fc2ブログ

大震災の経済学①

もうすぐ東日本大震災から7年が経とうとしています。今回は大震災が起きた場合、どのような経済政策が求められるのかを検証してみたいと思います。

 

 

■東日本大震災の復興財源確保は増税

 

1995年の阪神大震災では、復興費約9,2兆円、その財源の内訳は、新規国債発行が5,4兆円、他の歳出の削減からの捻出が3.8兆円です。

 

一方、東日本大震災の場合、復興費約25兆円、その財源の内訳は復興増税が約10.5兆円、歳出削減・税外収入等が14.5兆円となっています。

 

ちなみに関東大震災のときは国債・地方債の発行により予算を確保しています。

 

つまり東日本大震災では国債発行ではなく増税で財源を確保しました。当時、「震災という国難に立ち向かうためには自分たちも負担するのは当然だ」「増税もやむなし」と思われた方も多かったと思います(私もその1人)が、増税による予算確保は異例のことなのです。

 

 

■震災が起きると供給より需要が落ち込む

 

震災は供給サイドと需要サイドの両方にダメージを与えます。しかし現代では、供給サイドは比較的早期に回復します。東日本大震災当時も交通網が寸断されて物流が行き届かなかったり、工場が破壊されて生産がストップしたりしましたが、現場の驚異的な努力もあり、数ヵ月後には生産が再開されたことはご記憶でしょう。罹災地域外での生産も可能なこともあり内閣府が発表している潜在総供給力はほとんどダメージを受けていません。

 

一方、需要サイドは被災地の方々を中心に大きく冷え込み、回復することは容易なことではありません。さらに増税が追い打ちをかけ、消費マインドは一層冷え込むことになります。事実、内閣府が発表している需給ギャップでみると、潜在総供給に対する需要不足の状態は、震災発生(2011年度1~3月期)から(2013年度4~6月期)まで続きます(ただし円高の影響もありますが)。

 

震災で落ち込んだ消費マインドをさらに増税で追い打ちをかけるなど、不況に増税するのと同様であり、経済学的にはありえないのです。どうもわたしたちは「震災だから増税はしかたがない」「負担を国民全体で分かち合うべきだ」という雰囲気に騙されてしまったのではないでしょうか?

 

 

【参考】

『「復興増税」亡国論』田中秀臣、上念司著 宝島社

 

 

スポンサーサイト



プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR