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選択肢が増えると楽しみが減る⑥

さて、これまで見てきたように、選択肢が増えると選択ができなくなる、選択後に強い後悔を感じることになります。魅力的な選択肢が増えるほど自分に合ったものを選べる可能性は高くなりますが、選ばなかったことで得られなかった便益(機会費用)が増え、皮肉にも後悔することが多くなってしまうのです。

 

私たちは、昔と比べようがないくらいの選択肢に直面しています。その中で、どうすれば選択の葛藤から逃れ、程よい満足感を得ることができるのでしょうか?

 

 

■人生に満足するためのポイント

 

社会学者のバリー・シュワルツは、次のように述べています。

 

「選択の自由を制約することに反対するのではなく、主体的に一定の制約を設けるほうが満足できる」

 

「最高のものを求めるよりも『まあまあ』なものを求めるほうが満足できる」

 

「選択の結果に対する期待を下げるほうが満足できる」

 

「選択をやり直せないほうが満足できる」

 

「周囲の人たちの行動に対する関心が低いほうが満足できる」

 

一般的には、「選択肢が多いほどよい」「良い結果を生むためには、最善を目指さなければならない」「選択はやり直せるほうがよい」と考えがちで、それは誤りではないのですが、これまで見てきたように少なくとも満足度は低下する可能性が高いのです。

 

 

■追求するより満足するほうがよい

 

シュワルツは、人間を2つのタイプに分類しています。

 

  追求者(maximizer

最高の選択肢だけを追い求め、それしか受け入れられない人

 

  満足者(satisficer

十分満足だと思える選択肢で妥協して、もっと相応しい選択肢がある可能性を考えない人

 

追求者的な性格の人は、選択に際し、ストレスを感じたり、その後に後悔する可能性が高くなります。世の中にあるすべての選択肢を見つけ出し、それを吟味することなど不可能ですし、事前に結果を予想することなどできません。さらに追求者は高い基準を持っていますが、それをクリアすることが難しい以上は後悔する可能性が高くなります。

 

 

■完璧主義者は悪くない

 

一方、世の中には完璧主義者といわれる人たちがいます。完璧を目指すのは悪いことなのでしょうか?シュワルツは、追求者と完璧主義者を区別しています。両者とも高い基準を設けている点では共通しますが、追求者はそれを達成できると思っているのに対し、完璧主義者は達成できるとは思っていない点が異なるとしています。よって、完璧主義者は追求者ほど後悔せず、満足度も低くないのではないかと述べています。もちろん適当に妥協する場合よりも成果の質は高くなります。

 

以上で選択の話は終わりますが、人生の満足を高めるために得られる教訓は次のようになるでしょう。

 

・自分にとって重要なことについては高い基準を設けるべきであるが、それは必ずしもクリアできないことを自覚する。

 

・重要でないことについては選択肢を自分で絞り、最低限の基準をクリアできる選択肢であればそれでよしとする。

 

・自分にとっての基準だけ考え、周りの人の基準は気にしないようにする。

 

・たとえば3つ以内から選ぶといったように、選択肢の数を最初から決めておく。

 

・一度決めたらできるだけ他の選択肢を考えないようにする。

 

【参考】

『購買選択の心理学』バリー・シュワルツ著 ダイレクト出版

『なぜ選ぶたびに後悔するのか』バリー・シュワルツ著 武田ランダムハウスジャパン

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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