日本企業が基礎技術、製品化技術、市場開拓などすべてにおいてリードしていました。また特許の出願・登録数も世界の70%以上を保有していました。

 

こうした2000年代の日本企業の凋落をよそに台頭した企業の代表格であるアップルを見てみましょう。2000年代にアップルから出願・登録された特許の数は年間でせいぜい200件以下であり、日本の大手エレクトロニクス企業のなんと10分の1以下なのです。

 

日本企業は多くの研究開発費を投じてせっせと特許を申請したのにもかかわらず、収益の向上にはあまり貢献しなかったことがわかります。内閣府が、公表した報告書「日本経済2016-2017」によると、労働や資本などを含む全ての要素を投入したときの生産の効率性を示す「全要素生産性(TFP)」(12~26年の平均)は、研究開発投資が1%伸びた場合、日本は0・20%上昇したが、米の0・35%、独の0・28%より低かったという結果があります。

 

 

【参考】

『日本経済2016-2017』内閣府

『オープン&クローズ戦略 日本企業再興の条件 増補改訂版』小川紘一著 翔泳社;

 

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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