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知財戦略のありかた⑤(オープン&クローズ戦略)

日本のエレクトロニクスメーカーが衰退する一方で、マイクロソフト、インテル、アドビ、アップル、SAP、グーグル、クアルコムなどの企業は、市場を上手くコントロールし、高い収益を上げています。では、こうした企業は、どのような戦略を採っているのでしょうか?

 

■オープン&クローズ戦略

 

これらの企業では、製品を構成する基幹技術の中で、自社に残すコア領域と、オープン標準化によって意図的に伝播させる非コア領域を事前設計し、互いの結合ルールも自社有利に事前設計し、企業間の国際分業としてのビジネスエコシステム(多くの企業が協業しながらその産業全体を一体となって発展させていく分業構造)も自社優位に事前設計しています。

オープン&クローズ戦略  

まず、基幹技術の中で自社に残すコア領域についてはクローズにし、特許など知的財産を集中させることで防衛します。次にオープン領域との境界にも特許の網をかけることで、権利を保持し、パートナー企業に自由に使わせることで、周辺領域に多くのパートナー企業を引き寄せ、製品市場の発展を図ります。

 

ここで知的財産権の役割は、コア領域を守りつつ、コア領域からオープン領域を自社優位にコントロールするための手段となります。つまり、隅々まで特許を張り巡らせて自社技術の防衛を図るのではなく、肝心な部分のみを特許でクローズする一方で、あとは積極的に公開し、他社に使わせることで、自社陣営に組み込んで行くことで、自社技術のグローバル市場での普及を図るというわけです。

 

何から何まで特許化して他社に使わせないのでは、自社技術の普及は困難ですし、これまで触れてきたように、どうせ模倣されたり、迂回利用されたりするわけです。そうであるならば、自社の利益の源泉となる部分だけクローズにしてあとはオープンにし、他社に使わせて抱き込んだほうが賢いわけです。

 

自社単独で市場を制することが現実的には不可能である以上、他社を上手く利用しつつ自社の利益を確保するという知的財産戦略が求められます。

 

【参考】

『オープン&クローズ戦略 日本企業再興の条件 増補改訂版』小川紘一著 翔泳社;

 


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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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