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経済学を学ぶ意義②

 ■経済学学習で求められるのは演繹法

 

担当している中小企業診断士講座で経済学の講義が始まったので、経済学を学ぶ意義について考えたいと思います。以前、このブログでも「経済学を学ぶ意義①(帰納法と演繹法)」で触れたように、経済学は演繹法的思考法の練習になります。

 

演繹法とは、いわゆる三段論法のことで、絶対的に正しいことや、一般的に正しいと判断されること(前提)から、妥当と思われる結論を導くものです。たとえば「人は必ず死ぬ」「ソクラテスは人間である」という前提条件から、「だからソクラテスは必ず死ぬ」という結論を得ます。

 

経済学では「『追加的な便益が追加的な費用を上回れば行動する」という前提をもとに、企業行動や消費者行動、市場分析を行いますので、演繹的な思考が求められます。

 

 

■帰納法は印象論にすぎない

 

一方、わたしたちは帰納法的に考える傾向があります。帰納法とは、簡単に言えば、いくつかの事象から共通する項目を見つけ出してそれを結論にするという思考のことです。たとえば、

 

Aさんは朝型で営業成績が優秀だ。

Bさんは朝型で営業成績が優秀だ。

Cさんは朝型で営業成績が優秀だ。

 

以上から、「朝型人間は営業成績が優秀だ」という結論を得る思考法です。しかしながら、朝型でなくても営業成績が良い人はいくらでもいるでしょうし、そもそもこの3人の共通点が、「新規訪問件数が多い」「段取りがうまい」「楽天的だ」など朝型以外にあるかもしれません。

 

帰納法はあくまで印象論なのです。もちろん帰納法自体は否定できるものではありませんが、あくまでそれは仮説を立てるものだという認識が必要です。

 

 

■経営者、一企業目線で経済を語る

 

残念ながら優秀な経営者や一流の経営学者であってもマクロ経済を語るとまったくの的外れということは少なくありません。こうした人たちは企業経営を語るのと同じノリで日本のGDPも語るので、規制緩和や生産性向上といった成長政策(第三の矢)が最も重要だと考える傾向があります。

 

これもイメージしやすい自分の身の回りで発想するという点では帰納的思考だといえます。その割にデフレ期には設備投資せずにせっせと内部留保(現預金)を積み上げるので困ったものです。

 

成長政策の効果は10年以上かかるというのが実態ですし、そもそも成長政策だけで経済成長した国は存在しません。

 

 

川を上り海を渡れ

 

もちろん経済学でも何らかの仮説を立てる際には帰納法を用います。ただし仮説だからといって適当でよいはずはありません。

 

旧大蔵省では「川を上り海を渡れ」という教訓があったといいます。これは「過去の事例をあたり、海外の事例を調べよ」ということです。自分がよいと考えている政策が、本当に過去に成果を上げたのか、海外ではどうかを検証する必要があるでしょう。

 

このことは私たちのビジネス環境においても同様です。思い込みで判断するのではなく「過去はどうか」「他社はどうなのか」検証する姿勢が求められます。

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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