fc2ブログ

今年の経済トレンドを読む④

これまでどちらかというと今年の日本経済についてネガティブな評価をしてきましたが、今回はプラス面について述べたいと思います。

 

■輸出と企業の設備投資が経済を牽引

 

黒田総裁の続投がほぼ決まり金融政策は現状維持からやや緊縮気味、財政政策は期待できずというマクロ経済政策面ではあまり期待できない状態ですが、民間経済部門では明るい材料もでてきています。

 

GDP6割近くを占める国内消費については、来年度の消費増税を控え、伸びは期待できない状況です。最新の四半期別GDPの2次速報値である2017年7~9月期のデータをみてもマイナス0.5%(実質/年率換算)とまったく振るいません。またマイナス金利導入以降、民間部門を引っ張ってきた住宅投資についてもここに来て息切れが顕著です。

 

一方、好調なのは輸出と企業の設備投資です。2017年7~9月期のGDP2次速報値を見ると、輸出は1.5%増、企業の設備投資は1.1%増となっており、需要項目の中でこの2つのプラスが大きく(あとはすべてマイナス)、全体の成長率を2.5%という比較的高い数値に押し上げています。

 

輸出の増加は、(為替が円高気味である以上は)アメリカ経済の好調ぶりを反映したものと考えるべきでしょう。

 

 

■設備投資増は予想インフレ率の上昇の結果

 

企業の設備投資の伸びは、予想インフレ率の上昇と株高の2つから説明することが可能です。今回は、前者の点から説明したいと思います。

 

経済学では、フィッシャー方程式というものがあります。このブログでも度々取り上げていますが、再掲します。

 

実質利子率=名目利子率-予想インフレ率

 

名目とは額面上の値(つまり我々が負担で目にする値)であり、名目利子率は企業が設備投資する際に金融機関からお金を借りる際の利子負担を意味します。

 

予想インフレ率(期待物価上昇率)は「人々が今後、どれくらい物価が上昇すると考えているか」を示すものです。全国の企業の「どれくらい売上や利益が上がるだろう」、従業員の「どれくらい自分の所得が上がるだろう」ということを全体で集計し平均化すれば、それはおおよそ予想インフレ率に相当することになります。

 

よって実質利子率は、名目利子率から自らの収益の予想伸び率を差し引いた実質的な利子負担ということができます。

 

フィッシャー方程式によれば、予想インフレ率がプラスだと、名目利子率が低水準で推移しても、実質利子率が低下することになります。

 

2017年8月以降、予想インフレ率を示すブレークイーブン・インフレ率(BEI)は上昇に転じています。また、日銀短観(7月調査、12月調査)を見ても、価格・物価全般ともに上昇にて転じると回答した企業が低下すると回答した企業を上回る結果となっており、予想インフレ率の上昇を裏付けています(これは企業が景気に対し前向きな予想をしているということを意味します)。

 

今回の企業の設備投資増の多くは人手不足に備えた省力化投資と考えられますが、人手不足だけでは企業は投資をしません。以上から予想インフレ率の上昇が企業の実質的な利子負担を軽減させ、設備投資を促している面があると考えられます。

 

 

 

 

スポンサーサイト



プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR